占いなど信じていなかった。


 占いなど、ただの勘だ。


 んなので人生を左右されたくないし、気にしたくない。


 科学班班長、リーバー・ウェンハムはそう思っていた。



【Fortunetelling】



 此処は科学班フロア。リーバーは仮眠を終え、入ってきたのだが・・・何やら科学班班員が集まっていたのだ。何かあったのだろうか?そう思いリーバーは近づいた。

 集まりの中心は科学班班員のマービンだ。大抵こう言う時はマービンか室長のコムイ・リーだ。しかもコムイならジョニー辺りが、仕事してくださいよ〜、と泣きついている。それが無いなら、マービンだ。

 と、まぁ、それは置いといて。マービンは何やら水晶玉を机の上に置き、手をかざしている。


「む!どうやら班長が来る!」

「もう、来てるよ。」

「おおっ!スゲー!!」

「何処がだよっ!!」


 リーバーはつい怒鳴ってしまう。今は仕事の時間の筈。息抜きにしては、人を巻き込み過ぎ。仕事の鬼であるリーバーは手を叩きながら、はい。しゅーりょー、と言う。

 科学班班員はブーブーとブイングをするが、ギロリッと睨むリーバーを見てすぐに止める。だがマービンは終らない。


「それじゃぁ班長を占って見せましょう。」

「いらんわ、ボケ!」


 リーバーが荒い声で言うとマービンは口を尖がらせる。毎回の展開。周りは、良く出きるなー、と思う。それでもリーバーは手をあげない。罵声を浴びさせたり汚したりする事は少ない。

 マービンも変な発明品はしないところか大抵は成功する。興味が無い事、めんどくさい事に対しては、無気力。良い人なんです。基本的には。

 マービンは笑みを浮ばせ、リーバーに言う。


「これから班長に災難が現れるでしょう。」

「はぁ?」


 マービンの言葉に眉を顰める。マービンは水晶玉を覗きながら続ける。


「あーこれは凄い。凄い災難が来ますね。」

「テキトーだろ?災難言ってれば占い成立か?」


 リーバーは嘲笑う。マービンは水晶玉をジーーと見つめる。周りの科学班班員は遠く二人を見守る。今のリーバーは4日目と言う徹夜―仮眠は一応取っている―をしており、機嫌が悪い。リーバーの変なスイッチが入るかもしれない。

 それともう一つ、遠く見守る理由がある。


 マービンの占いは2/1の割合で怖いほどに当たる。


「んーっと・・・これは・・・ドスッで、ドカンで、ダラダラで、ブチューですね。」

「何だよ、その擬音語と擬態語のオンパレートは;」

「そんな貴方は、仮眠する時にブラックコーヒーを飲みましょう。目が冴えます。」

「さっき寝たし、目が覚めてどうするんだよ!」


 ブラックコーヒーはカフェインたっぷりで目が覚める。仮眠を取るのに、これじゃぁ眠れない。てか、目が冴えますって言ってる。

 リーバーは溜息を吐く。


「もう良い。とにかく今すぐ仕事に戻れ。」

「分りました。」


 マービンがそう言うと立ち上がる。どうやらリーバーの変なスイッチが入らずに済んだらしい。

 そう思ったとき、科学班フロアに入る者が現れた。科学班室長のコムイ・リーだ。コムイは勢い良く走り、リーバーの背にドスッと体当たりをする。リーバーはパランスを崩し目の前の机の角にドカンとぶつかる。


「〜っ!」

「班長大丈夫ですか!」


 そう叫ぶと科学班班員はリーバーに近づく。マービンが占った、ドスッ、ドカン、が出たのだ。恐らくこの事だろう。恐ろしいのはこの次の、ダラダラだ。

 ダラダラと言えば・・・だ。でも、どうやらその最悪な事は無かったらしい。頭を押さえているが、血は滴り落ちていない。それを知り科学班班員はホッとする。

 リーバーは勿論、ホッとはしない。怒り、だ。


「室長!急に何スか!!」

「そこにリーバー君が居たからさ。」

「何、そこに海があったから、的な事を言ってるんスか!仕事しろっ!!」

「班長、もう止めましょ!危険ですって!」


 このまま続ければ、ダラダラ、が起きるかもしれない。しかしリーバーは止まる気配など無い。リーバーは勢い良く人差し指をコムイに指す。


「し・ご・と!!」


 リーバーがそう言うとコムイは困ったような顔をする。それがリーバーの怒りを煽る。


「何でそんなに機嫌が悪いの?」

「アンタが仕事をしないからです。戻ってください。」

「いや、仕事で此処にいるんだけどねー。」

「は?」


 室長の仕事はほどんと書類仕事だ。科学班に来るときはコーヒーを飲みに来るか、サボリだ。

 コムイは眼鏡をグイと直しながら言う。


「それがね、室長室の机の上に置いていた、ルベリエ長官に出すつもりだったケーキが無いんだよねー。」


 コムイがそう言うとリーバーはタラタラと汗を流す。リーバーが仮眠を取る前、室長の居ない室長室に書類を置きに入った。勿論室長は仕事で居ない。それはリーバーは知っていた。

 室長室の机の上、リーバーは書類の塔を置いた。その時に目が行ってしまったのだ。徹夜5日目で、食事も軽食続き。お腹が空いていたリーバーはついケーキに手を付けてしまったのだ。

 リーバーはそれを思い出し、ダラダラと汗をただ流すしか出来なかった。勿論そんなリーバーを見て誰もが、あ、食べたんだな、と思う。


「あ、食べたんだ・・・。」

「ま、まっさかー(棒読み)。そんな訳ないですよー(棒読み)。」


 リーバーは尚も汗をダラダラ流す。マービンの占いの三つ目、ダラダラはこの事だろう。周りの科学班はそう思った。

 それじゃぁ、ブチュー、は?

 コムイは溜息を吐き、リーバーを見つめる。


「科学班班長が嘘付いてどうするの?まぁ、リーバー君は嘘が下手だから意味は持たないけど。」


 でも、体調が悪い、などの嘘は上手い。リーバーはバツの悪い笑みをする。


「えーっと;スイマセン;俺です。」

「そう。それじゃぁ、反省の意味も含めて僕にキスをして。」

「は―――い?!!!ちょっ、意味が分らないんスけど!」


 急な展開にあたふたするリーバー。でも、周りは密かに、あぁ、やっぱしこの展開かー、とほのぼのしくコムイとリーバーを見る。

 マービンの最後の占い。ブチュー。それは間違い無くキスだ。そして今の流れ。こうなるのが自然的だ。なんせコムイとリーバーはそれなり経験を積んでいる。恋人同士では無いが・・・。


「何で俺が!」

「ルベリエ長官の為のケーキだったのになー。」

「ううっ、分りましたよ。」


 そう言うとリーバーはコムイの両肩に手を乗せ、つま先立ちをし、コムイの顔に顔を近づける。

 周りは喉をコクリと鳴らしながら二人を見守る。

 そしてリーバーとコムイの唇は触れ――――



「何をしているのかね?」


 それにビクッつく周り。それもその筈。科学班フロアに入ってきたのはなんと、ルベリエ上官なのだ。リーバーはコムイからバッと離れる。コムイは笑顔を向けたままルベリエ上官の方を振り向く。


「もういらしていたんですか?」

「あぁ。それより、さっきキスをしようとしていたように見えたが、見間違いかね?」


 周りは黙り込む。しようとしていた、のではなく、しようとしていた、なのだから。

 それでもコムイは表情を変えない。


「挨拶です。リーバー君の故郷は挨拶のときにキスをするんです。」


 リーバーの故郷はオーストラリアだ。勿論それは嘘だし、リーバーは中東で過ごしている。仮にキスが挨拶だとしでも、頬だろう。口にキスなど有り得ない。


「君はふざけているのかね?」

「いいえ。本気です。」


 コムイは真顔でそう答える。もちろん、嘘だ。リーバーはハテナマークを浮かべるしかない。


「挨拶ねー。」


 ルベリエ長官がそう呟くとリーバーに近づく。そして少し腰を曲げ、リーバーの口にブチューと口付けをする。

 見ていた科学班班員は雷が落ちるような衝撃を受けた。

 幸い触れるだけで、すぐに離れた。リーバーは笑みを浮かべる。


 此処で青ざめたら、科学班班長を降ろされるし、下手すれば、死、だ。


 ルベリエ上官はリーバーの笑みを見て、ウム、と頷く。


「うむ。なるほど。」

「長官。司令室に行きましょう。」

「そうだな。」


 そして二人は去る。去って少し経ち、リーバーは笑みを浮かべながら涙を流す。


「マービン・・・。」

「はい?」

「お前の占いって・・・凄いな。」

「悪いことだけ見えますけどね。」


 マービンは目を輝かせながら親指を立てる。リーバーも何故か親指を立てる。


 そして次の仮眠。寝る前にコーヒーを飲んだ。それでもリーバーは徹夜と言うのも助けに眠れた。


 ルベリエ長官が出る悪夢を見たとか見て無いとか・・・。


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@言い訳@リクエスト内容⇒『科学班のみんなで占い・班長・科学班・室長』

 みんなで、を無視してスイマセン!(ド殴)しかも、3週間ぐらい時間が・・・(殴)本当にスイマセン!ルベリエ上官初登場なのに!本当にごめんなさい><(ド殴)
 気に入らなかったら申しててください。
 色々とスイマセン。失礼します。平成20年9月25日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様