夢を見た。
真っ暗な闇の中、俺は走っていて。
何からか逃げていて。
そして何故かこの先に何があるか知っていて。
それは―――俺が恐れているモノ。
そう思った時、着いてしまって。
床一面、泉のように紅い液体が溢れていて。
俺はまだ逃げようと後ろを振り向いたら、血まみれの―――仲間や探索隊が倒れていて。
後ろから声がした。
『――――を許すな。』
と。
俺はその声に振り向いて。
後ろの人物に目を見開いて。
そこで目は覚ました。
【The dream came true】
此処は黒の教団。黒の教団はAKUMAや千年伯爵から世界を守る為に創られた組織。
その為、団員は命をかけ、戦っている。
科学班も論外ではなかった。
睡眠時間に食事時間を削り、資料に研究をし続けていた。どんなにやっても減る事のない資料に研究。科学班班員は疲労が溜まる一方だった。その為か、口々と愚痴を漏らす人が多く居た。
そこに科学班班長である、リーバー・ウェンハムが科学班フロアに入ってくる。
「うげっ。酷いな、こりゃぁ。お前等寝て来い。俺がやっておく。」
リーバーはそう言う。リーバーはさきほど仮眠していた。だから、仮眠を取ってない科学班班員を仮眠させようとしていたのだ。
リーバーは此処に居る全員の代わりなど出来ないが、少し経てば少し前に仮眠を取りに行った科学班が戻る。それまでの間、リーバーが此処で仕事をする。
そんな事は度々あった為、科学班班員全員素顔に科学班フロアから出る。リーバーは自分の席に行き、計算を解く。
ガリッ・・・・・
今やってる書類は、計算は、実験は、本当に世界の役に立っているのだろうか?
聞こえてくる報告は、訃報、だ。
リーバーにとってそれは一番辛いこと。リーバーの死ぬ確率は低い。それは実際の戦場に立ってないからだ。どれだけ荒れた戦場か・・・そんなの書類の面でしか分らない。全部が全部分らないのだ。
リーバーは一度AKUMAと交わったことがある。
それは酷く醜く悲しい、兵器。
血の弾丸に当たれば、弾丸に入っているウィルスが体を侵食する。そして砕け散る。
その時の事を思い出しただけで、吐き気がするほど、グロい。だから、この計算式や書類や実験をし続ける。少しでも減らす為に。
結局、AKUMAも化学兵器だ。術だと思っているが、その術も特別なエネルギーが働き、発動しているに過ぎない。
訃報を聞かない為に自分しか出来ない事をしよう。リーバーはそう思っていた。
それでも、減らぬ訃報を聞く度思ってしまった。
何で減らぬ?と。
どんなに書類を片付けても片付けても訃報は途絶えなかった。
どんなに研究で成果を出しても、途絶えない。
ズキッ
リーバーは急に感じた頭痛に眉を顰めた。そして右手を額にくっつける。それでも頭はズキズキと痛む。
こんな時リーバーは毎回思う。自分が機械見たく疲れも何も知らなければ、仕事も多く終わるのに、と。
リーバーは椅子の背もたれに体重を預け、上を向く。
「弱いなー俺は。」
リーバーはボソッと呟く。
科学班班員は気づかなかったと思うが、リーバーは少ししか寝てない。嫌な夢を見てしまい、目が覚めてしまったのだ。それから寝るに寝れず、持ち帰った仕事をしていた。
疲れすぎて、精神が不安定すぎて、寝るのも困難になっていた。こんな時思う。精神とか感情とかなければ良いのに、と。でも、感情や精神が無ければ人に気遣いが出来ない。
リーバーは人に気遣いすぎて自分を無視している所があるが、それも班長の役目だ、と自分に言い訳していた。そしてココロが崩れかけた今、自分は弱い、と思い込む。
そうやって自分を追い込んでいた。それでも気づく者など居ない。
ただ一人を除いて。
『――――を許すな。』
夢の中で言われた言葉。
リーバーは一度AKUMAに交わった事がある。仲間も探索隊も、皆々、死に行っていた。硝子のように崩れ去っていた。
「おー一人で仕事か。ご苦労さん。」
リーバーはその言葉を聞くと後ろを振り向く。そこには男性が居た。癖のある黒い髪に瞳を持つ白人男性。整った顔には似合わないクルクル眼鏡。
「まだ来たのか?ティキ。物好きだな。」
「そう言うなって。」
ティキは苦笑しながらリーバーに近づき、リーバーの左頬を撫でる。
「せっかく、会いに着たんだから。」
リーバーはティキと言う人がどんな人か知っていた。
ティキは千年伯爵の仲間でノアの一族だと。知っていた。
『――――を許すな。』
世界は動き続ける。
聖戦が起きてるのも知らずに。
AKUMAと言う兵器があるのも知らずに。
「まだ痩せた?」
「お前等のせいだ。書類に埋もれて。」
それでも、リーバーはティキを愛さずに居られなかった。
追い詰めるリーバーを解いたのはティキだった。
敵でも良い。
気づいてくれだだけで良い。
苦しみを。
悲しみを。
『教団の裏きり者を許すな。』
その夢の中で言った。教団の裏きり者。
リーバーの振り向いた先に居たのは―――リーバー自身。
教団を裏切るような行為をするリーバー。それでも、リーバーは人だ。感情も精神もある。
悲しみに苦しみの中では生きてられない。
ティキだけが、リーバーの悲しみや苦しみを解いた。
それでも、リーバーの追い詰めは消える事など無い。それでも、そこに笑みがあるから。手を伸ばせば受け取ってくれるから。
AKUMAは許せない。
訃報を減らす為に書類に向かっている。
なのに。
なのに。
敵であるノアに恋をしてしまった。
それでも、そこに光があるから。
それでも、結局は裏きり行為。
ただ、愛して欲しいだけ。
今のリーバーが居るのは、ティキのお陰だって。
それでも、AKUMAは許せない。
計算を解く手は止めれない。
それと同じくらいにティキを手放せない。
(あの夢が正夢になる前にこの関係を止めたいのに。)
リーバー自身そう思っていても終らない。
リーバーが振り向いた先にリーバー自身が居たように、この二重人生は止められない。
「愛してるよ。リーバー。」
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@言い訳@リクエスト内容⇒『D,Gで何か暗めな話』
本当にスイマセン!全然暗い話が書けずorzそしてティキリバ・・・。ティキは二重生活を楽しんでますが、リーバーさんは無理だろうなーとか思ったり。
気に入らなかったら申しててください><
では色々とスイマセン。失礼します。平成20年8月7日
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