世界が落ちようとしている。


 世界が壊れる前に、笑い合おうよ。


 そして一緒に手を重ねて、握り合って。



【笑えるときに笑って】



 今日も黒の教団内にある科学班フロアは書類に埋もれていた。その中に科学班班長、リーバー・ウェンハムが居た。一通り仕事が終り、背筋を伸ばしていた。その時、リーバーの愛用のカップが横の視線に入った。

 カップの方へ振り向けば、キャラメル色の髪を持つマービン・ハスキンが口元に笑みを浮かべていた。カップはリーバーの机の上に置かれた。


「お疲れ様」

「まだ終ってないけどな」


 リーバーはそう言うと置かれたカップを持ち上げ、啜り飲む。中には湯気が立つコーヒーが入っていた。熱い、苦い液体が胃へと落ちる。


「一緒終らないですよ」


 可能性・確率は何十通り何百通りもあり、予測など不可能だ。それを完璧に解こうとしたら何年経つか・・・リーバーはそれを考えるだけで先ほどコーヒーを入れた胃の底から溜息を吐いた。

 この仕事を選んだ時点で後悔は無い。今の仕事だって誇りを持っている。残業代など払われないけど、それでも、この手は止められなかった。

 それでも、人の精神は過酷な環境に慣れる事がなく、弱くなって行くモノだ。それがまた、時間の流れ、と言うモノを感じた時など大幅に精神が狂う。


「そう言えば、室長が班長の事を探してましたよ」

「室長が?」


 リーバーが聞き返せばマービンは首を縦に振り、自分のコーヒーを啜り飲んだ。室長が?書類についてだろうか・・・なんとなく違う気がした。

 恐らく、最近会ってないから、会いたいのだろうな、とリーバーは直感をした。リーバー自身も精神的に限界を感じていた。人肌が恋しくて溜まらない。此処の仕事は基本、一人で、書類仕事だ。

 計算式や化学式に頭がいっぱいになればなるほど、精神が狂い出す。ふいに、自分は誰だ?とも思う事がある。

 もしかしたら、一番パランスが良い生活をしているのは目の前に居るマービンなのかもしれない。頃合を見て人と接している。その人が壊れる事はなく。自分にも精神的にまいる前に人と接している。

 そんなマービンはリーバーの顔にクイッと近づいた。口端に片手を付け、ボソボソッと喋る。


「班長が戻るのが遅くでも、俺がフォローしときますから安心してくださいよ」

「お前はどんだけ頭の中がピンクなんだよ。あぁ?」


 リーバーはマービンのニヤケ顔を離す。マービンはリーバーとコムイの関係を知っている。恐らく、この教団内で知らない人は居ない。だが、それが公式だろうと思わなく、リーバーを付けねらう人が居て、その人等に気付かないリーバーは天然だとは置いておこう。


「まぁ、久しぶり何だから、ゆっくりしてきてくださいよvV」

「んな旅行じゃねぇし」

「良いからw」


 マービンとリーバーはその後、マービンの休憩時間終了まで話をしていた。次にリーバーの休憩が始まる。リーバーはマービンから貰ったコーヒーを飲み干し、片手に書類を持ち、室長室に向かった。

 そういえば、最近室長に会ってないな、とリーバーは改めて思った。最近仕事が忙しく、恋人として接しておらず、仕事の関係が続いていた。そう言えば、最近室長は逃げ出していない。

 それは有り難いと思う反面、それが当たり前だ、とも思った。リーバーは色々と考えている内に室長室の前に居た。リーバーは室長室の扉をノックをして返事を待たずに扉を開けた。

 相変わらずのリーバーの癖だった。扉を開けてすぐに目に入ったのは、扉の丁度真っ直ぐ前にある室長の机だった。そこにコムイは椅子に座っていた。

 手にはコムイと書かれた判子が握られており、書類に押していた。ちゃんと仕事をしているんだ、いつもこうだったらなー、とリーバーは心の底思った。

 コムイは顔をあげ、リーバーに微笑む。


「やぁ、リーバー君。来てくれたんだね」

「そりゃ、上司の命令スからね」


 リーバーはそう言うと、机に書類を置くとコムイは、えー、と非難の声を出す。リーバーは、やれ、と一言言い、コムイはカクッと下を向く。リーバーはそんな己の上司とは思えぬコムイを見て、溜息を吐いた。

 その時、リーバーの手をコムイが掴み、引っ張る。リーバーは捕まれてない方の手を机に付き、なんとかコムイの顔の少し前で止まったが、それに後悔をした。

 久しぶりの、上司ではない、恋人であるコムイの顔が目の前にあるのだ。後数Cm前へ倒れれば、口と口が付くような距離だ。リーバーの鼓動は次第に早くなり、顔が紅く染まる。


「リーバーにずっと会いたかったよ」


 俺もですよ、と言おうとしたが、リーバーはその言葉を口にせず、視線をコムイから外した。コムイは、クスクスと笑う。

「何笑ってるんスか?」


 リーバーはぶっきらぼうにそう言うとコムイは、ははっ、と本笑いをする。コムイはリーバーと二人きりの時よく笑う。その笑いにリーバーもつい笑ってしまうのも常だが、此処は室長室。

 リーバーの中では未だに、仕事中、と思い込んでいた。仕事。今は。だからなのか、素顔に笑えなかった。

 コムイはリーバーのへの口に口を押し当てた。リーバーは目を見開いで、紅かった頬がより一層赤く染まった。

 押し付けられた口はすぐに離れる。


「笑えるときに笑って」


 コムイは笑みを浮かべながらそう言った。リーバーはついつられて、笑みを浮かべた。

 世界が落ちる。世界が消え去る。仮にそんな日が来るとしたら、その時はきっと仕事をしていると思った。

 でも、貴方がもしも側に居れば、きっと、笑ってると思います。


「アンタも」


 俺は笑いながらそう言えば、コムイは椅子から立ち上がり、リーバーの体を抱きしめる。


「フフッ、僕がリーバー君と一緒に居る時、笑わない日がある?」


 いいえ、とリーバーに言えば、また口を塞がれた。


 貴方が居れば、俺は笑い続ける。だって、貴方が笑うから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
@言い訳@
 ははっ、完璧に駄目駄目な話ですね☆(ド殴)コムリバの前に、リバ+マーが多い気が・・・仕方ない。(ド殴)私に甘々を求めるべからず(ド殴)
 では色々とスイマセン。失礼します。平成21年2月11日