リーバーは5日間と言う労働を終え、2日間ものの休日を過ごし、清々しい朝を迎えていた。

 科学班班長として、2日間の休日などほどんと無い。1日の休日だけでも少ないのに・・・。2日間、町に出て本を買ったり、食事をしたりして、ベットで寝っ転がりながら本を読んだりした。

 仕事の時間を忘れ、有意義に過ごしたのだった。


「んー。楽しかったなー。よしっ!仕事頑張るぞ!」


 リーバーはそんな独り言を呟きながら、仕事に埋もれる科学班フロアに入る。


「やぁ、皆元気か―――って、あれ?」


 リーバーは目を見開く。いつもなら、文句や弱音を呟きながら必死に書類仕事をする科学班班員の姿がある筈なのに、居なかった。


 居なかったまでは良かったのだ。


 変わりにプカプカの白衣を着ている―とは言い難い;―小さな子供達が泣いていたのだ。

 リーバーは目を見開いたまま固まる。そして今の状況が現実なのか、頬を抓る。勿論、痛い。リーバーは抓る手を今度は痛みを感じる頬を擦る。擦りながら今の状況を独り言を言いながら考える。


「えーーーっと、え?え?ちょっと待ってな。えーーっと。此処、科学班フロアだよな?何で?何て?子供が居るんだ???」

「あっ!リーバー班長!」


 子供の一人がリーバーの顔を指差す。そして向かおうとするが、大きい白衣で突っ掛かってしまい、転ぶ。

 リーバーは両手で頭をかかえる。


「え?え?どういうことだ?俺の名前を知っていると言う事は、やっぱし科学班なのか?いや、科学班にこんな子供がいない。体が子供化しただけか?リーバー班長って言ったと言う事は、そう言う事だろ。いや、でも、何で数人だけなんだ?子供はかなりの人数が居るのに、何で数人なんだ?てか、この子供は―――っ!」


 混乱するリーバーの白衣を引っ張るものが居た。リーバーはそのモノを見る。キャラメル色の髪を持つ青年。その顔には、あの人の面影があったが、リーバーは現実を認めたくなかった。

 青年は現実を認めないリーバーに笑顔のまま溜息を吐き、リーバーの肩に手を置く。


「班長、現実を見ましょうよ。逃げじゃ駄目ですよ。」

「やっぱし・・・。」

「俺はマービン・ハスキンです。」

「やっぱしっ!!!」


 こうして、リーバーの悪夢が幕を開けたのであった。



【You Are Nurse】



 リーバーは泣く子供をあやしながらマービンに今の状況を聞く。


 あれは今日の朝方・・・リーバーが来る30分前の事。変わらずに減らぬ書類仕事をしていた時だった。

 その時に、陽気にコムイが入ってきたのだ。


『頑張ってるかい?』

『室長、仕事は?後30分ほどで班長が戻ってきますよ。』

『でも、仕事進んでないねー。』

『誰のせいだ!!』


 間違い無く、室長のせいだ。コムイは最後の言葉を聞かず、フフフッ、と笑う。科学班班員は身を引く。


『やっぱし、子供で癒されたくない?』

『はぁ?何で子供が出てくるんスか?』

『親子の原理だよ。親は子の為に頑張る!それで仕事が早く終る!』

『おいおい。趣旨が変わってるだろ。癒され、は何処に行った?後、子供なんで居ません!』


 そう言われると、まだフフッと笑う。そして、ホースを手にし、科学班班員に向ける。科学班班員は気付き、逃げようとしたが、間に合わなかった。ホースから液体が勢い良く出てきて、科学班班員に当たったのだ。そして科学班班員は子供になっていった。

 どうやらその液体にかかったものは子供化するらしい。しかも、約5歳以下はならない。だが、掛かりすぎると理性までもが子供化するらしい。


「室長は・・・。」

「俺がホースを奪い、室長にかけました。・・・気持ちを察してください。」

「分る。俺も絶対にそうする。後もう一つ。何でお前は青年のままなんだよ。みんな、小さくなってるのに!」

「逃げたからに決まってるでしょ。」


 マービンは火が付いたタバコを加え、親指を立てる。リーバーは怒りマークを浮かべさせ、マービンが加えているタバコを奪う。


「兎に角、お前はジェリーさんと婦長に応援を頼んできてくれ。一人だと無理だ。」

「了解。」

「後、お前は未成年だろ?タバコは吸うなよ。」

「・・・へいへい。」


 マービンはムスッとしながら科学班フロアから出る。リーバーは見送ると、前を向く。そこには、走り回る子供達や、リーバーを見上げる子供達が居た。特に問題は、走り回る子供だ。此処には大事な書類がある。子供達が走り、書類が舞っている。このままだと駄目だ。

 リーバーは勢い良く息を吸い、叫ぶ。


「集合っ!!」


 リーバーの言葉を聞き、子供達はリーバーの近くに寄る。さすがは、科学班だ。探索隊などと違い、それなりに人の言う事は聞いてくれる。

 でも、この後はどうする?マービンが帰ってくるまでこのままでいてくれるとは思えない。

 リーバーは子供と遊ぶなら何が良いか考える。しかし、あんまし遊んだ記憶が無いリーバーにとって、それは難しい事だった。すぐに思いつく遊びは、鬼ごっこや隠れんぼ、だ。だが、科学班フロアでそんな事をしたらいけない。

 書類が墨で汚れ、踏まれ、書類のやり直しになるかもしれない。飲み物が入っているフラスコが割れ、怪我するかもしれない。

 そして、考えても無駄な事に気付く。とりあえず、集中が切れてきた子供達をコッチに集中させる事にした。満面の笑顔になり、子供達を見つめる。


「はーい!お兄さんに注目!」


 自分で、お兄さん、とは・・・それだけで顔から火が出そうだ。しかし、子供達はそれを気にせず、はーい、と元気良く返事をする。リーバーは一回目を閉じ、ゆっくりと開く。

 自分を捨てろ。そう思い、覚悟を決めた。


「はーい!それじゃぁ、マービン兄さんが来るまで、お兄さんと遊んでいようか!」

「「〜「「わーいw」」〜」」

「でも、知らない人とあそんじゃだめって言われたよ?」


 そう言ったのは、女の子に見間違えるような子供。漆黒の髪に瞳を持つ。目は切れ長だ。その姿を見てリーバーは目を疑った。


「えーっと、コムイさん?」

「うん。でも、何でぼくのなまえ知ってるの?ふしんしゃなのに。」


 コムイは首を傾げる。外見が幼い頃のリナリーにソックリだ。やっぱし、兄弟だったんだなーとリーバーはしみじみと思った。

 リーバーは笑みを浮ばせ、コムイと同じ目線になる。


「不審者じゃないよ。コムイさんが知らないだけで、会った事があるんだ。」


 そう言うとコムイを抱きしめた。そしてあやす様に背を優しく叩く。そして少し経ち、離れる。


「よしっ!それじゃぁ、これから何かして遊ぶ。何して遊びたい?」

「はい!鬼ごっこ!」

「かくれんぼー!!」

「色鬼!」


 色々なアイデアが出たが、どれも運動系だ。


「それじゃぁ間を取って、ままごとごっこをしようか。」

「「〜「「えぇぇー?!!」」〜」」


 否定する子友達。リーバーは苦笑する。その他の遊びなんて全然分らない。その時、リーバーを助ける者が居た。


「みんな、だめ!リーバー兄さんの考えにしたがう!」


 コムイだった。コムイはリーバーの前に立ち、同じ歳であろう、子供達に従わせる。コムイは完璧にリーバーに懐いたようだ。リーバーはそれにジーンとなる。

 子友達もコムイの一言で受け入れる。


「えーっと、それじゃぁ、ままごとごっこをしようか。」

「じゃぁ、ぼくがリーバー兄さんのおっと!」


 そう言うとコムイはリーバーの足に抱きつく。


「あの、コムイさん?」

「よいではないか。よいではないか。」

「それ夫じゃないし、何処で覚えたんだ?!」


 コムイは子供の頃から他の人と思考が違うようだ。そして、子供達は普通と思考が可笑しいコムイの真似をし始めた。リーバーの足に抱きつく。


「お前等な;」

「ままごとごっこだよ。てか、おっとはこんなにいらない!ぼくのリーバー兄さん!」


 そう言うとコムイはリーバーをギュウッと抱きしめる。周りの子供達は、えー、と非難の声を出す。子供達は唯一の大人のリーバーを他の人に渡したくない為、リーバーに抱きづく。


「いやっ!リーバー兄さん、あっちであそぼう!」

「いや、皆仲良く―――」

「はなれろっ!」

「こらこら、喧嘩しじゃ駄目でしょ!」


 リーバーは押されて泣いた子供に近づき、皮がむけている膝に手がくっつかない程度にかざす。そしてゆっくりと撫でる素振りをする。


「痛いの痛いの飛んでけ!」


 そう言う。子供はキョトンとする。ベタ過ぎたか・・・そう思ったが、子供は満面な笑み浮ばせる。

 それを見ていた子供達は、うえーん、と嘘泣きを始める。


「え?え?」


 リーバーは一気に泣き出した子友達にあたふたし始める。そんな困っているリーバーを見てコムイはムスッと頬を膨らました。そして嘘泣きをする子供達に指を差す。


「リーバー兄さんを困らせちゃだめっ!」


 懐いたを通り過ぎてるコムイの言動を見て、リーバーは苦笑してしまう。勿論、コムイの言動に良い様に思う者は居ない。


「えー。ずるい!一人だけ!」

「ねぇ、ご本読んでー。」

「いや、鬼ごっこしよう!。」


 まだリーバーに近づく子供達。リーバーは一人で、子供達全員は相手に出来ない。

 リーバーがどうしようか、あたふたしてる時だ。応援を連れ、マービンが帰ってきた。


「おー、凄いグタグタだな。」

「来るの遅ぇよ!」

「そんな言葉遣いだめよ。子供達が真似したらどうするの!」


 ジェリーは説教をする。婦長は子供達に近づき、同じ目線になり、手を広げる。子供達は一気にリーバーの後ろに隠れ、婦長から避ける。


「・・・」

「「〜「「・・・」」〜」」


 ブワッと婦長は鬼の様なオーラを出す。子供達はそのオーラに顔を恐怖で染める。


「婦長、この子達は今、子供そのものなので・・・」

「なんだ、マービンちゃんが慌てていたからもっと大変な事になってると思ったら、懐いてるんじゃない。私達は要らないわね。」

「いや、一人でどう頑張れ、と!」


 リーバーがそう言うとジェリーは笑みを浮かべながら手に持っていたバスケットをリーバーに渡す。バスケットの中には何十色もある折り紙が大量に入っていた。


「これで、大丈夫でしょ?9時になったら食堂に来なさい。お昼をつくって待ってるから。」

「あ、はい!有難うございます!」

「後はマービンちゃんと二人、頑張って頂戴。」


「「え;」」


 そして、ジェリーと婦長は去る。一瞬固まったが、子供達の目線に気付き、子友達に言う。


「それじゃぁ、折り紙をしようか!」

「「〜「「わーいw」」〜」」


 そして子供達に折り紙を渡す。でも、ほどんとの人は分からないようだ。それもその筈。折り紙は東の国、日本の伝統なる遊びなのだから。リーバーは言語学で日本語も範囲に入っており、日本の歴史なども知っている。それでも、ツルしか作れない。

 それでも、皆で一斉に作った方が紙も減らず、時間稼ぎにもなるだろう。


「それじゃぁ、これからツルを作ります!ツルとは首の長い鳥の事です!」

「班長、ノリノリ♪」

「えーっと、まずはこのように三角に折って。」

「・・・無視か。」


 そしてリーバーの説明の元、不揃いなツルが作られた。


「それじゃぁ、皆で作って、千羽つくろうか!」

「作ったらどうなるの?」

「願いが叶うんだよ。」


 そう言うと子供たちはニッパーと笑顔になる。そして折り紙を取り、折り始める。




 そして数時間後。不恰好な千羽のツルが出きる。リーバーは時計を見る。もう少しで9時だ。


「それじゃぁ、食堂に行こうか。」

「「〜「「わーい」」〜」」


 そしてうきうきしながら科学班フロアから出る。


「おいおい、保母さんになったのか?」

「保母さんじゃない、保父さんだ。」


 周りから冷たい目と冷やかしの目で見られた。それでも、耐えなかったら、子供達が混乱し、危険な事が起きる。後で覚えてろよvV、とリーバーは笑顔を崩さずそう思った。

 そして、冷やかしを言われるだけで、無事食堂につく。食堂の3分の2が誰も席に座ってない。そして机の上には湯気が立つハンバーグセットが置いてあった。


「いらっしゃいw」

「わざわざ席をあけてれたんですか?」

「勿論w」

「有難うございます。」

「良いのよ。」


 リーバーは笑顔のまま子供達を椅子に座らせる。

 そして食事の時間。子供達は美味しそうにハンバーグを頬張る。リーバーは笑みを浮かべながら子友達を見る。


「班長、保父とかいけますよ。」

「保父か。保父はもう嫌だけど、学校の先生とか、希望が持てるようになった。」


 リーバーは苦笑いをする。それでも、自分が子供が好きなのだと、改めて知った。

 子を持つ親って、こんな感じなのだろうか?そうも思った。




 それから、数時間後、子供達は成人に戻った。


 千羽ツルは今も科学班フロアの端で、風に揺れている。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
@言い訳@リクエスト内容⇒『リーバー以外子供化☆原因は室長』

 長い・・・orz(ド殴)しかも最後は無理矢理?!(ド殴!)私は結局班長受けなので、設定が;だから保父になり切れずorz本当にスイマセン><
 気に入らなかったら申しててください。
 色々とスイマセン。失礼します。平成20年9月15日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様