届け。


 届けこの思い。


 そう叫んで手を挙げてみた。


 酷く気恥ずかしくて、無力な自分が恨めしかった。


 でも、今も心の中で叫ぶ。


 届ケ  届ケ って。



眩いばかりの光のような



 紺碧の青い空を見上げた。白い雲がゆっくりと流れているのが分った。


「どうしたんスか?隊長」


 副隊長の声が遠くからした。ハボックも副隊長も、近くにいるかたいの良い男達全員が気持ちいい程汗を流していた。

 その筈。さっきまで訓練をしていたのだ。主に走りこみ。今はその休憩時間だ。

 副隊長の方を向きハボックはヘラッと笑みを浮かべながら「何でもない」と答えた。

 副部長がハボックに近づいてくる。それを見つめていたが、すぐに紺碧の空を見つめた。


――――この空が――――


 そう思った時不意にハボックの頬が赤く染まった。

 それを見て隊員が一気にハボックを囲んだ。副隊長は隊員に押されて尻餅をついてしまう。あぁ不運な副隊長。

 ハボックは周りの隊員を驚いた顔で見回していた。


「どうしたんだ?お前等・・・」

「それはコッチの台詞です!」

「どうしたんですか?そんなに顔を赤く染めて!!」

「もしかして大変な自体(野郎にキスされたとか、野郎に犯られたとか、野郎に奪われたとか、・・・)になっているんですか?!」


 突飛な質問にハボックは「ん〜」と唸る。勿論意図が分った副隊長は「こら、お前等!」と注意するが、不運に声は隊員には聞こえなかった。


「別になかったけど?」

「じゃぁ体調が悪いのですか?」

「いいや・・・ごめんな心配かけちまってな。俺は大丈夫だ」


――――あれは違うんだ。


 ハボックはそう自分に言い聞かせながら。

 パチッと手を叩き改めて「じゃぁ休憩終わりだ!」と皆に呼びかける。


――――そう、あれは違うんだ。





『お前はこの空の様な瞳をしているな』


 その声にハボックは彼を見上げた。

 漆黒の髪に瞳を持つ男性。ハボックの上司であるロイ・マスタング大佐だ。

 ロイは自身に満ちている様な笑みを浮かべた。

 ハボックは改めて空を見上げた。

 薄い白い雲があるだけの紺碧の空が広がっていた。


『お前が女性だったら良かったのにな』


 空色の瞳。

 家族にも親友にも、今まで付き合っていた女性でもよく褒められた部位だ。

 『空の様に綺麗』って。

 別に悪い気はしない。寧ろ嬉しい。

 なのに・・・。


『なぁーんか、大佐に言われると嫌味にしか聞こえないんスけどー』


 ハボックは拗ねた様に言うとロイは『はははっ』と笑った。


『仮に私がその様に褒められても嬉しくないけどな』

『?何でですか?』


 ロイは笑いを止めて、ハボックが座っている横に座った。

 そして青い空を見上げた。


『青い空は嫌味なだけだ』





 その時の大佐の言葉はよく分からなかった。

 どれだけ青い空を見ても。

 青い空を見る度に元気になれる気がしたからだ。





『じゃぁ大佐は何で言われたいんスか?』

『私か?』


 ロイは『んー』と唸ってから、ニコッと笑みを浮かべてハボックの方を見た。


『眩いばかりの光のような――――何か』


 その言葉にハボックは眉間にしわを寄せた。『何か』って・・・。

 ロイはハボックの顔を見て『クククッ』と押さえた笑い声を漏らした。

 ハボックは良い気分になる訳がなく『何スか?』と膨れ面で聞いた。


『眩いばかりの光のような、何か。青空は皮肉だけど、光はもっと皮肉だ』


 皮肉だと思うなら、何故言われたいのだろうか?


『一番の皮肉だ。私には光などない』


 『確カニ ソウ デスネ』ハボックはわざと片言に言った。それにロイはムッとしながら『そこはおだてろ』と言う。

 それにハボックは青い空に向かって『あはははっ』と笑った。さっきのロイよりもかん高く。

 お返しだ。ロイはムッとしながらボソッと言葉を続けた。


『俺には光がない。でも、光があると本気で言われると嬉しく感じる』

『何故ですか?』

『誰でも『誰かのヒーローでありたい』と思っている。本当の悪などいない。物語の悪だって誰かの光の為に行ってる場合もある・・・そうだろ?』


 ハボックはつい首を傾げた。

 『まぁ、お前の頭には難しすぎたって事だな』とロイはケラケラ笑った。それにハボックは『分ります!』と強がった。  実際には分らないのだが・・・。





 結局全て分らないまま。

 でも。


「今日も綺麗な空だな」


 ただそれだけが分った。


 目を細めた先にある青い空と眩い光。


 きっと今日も彼らは誰かの気持ちを幸せにしている。


 俺らも誰かの気持ちを幸せにしているんスよね?


 もし叶えれば、アンタに届かせたい。


 皮肉の様に、いっぱいの幸せを。

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@言い訳@
 相変わらずの・・・orz(ド殴)本当にスイマセン!ロイハボにしようとしたんですが、これはハボ+ロイですよね。そーいえば、+の時って何が前なんですかね?私はなんとなく視点の人かいっぱい出てる人が先なのですが・・・。因みになんでロイさんが『青い空』とか『光』を皮肉と思うのかは、戦争で人殺しをしていて『そんな綺麗な言葉は似合わないから』が有力です。でも、実際は言って欲しいという感じ・・・というテキトーな感じです(ド殴)
 無駄に長い&色々とスイマセン。失礼します。平成22年7月24日