仮眠を取り、まだ眠いが、起き、科学班フロアに戻った。


 俺はウトウトしながらも自分の席に向かう。頭がすっきりしない・・・こんな時は少しでもやる気が出るように、My☆泡でレモンソーダを飲むに限る。

 そう思い、俺はカップがいつも置いてある所に手を伸ばす。


 手を伸ばす。


 手を伸ばす・・・。



「あ、れ?」


 俺は改めて手を伸ばすを方を見る。そこにはMy☆泡が無かった。俺は慌てて机の上や下で探す。

 そんな俺を見て、点滴をぶら下げジョニーがやってくる。


「何してるんスか?」

「俺の泡と書かれたカップが無いんだ。」

「え?知りませんよ。そんな事は後で良いんじゃないんですか?」

「・・・そんな事?」


 俺はそれを聞くとジョニーを見下ろす。ジョニーは慌てて手を横に振る。


「いや、そんな事じゃないんですよね!スイマセン!スイマセン!」

「俺にとっては、あれは、班長になる前から使っている、戦友なんだよっ!!」


 俺は拳を握り、熱く言う。って、そんな事をしてる場合じゃない!


「My☆泡が・・・今頃泣き叫んでる。」

「はい?」

「聞こえる!俺の助けを呼ぶ声が!」

「え?え?ちょっ、助けを呼ぶ声が聞こえたら、見つかってますよね!」

「待ってろよ!今、探す!!」


 俺は科学班フロアから出ようとした。たが、後ろから誰かに抱きしめられる。そのまま床に押し付ける。立ち上がろうとするが、背に馬乗りされ、立ち上がれない。

 俺は馬乗りする者を見る。キャラメル色の髪を持つ男性、マービン・ハスキンが俺を見下ろしていた。


「班長、取り合えず落ち着きましょう。」

「五月蝿い!俺はアイツが居ない世界なんで!!」

「あれ?カップですよね?カップの事ですよね?!」

「ふざけるな!!」


 俺はマービンに殴られる。マービンは俺から降り、胸倉を掴む。


「お前がボケたら、誰が突っ込むんだよ!!」


「いや、ボケとか突っ込みは関係ないですから!!」



【Lose】



 俺はマービンとジョニーと一緒にMy☆泡を捜す事になった。まぁ、冷静に考えたら、こんな事をするのは室長しかない。

 いや、そう信じたいんだ。室長じゃなかったら・・・俺の脳裏に最悪なバターンが浮ぶ。ヤバイ・・・涙が出そうだ。


 俺はこんなにも、弱い人間だったっけ?


 マービンは後頭部で手を組み、口を尖がらせながら疑問を口にする。


「てか、いつから使ってるんですか?あの紙カップ。答え様じゃ、引きますよ。」

「あ、そう言えば、あれって紙コップでしだっけ。なんか、危険そう・・・。」

「危険じゃなくて、衛生面でヤバイだろ。」


 マービンは溜息を吐く。んな事を言うな!アイツは汚くない!汚くでも、俺はアイツを見捨てない!


「さっきも言っただろ?班長になる前からの戦友だって。ずっと使ってる、愛用だ。」

「うわー。班長、最悪な人になってますよ。ドSに変態って・・・絶対にファンを泣かすような道に行ってますよ。」

「俺はアイツを心から愛してる。そんな純愛を、変態だなんで心外だな。」

「班長・・・真顔だけは止めてください!」


 本当の事だ。アイツは班長になる前からの心の支えだった。その恩は忘れない。それ以前に、


「ちゃんと洗ってるし、タオルで拭いてる。」

「あーはいはい。その話は終りましたよー。」

「班長、落ち着きましょ。大丈夫!室長が持ってますよ。」

「何で分るんだよ・・・んな事。」


 室長とは思うが・・・可能性は低い。室長がそんな女々しい事をするだろうか?大体、動機は何だ?室長の確率は低い。

 ああ!!こんな事をしてる間にMy☆泡は!!捨てられてない事を祈ってる!!ちなみに、科学班のゴミ箱には無かった。

 ジョニーは宙を見る。


「だって、室長が班長の机に居たの、見てましたから。」


「「・・・はい?」」


 室長が俺の机に・・・?俺は一旦歩む足を止める。


「待て待て、それって・・・」

「あ、さっき思い出したんですけどね。恐らくその時に取ったかもしれないし、取ってないかもしれません。」

「なるほど。」

「フフッ、ハハハッ、アハハハハハッ!!」


 俺は天へ向かって高笑いをする。


「待ってろよ。今、行きます!!」

「んな、どっかにありそうな題名を言われても、てか、また決まった訳じゃ――!!」


 俺は走り出す。マービンは止めの言葉を言うが――――俺には届かない。


 今の俺にあるのは、狂気だけだ。


 分かってる。お前の為だ、とか・・・そんな理由は結局戯言だと・・・。

それでも、許せないんだ。

お前が誰かに触れるのが。


醜いだろ?


でも、本気なんだ。本気なんだよ。


だから―――今だけ許してくれ。




 ドカッ!!!


 俺は室長室の扉を乱暴に開ける。室長は急の俺の訪問に目を見開いている。

 俺はその目線を無視し、室長にカツカツッと近づく。


 ドンッ!


 机の上に勢い良く手を置く。その時、マービン達が室長室に入る。たが、もう遅い。


「班長!まだ決まった訳じゃないですよ!」


 知ってる。それでも、此処に賭けてるんだ、俺は。此処じゃなかったら、My☆泡は、何処に行ったんだ?異様なる汗が頬を伝って、流れ落ちる。

 そして張り詰めた空気。俺は重い口を開く。


「俺の泡カップ・・・アンタが盗んだんですね?」

「馬鹿。」


 マービンは深く目を瞑る。


 俺は救いたいんだ。


 忘れられない。アイツと過ごした苦難の日々。


―――いつも一緒に居てくれて、有難う。


―――だから今度は、俺が守る番だよ。





「そうだよ。」


 室長は笑みを浮ばせながらそう言う。俺は目を見開く。そして今思う事を室長に、感情的にぶつけた。


「泡は!泡はどうした!」

「さぁね。今頃、炭になってるんじゃないのかな?」

「なっ!アイツが何をやったと言うんですか!」


 アイツは何もしてない。人に恨まれるような事はしてない。なのに、何で?何でコムイさんがそんな事をする?

 俺は信じられない真実を受け止められず、何でこんな事になったか、それが知りたかった。

 コムイさんは苦笑する。たが、その目には光が透らない、憎しみがあった。


「嫌だったんだ。あの子とリーバー君が仲良くしているのを見てるのが・・・。可笑しいだろ?人でも動物でも無い、ただの紙コップに嫉妬だなんで。」


 確かに紙コップだ。それでも、アイツは、俺の戦友であり、家族だ。


「だから気付いたら、持ち出していた。そして、持ってるだけで苦痛で・・・。」


 コムイさんはそう言うと、室長室に備われているゴミ箱に目をやる。俺は向かおうとした時、手を掴まれる。


「見ないほうが良い。傷が深くなる。」


 その声は何処か、震えていた。その事から、最悪バターンを脳裏に浮ばせてしまう。

俺は目を深く瞑る。それだけで、アイツとの過去が甦るようだった。俺はそれを振り切るように、目をゆっくりと開く。


「どんな姿をしても、アイツはアイツです。・・・最期を、見届けたいんです。」


 俺はそう言いながらコムイさんの顔を見る。コムイさんは俯き、手を離す。此処からでも見える。コムイさんの苦痛の顔が―――。

 それでも、俺は見届けるんだ。


 My☆泡の最後を―――。


 俺はゴミ箱に近づく。俺は一旦足を止め、一度目を深く瞑る。そして覚悟を決め、ゴミ箱を覗き込む。



 多くのボツ書類の上に、切り刻まれた、荒れ果てたMy☆泡の姿があった。



「嘘だろ?」


 こんな、こんな現実・・・誰が信じる?

 数時間前まで、側に居たじゃねぇかよ。

 ずっと・・・ずっと俺の側に居ただろ?


 何で?何でこんなことに・・・。


「うあああああああああああああっ!!!」


 俺の目から大量に透明な液体が流れる。


 いつかはこうなるって分かっていた。


 それでも。


 もっと、側に居たかった。




 その後Side:No


「えーっと、何で言うか・・・ご愁傷様です。」

「ごめんな。付き合わせてしまって・・・。」

「いえ。・・・それに、班長はやっぱし(色んな意味で)凄いなーと思いますし。」


 マービンとジョニーがそう言うとリーバーはバツの悪い笑みを浮かべた。


「本当にごめんな。」

「そんなに謝らないでください。・・・当分はカップですね。」

「いや、こいつが居る。」


 そう言うとリーバーは書類の山からある物を出す。それは、泡、と書かれた紙カップ・・・。


 マービンとジョニーは、雷が落ちたような衝撃が走る。


「え?え?何であるんスか!」

「これは、6個セットなんだ。アイツはその内の一つなんだ。」


 マービンとジョニーは未だに?マークを浮ばせる。しかし、その裏腹で怒りが込みあがる。


 あのコントの意味は?!と。


「これから宜しくな。My☆泡・二世。」


 そう言うとリーバーはMy☆泡・二世の泡のロゴにキスをする。


「ねぇマービン・・・班長って―――」

「言うな。そこからはタブーの領域だ。」


 人たるもの、タブーを破ってはイケナイ。


 この話は、戦友の死を乗り越えた、一人の男のお話でした☆


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@言い訳@リクエスト内容⇒『「泡」カップ紛失・班長+科学班+室長』

 本当にスイマセン!班長が壊れてますね!(ド殴)しかも、まさかの死ネタorz(ド殴!)あ、一応設定的にコムリバです(ド殴:此処で書くか!)
 気に入らなかったら申しててくださいm(_ _)m
 色々とスイマセン。失礼します。平成20年9月19日


背景画像提供者:短生種の戯言 マスタァ様