負けた。負けた。
そう言いながらスパナが入ってきたのはついさっき。
【You are Defeat】
「って?勝手に死茎隊の先頭データーを盗んで、キングモスカとシミュレーションして、ボロ負けして、此処に来た、と。」
「だって、ウチのモスカが〜。」
スパナはそうとう悔しかったのか目を潤ませながら言う。確かにキングモスカは強い。スパナも自信はあっただろう。いや、負けたのは別に良いのだろう。ボロ負け、が嫌だったのだろう。
まだ、少しでも勝てたら希望があったのかもしれなが、ボロ負けとなると、全ての強さを上げないといけない。
「しかも、ウチのモスカが強くなってる間もあっちも強くなるかもしれない・・・。」
「・・・お前にしじゃぁ、珍しくネガティブだな。」
「ウチのモスカが悲しんでるからだよ!一勝も出来なかったよーって泣いているんだよ!!それで、モスカの未来が不安になるのは当たり前でしょ!!」
「お前は保護者か!」
まぁ、そうだと思った。スパナはキングモスカが好きだ。もはや、母親のようにモスカを愛してしまってるスパナ。モスカを壊されたらどれだけ悲しむだろうか?それでも、戦闘での負傷は大丈夫らしい。良く頑張ったね、と。
γは溜息を吐く。本当に大丈夫か?と。
「モスカは本当に幸せモノだな。」
「え?」
「いや、何っていうか・・・スパナに愛されて。」
一つ一つ、部品を繋ぎ合わせて。寝るのも食べるのも惜しんで、創られたモスカ達。そんなモスカは感情など無い、が、とても愛に満ちられ幸せそうだ。
沈黙が走った時、電子レンジが鳴る音がした。スパナが来た時に電子レンジに牛乳が入ったマグカップを突っ込んだのだ。
俺は電子レンジから温かくなった牛乳、ホットミルクを出す。そしてスパナに渡す。
「・・・有難う。」
「ん。取り合えず、それ飲んで落ち着け。」
スパナは頷くとホットミルクを飲む。γはスパナを見て、思った。まだ、モスカに依存してるのかなーと。
スパナにとってモスカは何も裏切らない―――世界のような存在だった。俺はスパナが好きだが、スパナを無理矢理引きずり出す事は出来なかった。本来の俺なら引きずり出すのだが、スパナにはどうしても出来なかった。
壊れそうで。
「ご馳走様。」
スパナは完璧に落ち着いたのだろう。繋ぎのポケットからスパナ型飴を取り出す。たが、その飴は舐めずに、そのまま倒れるように後ろから抱きづいてきた。
「γ、有難う。大好き。」
俺は目を見開いた。そして今の状況を考える。有難うはホットミルクだろう。あるいは、話を聞いてくれて。じゃぁ、大好きは?
モスカの事を?それとも―――俺を?
話の流れからしてモスカは有り得ない。でも、スパナは突拍子もない事を言ったりしたりする。それでも、有難う、と言ってから、モスカ大好き、と言うか?
それに、その後何も言ってこない。モスカならこの後モスカの自慢が始まる筈。でも、無い。これは俺の事を大好き、が正しいだろう。
俺それを信じ、恐る恐るスパナの方を振り向く。
「スパナ―――」
「ぐーすぴー」
俺は前を向き、片手で両目を覆う。スパナは寝ていた。しかも、気持ち良さそうに。両手で俺のブラックスペルの服を握って。その片手には飴も握られている。
泣いた後だからだろう、頬もほんのりと紅く染まっていて・・・。
(あー。俺って結構ヘタレだなー。)
俺はブラックスペルの服を脱ぎ、布団を取りに行き、スパナに被せる。
そして起きるまで、スパナの柔らかな髪を撫でた。
キングモスカよりも、死茎隊よりも、スパナの方が強い。
此処の中でそう思った。
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@言い訳@
ヘタレγでスイマセン!!やっぱしヘタレ攻しか書けないよー(ド殴)そして密かにネタバレ。スパナさんはモスカ好きwそんな愛情たっぷりなモスカにγさん嫉妬!そんな話が書きたいし、甘い話が書きたい・・・。
では色々とスイマセン。失礼します。平成20年8月11日
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