モスカの中で寝る。

 モスカの隣で軽食を取る。

 モスカを弄る。


 そんな事をしない日は、ない。


 それほどスパナはモスカと一緒なのだ。


 だが、そんな独りの世界、良い、とは言えない。


 スパナにも周りにも、良い、ではない。


 そんなスパナを世界から連れ出そうとする人が一人、世界に入った。


【Twisted World】


 此処はモスカの制作室。

 そこにスパナとγと、モスカがいた。スパナはモスカのメンテナンスをしていた。そこにγが来たのだ。


「おい。」

「・・・」

「聞いてるのか?」

「今、メンテナンス中。静かにして。」

「メンテナンス中になって、もう3日だぜ?」

「・・・」


 そう。スパナがこの部屋に入ったのは3日前。何体も続けてしていたのだ。それを知ったγは眉間にしわを寄せながら此処に来たのだ。


「γには関係ない。」

「関係なく無いだろ。お前の人生全部をモスカに捧げるつもりか?」

「勿論。」


 即答に答えるスパナにγはスパナに近づき、頭を軽く殴る。勿論、γの軽いはスパナにとって普通に痛いより少し上、である。スパナは殴られた頭を抑える。


「お前は馬鹿か!」

「・・・だからって、殴る事ないでしょ・・・。」


 スパナは睨むようにγを見る。γは、当たり前だ、と言う顔をする。空気がビリビリと張り詰める。


「ウチの世界はモスカだけ。モスカが全て。」


 スパナはそう言う。スパナにとって、モスカはスパナの唯一の友であり、心の支え。周りがなんと言おうと、モスカはスパナの大切なモノ。

 しかし、γがそんなの分る筈がない。モスカはスパナの支えとは言え、依存の度を過ぎている。実際に、スパナはモスカばっかし見ている為、人付き合いが苦手でほどんと独りであった。

 だから、スパナをモスカから離したかったのだ。スパナを心の奥で思うγは。


「世界は一つだけだ。俺等が居る、現実、だけだ。」

「ウチはモスカと居る。それだけで世界。」


「モスカは物だ!モスカは何の情も無い、ただの物だ。兵器だ!んなモスカは世界などにならない!!」


「ウチの世界を壊さないで!!!」


 スパナの一言でγは身を引いた。


 スパナにとってモスカは、世界であり、現実である。勿論分かっている。モスカは兵器だと。モスカの世界は、赤い世界だと。人を殺し、建物を壊し、何もかもを消し去る兵器だと。

 それでも、スパナの側を黙って居てくれだ。


 裏切りもしない。反抗などしない。


 裏切られ続けられたスパナにとって、これほど忠心のあるモノはなかった。


 ましてや、γが言う現実は、人が人を殺す世界。金や地位や名誉が全てだ、と言い不利益になる人を殺す世界。愛だの恋だの正義だの、そんなのは戯れ事の何者でもない世界。そんな世界が、スパナは嫌いだった。

 そんな世界に居るなら、忠心だけのモスカが居る世界の方が良かった。




「壊してやるよ。そんな世界。」



 γはそう言うとスパナを抱きしめる。


 世界は残酷だ。

 平気に脳が発達した人間は同じ人間を殺す。それで悲しむ者も居る。憎む人も居る。喜ぶ人も居る。そんな狂った人間の居る世界なら、確かにモスカの居る世界の方が良いだろう。


 たが。


 モスカの世界には決してないモノがある。



「その世界に、温かさはあるか?」


 確かにプログラムなどでモスカは操れるだろう。でも、人肌のように温かい熱は持たないだろ?


「その世界に、心はあるか?」


 どんなに思っても、モスカに心などない。プログラムされた事を実行して・・・ただ、それだけ。それだけなんだ。悲しみも。喜びも。怒りも。驚きも。何もかもが無い。


「ゆっくりで良いから。来い。」



 心を持たぬモスカ。そんなモスカは兵器でしかない。

 たが、スパナは違う。確かに兵器を作っているのには変わりない。

 でもスパナには心がある。

 スパナには温かさがある。


 そしてその心に温かさに答えてくれる人がいる。


―――冷たくなる心を溶かすまで、待つからね。
                       だから、此処までおいで―――



「馬鹿だね。何で此処までするの?」


 もはや、モスカのように心の無いスパナを、何故助けようとする?心の無い人を救っても、何にもならないだろう。何かの裏がある?裏を取ったら、裏切るの?


「さぁな。お前が別の世界に居ると、胸が苦しくなるんだよ。」


 自分勝手な行動だって分かっていた。でも、もしもスパナがモスカの世界から逃げたら、その時は、精一杯受け止めようと思う。モスカにまだ依存しないように。優しく。


「それじゃまるで―――悲劇のヒロインに恋をした人だよ?」


 モスカ以外、信じられなかった。裏切られるから。でも。でもね。今日会ったんだ。モスカ以外にもウチを裏切らない者を。とても温かいんだ。とても心地良いんだ。


「恋、か。そうかもな・・・。もしも、俺がスパナに恋をした、と言ったらどうする?」


 少しだけで良い。誰も信じぬ、孤独主義者の君に触れたかったんだ。孤独主義者に会って、守りたい、と思う心が生まれたんだ。あの日、姫を失ったあの日から消えたこの思いを無くさないように。この微かな温もりを、この微かに蠢く心を、守りたかったんだ。


「どうするんだろうね?ウチ、分らないや。」



 残酷な世界。


 今も、何処かで弱者が権力者に翻弄されているだろう。多くの無罪の血が流れているだろう。でも、そんな世界にしかないモノがある。


 温かさ。心。愛。


 感情があるから、残酷になってしまうのだ。


 純粋などない。でも、貴方と居ると、その不純の心が、純粋になる気がしたんだ。


   同じ世界、歩きませんか?


  どんなに残酷な世界でも。


  どんなに残酷な運命でも。


 貴方となら、一緒に手を繋いで歩けると思います。


Twisted World


 狂った世界。γとスパナの二人で世界を浄化出来るのではないか。そう感じてしまった。


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@言い訳@
 何でしょうねーこの話は(殴:毎回毎回同じこと言いやなって!)ただ『ウチの世界を壊さないで!!!』を書きたかっただけと言う小説・・・。何時の間にか、ポエム?!ん?ポエムなのか?(殴)何があっても、争いはイケマセン。と言う話で(殴)
 では色々とスイマセン。失礼します。平成20年8月3日


背景画像提供者:短生種の戯言 マスタァ様