今日も此処、東方司令部でグタグタと会議が行なわれる。

私、ロイ・マスタングは資料を真剣に見てる、振りをしている。

この前起きたテロの話しだったが、正直な話昨日もやったのだ。今回が最終だったが・・・この調子だと・・・明日もやるよ うだな・・・。

 私は心の中で溜め息を付いた。そして大部屋で書類仕事を苦戦しているだろう、私の恋人のジャン・ハボックの事を思う。


【堕ちて堕ちて】


 定時を余裕で過ぎた今、会議が終った。・・・長かった。

私はヨロヨロッと顔を上げると真横に人の気配を感じた。


「ローイw」

「何気色悪い声を出しているのだ?」


 私が言うと真横で資料を大量に持った私の友人、マース・ヒューズは『うわーっ!!酷ぇー!!』と大げさなリアクションで言う。

 私はヒューズのリアクションを無視し、資料の束をまとめる。

私はそのまま会議室を出る。ヒューズも後ろから私に着いて来る。


少ししてから、ヒューズは思い出したように


「あぁそう言えば、昼の休憩時間でフッと窓を覗いたら、ハボック少尉とブレタ少尉が、寄り添って、楽しげに話していたぞー。」

「・・・。」


 私は黙る。

ハボックとブレタ少尉は幼馴染みでありながら軍の同期。その事があってか、ハボックとブレタ少尉は一緒に居る事が多い。


 ただ、嫌なのは此処から。


付き合い始めてから、ハボックとブレタ少尉が接する時間が多くなった。

 『ジャン!今日食事に行かないか?』『あっ、スイマセン大佐。俺ブレタと約束があるんで、まだ今度。』

 って事が結構ある!

黙り込んでいるのは、現実に戻るのが嫌なだけだ。せっかく、会議中で可愛いジャンを想像したのに・・・。


「昨日も何か楽しげに笑っていたぞー。」

「・・・・。」

「昨日、一緒に食事に行った時も楽しげに子供の頃の話しを喋ってだぞー。」

「・・・・ん・・?ちょっと待て!食事って何だ!」

「嘘に決まっているだろー。昨日、何時に会議が終ったと思っている?夜の11時だぞ。お前も居ただろうが。」


 ヒューズは百面相で結構分かりやすい性格だが・・・声のドーンだけでは良く分からない。まぁ、考えている事も分からないけどな。

 私は心の隅から隅まで嫌な空気で汚れた。もう、最悪だ。


「もう、家に帰りたい・・・。」


 荷物は最初から大部屋に置いて無い。会議が長引くのを知っていたし、今日は書類仕事はしなくで良い。それに、ハボックとブレタ少尉が一緒に居る場所へ行きたくない。


「まるで、負け犬だな。」

「何度でも言え。」


 ヒューズはクククッと笑っていたが私の言葉で急に止まる。きっと目を見開いているのだろう。後ろから慌てて私に追い付こうとする足音が聞こえた。

 足音は私のすぐ真後ろで消え、私の歩く速度と合わさる。


「大丈夫だ。」


 何故か、落ち着いた声でヒューズは言う。

私は止まり、ヒューズの方へ振り向く。ヒューズは迷いの無い瞳で私を真っ直ぐと見ている。


「少尉はお前の恋人だろ?少尉は違う誰かと付き合う奴じゃねぇ。それにアイツだって少尉をお前から奪い取る奴じゃ無い。だから大丈夫だ。」


 さっきと同じ声のドーンなのに、私の心の嫌な空気を晴らす。

ヒューズはニコリッと笑い、


「大部屋に行こう。少尉も待っている。」

「言い切りか。お前は千里眼を持っているのか?」


 私はクククッと笑いながらその足を大部屋へ向ける。

ハボックは居ないかもしれないけど、可能性を捨てたくない。




「あっ、大佐。お帰りなさい。」


 今日始めてのハボックの台詞がソレ。

ハボックは誰も居ない大部屋で一人コーヒーを飲みながら自分の席でのうのうと座っている。

 後ろからヒューズのクククッと言う笑いを堪えた声が聞こえる。そして微かに『言った通りだろ?』と聞こえる。

 ハボックは聞こえてないのか、コーヒーを一気に飲み干し、帰りの仕度をする。

 私は唖然としながら、


「どうしで此処に居る?」


 そう問う。

ハボックは仕度をする手を止め、私の方を不思議そうに見つめる。


「一緒に帰るためッス。」


 それだけを言うとハボックはまだ仕度を続けた。

私はそんなハボックを目を丸くしながら固まっていると、後ろから伸ばされた手が肩にのる。ヒューズの手。ヒューズは私の耳元で


「じゃぁ、俺帰るわ。お二人でこゆっくりw」


 そう言って離れて行く。

結局ハボックの事は、私よりもヒューズが分かって、ヒューズよりブレタ少尉が分かっている。って事か。


「大佐、お待たせしました。」


 ハボックが私の目の前に近寄る。私よりハボックの方が大きいが、可愛らしく感じる。


 ハボックを分かっているのは私では無い。


やばっし、ハボックの全ては私が知りたい。

 私は堕ちる。どんな奥底でも堕ちよう。


 だからハボック、

恐がらずに、

      私の堕ちた底まで

そして一緒に堕ちよう。


「さあ、ここまで堕ちておいで」


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@言い訳@
 お題は相変わらず、合わず・・・。そして、今回は『可愛らしいハボック』になってしまいました《滝汗》本当は、ブレタ少尉に嫉妬する大佐を書きたかったんですが書けずorz  そして私の中でブレタさんは酷い人に・・・。
  では色々とスイマセンでした。  失礼します。 平成19年10月14日


背景画像提供者:ECRU  トペ 様