女は面倒だ。


 記念日を勝手にいっばい作って。


 その記念日を一つでも忘れると、怒り出す。



 でも、その記念日を作らず、それ以前に一番大切な記念日自体忘れる。


 そんな奴が、一番面倒だ。


【Happy Birth Cross Reever】


 此処は科学班フロア。そこでカリカリカリッと仕事をする者が一人いた。科学班班長、リーバー・ウェンハムだ。

 リーバーは仕事をし続ける。回りはほどんとノックダウンしているが、生存者も居る。しかし、今にもぶっ倒れそうになっている。リーバーも限界を超え、手元が霞んでいた。

 その時、今日と言う日の終わりを知らす時計の音が鳴った。そして今日が始まる。

 リーバーはそれをも、BGMとし、仕事をし続けていた。


 ガチャッ


 その時、扉が開けられ、入ってきた。生存している科学班班員は入ってきた者を見て目を見開く。

 入ってきた人はそれを気にする事なく、手を動かし続けるリーバーに近づく。


「お前は自分の生まれた日まで、仕事をするのか?しかも、仕事と一緒に寝るつもりか?」


 リーバーはその声を聞き、手を止め、後ろを振り向く。

 そこには、血を零したような紅の髪に瞳を持つ男性が立っていた。男性は、クロス・マリアン元帥。


「元帥・・何故ここに?今は任務中の筈ですが・・・。」

「帰ってきたんだよ。一応、報告はした。」


 クロスはそう言うとタバコを深く吸い、煙を吐き出す。リーバーは眉間に皺を寄せる。


「何しに来たんですか?」

「今日はお前の誕生日だろ?祝いに来た。」


 クロスはそう言うと鞄から紅い薔薇の花束をリーバーに放り投げる。リーバーは受け取ると、薔薇の花束を見つめる。薔薇の花束から良い匂いが香る。


「えーっと、有難うございます。」

「まぁな。」


 何処か素っ気無いクロス元帥に顔を傾げるリーバー。そりゃぁ、女好きのクロス元帥が野郎に薔薇の花束なんで嫌だろう。


「どうしたんですか?もしかしてこれ、他の女性にあげようとしたのに、女性がこれなくなって、だから俺にプレゼントした、ですか?」

「・・・なぜそうだと思う?」


「そりゃぁ、毎年、そんなプレゼントを貰ってると、勘付いてきます。」


 リーバーは綺麗な笑みを浮ばせた。クロス元帥は鼻で笑った。毎年くれるプレゼント。でも、クロス元帥は野郎にプレゼントなど渡す訳が無い。


「そう思うなら、そう思って置け。」


 そう言うとクロス元帥は背を向け、科学班フロアから出て行く。リーバーは苦笑しながら薔薇の花束を見る。どれも枯れの無い薔薇達だ。

 そしてリーバーは、その中に紙がある事に気付く。手紙だろう。安易に気付く。リーバーは興味からその手紙を開く。

 どんな女性に当てた手紙だろうか、と。



【Happy Birthday. Reever】



 だが、違った。


 それは紛れなく、リーバーに当てた手紙だった。しかも、機械を使った文字ではなく、綺麗な達筆だった。

 リーバーは科学班フロアの入口を見る。


 だが、もう居ない。



「違うって、言えば良いのに。」


 リーバーは薔薇の花束をギュウと抱きしめる。


 いつも、クロス元帥から一番にプレゼントを貰う。


 その時に気付く。


 あぁ、今日が誕生日なんだ、と。


 なのに。


 素顔に受け止めれなかった。


 でも、今回は、素顔に受け止められました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
@言い訳@
 クロリバ編。何だこの話!クロス元帥は薔薇の花束だなーと。でも、そんなマメじゃないよなーとか・・・orzでも、クロス元帥は大切な人には本当に大切にするし、トンカチで殴らないと思います!アレン様は、愛のムチですw(ド殴)
 リーバー班長、誕生日おめでとう!
 色々とスイマセン。失礼します。平成20年9月8日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様