薬で発揮をするとしたら、言語あるいは一部の体の変化、ぐらいだと思っていた。

 たが、違った。


「これは科学的に凄いことですよ!」

「シャーー!」


 ジョニーは明るい茶色の猫の頭を撫でる。猫は気持ち良さそうに目を細めるが、威嚇の声を出す。

 猫は明るい茶色髪と白なのに、左耳と尻尾の先だけ黒い。可愛らしい猫姿なのに、声は何処か低い。


「思考まで猫じゃないでしょ?ほら、お手。」


 マービンがそう言いながら手を出すと、猫は無言のままマービンの掌に手を乗せる。この猫は本当の猫じゃない。

 科学班班長、リーバー・ウェンハムなのだ。コムイが作った薬を飲まされ、何も起きず、科学班フロアに戻った時発動した。姿が猫になってしまったのだ。



【You Are Cat】



 リーバーは仕事が出来ない。だからと言って、科学班フロアを出れば周りから変な目で見られる。下手すれば殺されてしまう。だから科学班フロアに居る。

 勿論、コムイには話していない。話せば仕事をせずにリーバーを拉致し、実験をする可能性があるのだ。

 リーバーは猫好きロブが用意したクッションの上で寝転がる。まだ猫の姿に慣れないのだろう、仰向けになったり横にしたりする。でも、やっぱし人と違いうつ伏せの方が楽だった。

 爪と指の肉の間がムズムズし、リーバーはソファーで爪を研ぐ。どうやら本能までもが猫化しているようだった。

 そんな猫化したリーバーを見て科学班班員は、可愛いー、と思ってしまった。リーバーはそんな視線を気にせずに猫の本能のまま爪を研ぐ。

 そしてリーバーは爪研ぎにも飽き、欠伸をする。そして身を丸め眠る。



 少し経ち、区きりがついたジョニーは班長に近づく。リーバーは徹夜続きだったからか、グッスリと眠っていた。

 ジョニーはソーっとリーバーの頭の上に手を乗せ、撫でる。リーバーの尻尾が小さく振る。そう思ったらリーバーは目をゆっくりと開き、ジョニーを見上げる。

 ジョニーは頭から手を離す。


「ご、ごめんなさい。」

「にゃぁ。」


 リーバーは、別に良い、と言うかのように鳴く。そして右手で顔を擦る。ジョニーはもう一度触れようとした時、リーバーは立ち上がり、リーバーは伸ばしていたジョニーの指を2,3回舐め、歩き出す。

 向かったのはマービンの机の下の端。そこで丸まる。マービンとジョニーはリーバーを覗き込む。微かに震えてるような気がした。

 理由が見つかる前に、理由がやってきた。



「やぁ、皆!元気かい?」


 そう、この男。漆黒の髪に瞳を持つ男性、コムイ・リーだ。コムイの気配を察知したリーバーが机の中に隠れたのだ。


「あれ?リーバー君は?」


 嬉しそうに、ニヤニヤしながら科学班フロアを見回す。その声を聞き、リーバーはより身を丸めた。マービンは溜息を吐きながらコムイを見つめる。


「居ませんよ。気持ち悪い、とか言って早引きしました。」

「えー。嘘だー。」

「嘘付いてどうするんスか?」


 もしかしたらコムイは真剣に探しているかもしれないが、探していても、今のリーバーを出す訳には行かない。


「用なら後で俺が伝えときますよ?」

「いやーそれじゃぁ駄目なんだよねー。」


 そう言うとコムイはマービンに近づく。そして机の下を覗き込もうとする。それをマービンがゴミ箱を蹴り、見えないようにする。

 コムイはニターと笑う。


「そうなんだね。」

「何がです?」

「隠しても、無駄w」


 そう言うと無理矢理マービンとゴミ箱をずらす。

 マービンは冷や汗が流れ、落ちる。



「居ない?」


 コムイは目を見開き、そう言う。そこにはリーバー所か猫の姿すらなかった。コムイは机の下に入り見るが、誰も居ない。


「にゃー。」


 遠くから猫の声が聞こえた。コムイはニヤケ笑みのまま顔をあげる。それを見た科学班班員は一斉に猫の鳴き声を始めるが、もう遅かった。コムイは猫の声がする方に向かう。

 ある扉の前に着く。そこにはロブが扉にへばり付く。その扉からは猫の声が聞こえてくる。コムイはニッコリと笑みを浮かべながら扉に手をかける。たが、ロブが必死に扉が開かないように阻止する。勿論、好奇心旺盛なコムイに勝てる訳もなく、扉が開けられる。



 ガガガッ



 扉の向こう。


 ジョニーが布に包まれた物を抱えていた。


「何で隠すのさ。」

「あ、」


 コムイは笑みを浮かべながら布ごと物体を掴む。もがいているのか震える。そしてゆっくりと布をゆっくりと捲った。


 ドックン


    ドックン



 コムイは目をゆっくりと見開く。


 そこには猫ではなく、自動マッサージ器があった。



 コッ




「にゃにしてるんスか?」


 コムイが振り向くとそこには白衣をいつも異常に着崩しているリーバーの姿があった。しかし、リーバーの頭の上には耳があり、頬には硬質な長いひげが飛び出ている。

 コムイはリーバーを見て笑み浮び、リーバーに抱きつく。


「可愛い!」


 そう言うと頭の耳を触る。そしたら、綺麗に研がれた爪でコムイの顔をひっかく。


「痛いよー。」

「室長がこんにゃ体にしたんでしょ?身に染みてやらにゃいと。」


 そう言うとリーバーは笑顔のままコムイの顔や腕を引っかく。

 リーバーはあの時、机と机の間に入り込み、見えないところに行ったのだ。あの時コムイが聞いた声はジョニーが鳴いた声だったのだ。リーバーの所から目線を離す為に、と。


「ちょっ、痛い、痛いってば!」

「ほら、仕事をしないと、もっと引っかきますよ。」


 その後、完璧に人間に戻るまで3日はかかったとか・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
@言い訳@リクエスト内容⇒『猫になった班長 (班長+科学班)』

 スイマセン><猫の動画を見て、机と机の間に入り込むのは簡単だろうなーと思ったり^^;(殴)そして本物の猫・・・orz冗談効きませんw(ド殴)
 気に入らなかったら申しててくださいm(_ _)m
 色々とスイマセン。失礼します。平成20年8月22日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様