※現代パロ設定。



 年に一度の、記念の日だから。


 俺には、無い日だから。


 だから。


 だから、祝いたいんだ。



【Happy Birthday Tiky Reever】



 リーバーは大学の帰り、家に向かっていた。もう既に周りは暗く、静まり返っていた。


「遅くなっちゃたなー。」


 リーバーはそう呟く。時計は既に12時を回ってしまっている。

 リーバーが階段を昇りきった時だった。自分の部屋に扉の前に居る者を見つけたのだ。リーバーは目を見開き、近づく。

 その者はリーバーの竹馬の友であり、恋人であるティキ・ミックであった。ティキは扉に背を預け、寝ていた。

 リーバーはとりあえず、しゃがみ込みティキの顔を覗き込む。だがティキは起きない。そんなティキを見てリーバーは溜息を吐いた。そしてティキの肩を揺する。


「起きろー。起・き・ろっ!」

「ん、んんっ。あれ?リーバー?」


 ティキは起きたばっかしで頭が上手く働いてないのだろう。状況が分らないようで、目を擦っていた。リーバーはハァとまだ溜息を吐く。

 ティキは今の状況をボーッと考える。そして何かを思い出したように慌てて腕時計を見る。そしてあー、と肩を落とした。

 リーバーはショックを受けるティキを見て首を傾げる。


「どうしたんだ?」

「お前は、何でこんな時間まで帰ってこなかったんだよ!一種の反抗期って奴か?」

「はぁ?仮にそうだとしても、誰に反抗するんだよ!俺は一人暮らしだ。・・・それよりも、中入れ。」


 リーバーはそう言うとティキを部屋に招きいれた。



「で?何であそこにいたんだ?」

「・・・お前、今日が何の日か覚えて無いのか?」

「今日?」


 ティキがムスとしながら言った一言にリーバーはんーと思い出そうとする。最近、大学の研究で忙しかったから、カレンダーなどほどんと見てなかった。大学と家を行き来していたとは言え、一日が過ぎる、感覚が曖昧になってしまい、時間間隔が無い。

 リーバーは立ち上がり、8月のままのカレンダーを捲り、9月を見る。


「えーっと、大学の研究が始まったのが28日からだから・・・あれから・・・9月9日?」

「違う!その一日前!」

「一日前って・・・あ、もしかして、俺の誕生日?」


 リーバーが問うとティキはゴクッと頷いた。12時過ぎて、次の日になってしまったが・・・9月8日はリーバーの誕生日だ。


「まさか、ずっとあの玄関で待っていた・・・とか?」

「当たり前だ!夕方5時から居たんだぞ!」

「え、約7時間も?!」


 リーバーは申し訳ない気持ちと当時に、諦めろよ、と言う気持ちが出る。


「これ、誕生日プレゼント。」


 そう言うと、綺麗に包まれた箱を取り出し、リーバーに差す出す。リーバーはその箱を受け取り、包みを丁寧に開ける。そして出てきたのは、イヤリング。

 ティキは苦笑いを浮かべた。


「安くてごめんな。」

「ううん。有難う。凄い嬉しい。つけて。」


 リーバーは笑みを浮かべながらそう言う。ティキはリーバーの滅多に言わない願いに頷き、イヤリングを手に取る。

 そしてリーバーの耳を見る。リーバーの耳には穴など無い。


「良いのか?開けて。」

「あぁ。だって、これからもずっと付けたいだろ?」


 リーバーは苦笑しながら言う。ティキは苦笑しながらリーバーの耳にイヤリングの針を刺す。


「いっ!」

「大丈夫か?」

「平気。」


 リーバーは笑みを浮ばせるが、眉間にはしわが寄せていた。ティキは黙ったままイヤリングをつける。


「片方もやる?」

「お願い。」


 そう言うとティキはもう片方もやる。痛みを伴ったが、付け終わる。


「血が出てるが、付けてる内になれる。」

「有難う。」


 ティキは笑みを浮ばせながら、近くにあった手鏡をリーバーに向ける。


「とても、似合ってるよ。」

「有難う。」

「いえ。」


 ティキはそう言うと、リーバーを抱きしめる。


「誕生日、おめでとう。リーバー。」

「ティキ、有難う。」

「おいおい、さっきから礼言ってばっかしだな。」


 ティキが笑いながら言うとリーバーは笑みを浮かべながら理由を言う。


「誕生日って言うのは産まれた事を祝う日と当時に、周りに感謝する日なんだ。」

「へぇー。そうなのか。」


 ティキには誕生日など無い。元は孤児だった。その為、本当に生まれたが分からない。義理の親が誕生日らしき物を作ったが、違うと思い、あんまし使わない。


「リーバー。」


 だからなのか、ティキはあんまし人の誕生日を祝った事が無い。


「ん、何?」


 だから祝いたいと思った。


 心から。


 一番大切な人だから。


「生まれてきて有難う。」


 ティキはそう言うと、より強くリーバーを抱きしめる。



「気色悪いよ。」


 リーバーはクスと笑い混じりながら言う。


「でも、有難う。」


 愛している。


 だから祝いたいと思った。


 初めての、愛しいと思った人だから。


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@言い訳@
 誕生日ss!ティキリバ編!しかも、パロです・・・スイマセン。しかも、ピアスは無い予定だったのに・・・指輪はどうかなと思い、ピアスにしたら・・・orz
 リーバーさん誕生日おめでとう!
 色々とスイマセン。失礼します。平成20年9月8日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様