貴方は滅多に帰ってこない。


 どれだけ心配してると思ってるんですか?って、前にコムイさんがぼやいてました。


 俺はアンタの事を心配なんかしてませんよ?だって、必ず戻ってくれるじゃないですか?ね?



【腕を広げて待っている君がいるから】



 今日は珍しく月が出ている日だった。俺は室長に大量の書類を置きに行っての帰りだった。本来なら急いで科学班フロアに向かわないとイケナイのだが・・・藍色の空に浮ぶ月に見蕩れてしまい、つい足を止めてしまった。

 銀色に光る月。ある国では、黄色、と言う所があるらしい。確かに、そう言われれば、黄色、がしっくり来るかもしれない。でも俺は銀色が好きだと思った。何となく。

 俺はその月に目を細めた。

 あぁ、ずっとこのままだったら良いのになー。そんな事を思ってしまった。だがあの殺人的量の書類の事を思い出し、俺は首を左右に振った。

あの仕事は終ることは無いだろう。それでも、やらないとイケナイ。苦しくでも、悲しくでも。

俺は歩き出した時だった。その時、後ろから声がした。


「今日は月が見えるのか。どうりで明るい筈だ。」


 つい足も思考も止まってしまった。鼓動が嫌に鳴り響く。この声は・・・・・・


「クロス元帥?」


 俺は後ろを振り向きそう問うと、月光に照らされていつも血を零した様な髪では無く、オレンジ色の髪に見えるクロス元帥が窓に映る月を見ていた。

 俺はつい、息を飲んでしまった。クロス元帥は俺と違って、体も顔もしなやかだ。まぁ、その下は実際は見かけ以上に筋肉が付いてる訳だが・・・それでも俺よりも、美しい、と思ってしまう。

 まぁ逆に俺みたいな年相応に見えぬやつれた奴を、美しい、と言う奴は居ないだろうけど。居たら目が可笑しい。

 目の前の人の様に。

 クロス元帥は俺の方に向く。その顔には笑みがあった。目は力強く俺を貫く。


「お前は今日も、仕事、か?」


 クロス元帥はわざと、仕事、を強くアクセントをつけた。からかい、だろう。俺は眉間にしわを寄せる。自分の仕事をからかわれとカチンと来る。貴方方が命をかけて任務に行ってる様に、こっちも己との戦いをしている。

 それでも、やっぱしクロス元帥やエクソシストや探索隊に比べたら命をかけてないのも事実と言えば事実かもしれないが・・・。


「えぇ、仕事、です。」


 俺はあえて、仕事、を強く言った。クロス元帥は俺の前へ来ると、俺の頬に触れた。

クロス元帥の方が丁度10Cm高いので俺が見上げる形になった。見上げたクロス元帥の顔は影がかかっていたが、笑っている、のが分った。

俺が居るのは窓と窓の間で、月光が顔を照らしてない。俺とクロス元帥は影によって暗く染められていた。


「相変わらず、仕事熱心だな。」


 クロス元帥はそう言うと顔を近づけ、俺の口にキスをしてきた。ヤバイ・・・クロス元帥がただの子供の様なキスで終る訳が無い。

 そして案の定クロス元帥は舌を入れようとしてきた。俺は歯を喰いしばる。だがクロス元帥の舌は俺の唇と歯の間に舌を滑り込み、歯列をなぞる様に舐める。

 刺激は舌だけじゃない。気付けばクロス元帥は俺の体を抱きしめていて、俺の腰や尻を撫でていた。怖いのがそれが、優しく、だ。触れられる事に慣れてない体に快楽が簡単に走る。

 俺はその快楽に喰いしばる歯を解くと、それを待っていた、と言うかの様に下を忍び込ませてきた。舌を絡ましてるつもりが無いのに、勝手に動かされ、快楽が走る。

 俺は息交じりの嬌声を漏らしてしまう。それでもクロス元帥は止めない。あぁ、何でクロス元帥はいつも会ったらこうするだんろうか?俺は男でクロス元帥も男だ。

 しかも、付き合う、付き合え、好きだ、愛してる、と言われた事ないし。別に前者は良い。問題は後者だ。好きでも、愛しても無い人にキスをするか?否、キスは100歩譲って良い。

 何で犯す所まで行く?可笑しい。絶対にクロス元帥は常識が無い。そして、それに流される俺はもっと可笑しいだろうな。

 クロス元帥はやっと俺から舌を抜く。俺は力なく座り込もうとしたが、クロス元帥の団服を掴み、なんとか耐えた。掴むのもかっこ悪いが、座り込むのはもっとかっこ悪いと思う。だから、コッチを選択した。

 クロス元帥は俺の、恐らく真っ赤であろう顔を見下ろす。


「仕事ばっかしやってるから、すぐに根を上げるんだ。」

「ハァハァ・・・アンタが、やるから、だ。」


 俺は息を切らしながらそう言う。何で毎回毎回・・・。俺は握る手を強める。


「ただいま。」


 その声に俺は目を見開いた。そしてクロス元帥の方を見上げれば、無表情がそこにあった。

 え?さっきのは、幻聴?

 そう思った時、クロス元帥は俺の両頬をムニュッと両手で押し付けた。


「おかえり、は?」


 とクロス元帥は低い声で言うと俺はつい恐怖心が煽ってしまう。


「お、おかえりなさい!です。」


 と慌てて言ってしまった。言葉的に可笑しいが、まぁそれはそれだ。クロス元帥はそれに満足したのか両頬を押し付ける手を離し、その手は俺の背中に回された。今度は俺はクロス元帥の固い体に押し付けられる形になった。

 丁度目線がクロス元帥の肩の上で、窓から零れる月光が見える。そして今度はクロス元帥の髪を見た。血が固まった様な濃い赤をしていた。


「クロス元帥・・・何で、ただいま、って言ったんですか?」

「あぁ?俺が言っちゃ駄目なのか?」

「い、いや、そう言う訳じゃないです!」


 俺はクロス元帥の不機嫌な言葉に慌てて否定する。

 ただ、ただね・・・いつものクロス元帥と違うから・・・。珍しく任務も早く帰ってきて・・・それなら良いんです。ただ、ただいま、って、言ったじゃないですか。

 俺は目を細める。

「何で、俺の所に来るんですか?」


 そして、キスして・・・抱きしめて・・・まるで、恋人同士がする様に。貴方には相応しい女性が居るじゃないですか。




「腕を広げて待っているお前がいるから」




 クロス元帥はそう言った。まるで独り言の様に。俺は少し顔をあげ、クロス元帥の方を見上げれば、口端が上がっていた。とても緩んだ・・・明らかの、笑み、じゃない。

 本当の、安らぎを感じた時の・・・そんな笑みだった。


「毎回毎回、望んじゃいねぇのに、お帰り、と言ってからな。」

「・・・スイマセンね・・・毎回毎回;」

「本当だ。しかも、無視をしても言ってきやがる。」


 そうですね。俺、無視されても、お帰り、ってずっと言ってましたね。別に無視されても良いって思ってましたから。だって、伝わってるのは分かってましたから。

 まぁ、無視はされていたけどな。


「犬みてぇなお前をからかいたくなったんだよ。」


 クロス元帥はそう言うと、俺の後頭部を撫でる。それが気持ちよくて、つい目を細めてしまった。此処がクロス元帥が言う、犬みたな所、だろうな、と心の底思ってしまった。

 撫でる手が止まった。そう思ったとき、両肩を掴まれ、少し離した。俺はクロス元帥の顔を見上げれば、怪しい光を放っていた・・・って、え?それってもしかして・・・。


「犬は有無言わずに鳴いてれば良い。」


 そう言うと俺の手首を掴み、俺を引き摺り、歩いた。これはつまり、俺はクロス元帥に誘拐されてるんですよね?ですよね?!


「ちょっ、え?え?俺は犬じゃないです!その前に仕事があるんです!」

「あ?仕事だぁ?悪い奴だな。ご主人様に逆らう何でな。しつけが必要だな。」

「え?え?しつけって?ちょっ、クロス元帥―」


 その後、リーバーは戻る事は無かったそうだ。戻らないリーバーに何かあったと思い、科学班班員がコムイの所へ押しかけたのはまだ別の話。

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 微妙にRネタ・・・私のクロリバってワンバターンですよねorz絶対に微Rネタに行くと言う・・・その前に、クロス元帥は4年前、つまりリーバーさんが22の時に居なくなるんで・・・リーバーさんって22歳に班長?個人的にそう思ってるんですが、やっぱし有り得ないな。逆にクロス元帥がリーバーさんが班長になった事を知らないで、4年後あって、『班長になったんだな』とか!むしろ『良い体つきになったな。こんな奴が居るなら早く帰れば良かったな』とか!(ド殴:結局Rネタか!)
 無駄に言い訳長い・・・では色々とスイマセン。失礼します。平成21年1月8日