赤


 黒


 ブロンド


 ブルネット


 銀


 色々な髪の色がある。



 でもやっぱし愛してる奴の髪の色が一番、好きだな。



【Biondezza】



 俺はスパナの作業場に居る。スパナは相変わらずモスカ弄りに集中しており、俺の方を振り向かない。俺はスパナの後ろ、壁に背を預けながらスパナを見つめる。

 まるで、監視官の様に。自分で女々しく感じる。見張らないと、スパナが何処か遠くに行ってしまうような気がしてしまう。ボスや姫の様に・・・。

 スパナはずっと此処に居るのにな。機械が弄れる所しか居られない、機械依存症。飴依存症よりも酷い。

 俺は何故かそんなスパナをほっとけなかった。スパナはブラックスペルでジッリョネロファミリーだった。だが、全然俺らと一緒におらず、ずっと機械を弄っていた。ボスとの別れの日も。ジッリョネロファミリーがジェッソファミリーと合併した日も。

 顔一つ歪まず、機械を弄っていた。

 何故あんな奴が此処にいるか・・・そんな事を思ったこともある。裏きり者か?とも。だが違う。こいつは機械に魂を売っているのだ。機械が全て。機械弄りをしないと、生きていられない。
 それほどに依存する訳も吐き気がする。一言で言うとしたら、スパナは違うファミリーで捨てられた、子、だろうな。そこで機械弄り以外教わらなかった。ただそれだけだ。

 そんなスパナに、俺の居る世界に行かせたい、と何度も思った。一般的世界。それなのに、気付けば俺がスパナの世界に引き込まれていた。

 だから諦めて、スパナと一緒に居よう、と思った。そうしていたらスパナは俺の事を見るようになったから。

 スパナは作業が一段落終ったのだろう、保護眼鏡を取り、俺の方に近づく。


「・・・・・毎度毎度此処に来て、よく飽きないね。」

「スパナの姿は、どんだけ見ても飽きない。」

「・・・・・・・・・変態だね。」


 スパナの間を空けた一言に俺は苦笑を浮べ、スパナの頭を撫でる。スパナは頭を撫でられるのが好きらしく、頭を撫でる度に気持ち良さそうに目を細める。その背景には、捨てられたファミリーでよくこうして頭を撫でられたらしい。

 それを聞いて複雑な気持ちになったが、スパナは前のファミリーの事を今はどうも思ってないらしい。今機械弄りが出来るのは、あのファミリーで知識を蓄えたからだ、と。

 そう思えば複雑だが、スパナが喜んでるなら良い。だから俺は前のファミリーよりも愛情たっぷりに頭を撫でる。

 あんまし頭を撫でると、スパナの髪が絡まって痛がらせてしまう。だから見切りを付け、手を離す。


「本当に可愛いな。スパナは。」

「・・・やっぱしγは変態だ。」


 スパナは口端をクイとあげる。スパナの笑顔はコレだ。本当の底からの笑顔は、モスカ以外見た事が無い。いつか俺の手で引き出す、そう思って結構時間が経つ。

 それでも、この笑顔だけでも心安らぐ。俺はスパナの髪を解かす様に指を滑らす。


「お前の髪の色、好きだな。」


 スパナも俺も金髪に入るが、髪の濃さが違う。俺の髪はレモン色でスパナの色はカナリア色だ。濃くて、綺麗だ。だから、好きだ。

 スパナは無表情に戻り、自分の髪を指で摘み、見る。


「・・・そうかな?ウチはジャポネーゼの黒髪が良かった。」

「・・・黒髪ねー。」


 γの髪の色の方が好きだけどな、と言う言葉を期待していた俺が恥かしくなる。スパナは機械弄りも好きだが、ジャポーネも好きだ。とことん趣味に走るスパナ。

 俺はつい、苦笑を浮かべる。そして冷や汗をかきながらも、問う。


「俺の髪は?」

「金髪って言う色だと思う。好きな奴は好きだと思う。」


 好きな奴は・・・って;俺はつい溜息を付いてしまう。コイツは・・・。


「でも、γの髪の色はこの基地内では少ないから、見つけやすい。髪形も、盛り上がってるし。」

「お前は本当に、言いたい放題だな。」


 俺は目を隠すように手を顔に当てる。そんな理由かよ。後、盛り上がってるのは俺のファッションだ。それを汚して・・・しかも、この髪の色結構いるからな。

 俺はつい溜息を漏らす。その時、頭の上に手が乗せられた。その手はスパナで、つま先立ちをしながら俺の頭を撫でる。


「・・・ウチはγの髪、嫌いじゃない。」


 スパナは必死にそう言う。どうやら俺が傷ついたと思ったらしい。否、傷ついたのは本当の話だが・・・。

 それでも、そんなオドオドしいスパナを見て、つい笑みが零れてしまった。俺はスパナを抱き寄せる。そしてスパナの頭を撫でる。スパナの激しく鳴り響く鼓動が聞こえる。

 スパナは不意打ちが苦手だからな。


「有難う。スパナ。」


 スパナの全て、愛している。過去までも愛すれば、スパナを傷つけずに済むだろうな。

 過去を嫌うと、矛盾が現れるからな。


「なぁ、スパナ。愛しているよ。」


 俺はそう言うとスパナの短い髪にキスをする。そしてスパナの顔を見れば、気まずそうに下を向いている。その頬や耳は紅く染まっている。

 そんなスパナについ、笑が零れてしまった。


 どんな色でも、髪型でも、過去でも、俺の愛するスパナには変わりないよな。


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@言い訳@Biondezza⇒金髪、ブロンド、黄金色

 スパナさんとγさんの髪の色って違いますよね?(ド殴!)でも、22巻の表紙と横を見たら、色が同じとか・・・この話はカラーページを見て、髪の色違うんだーと思って考えていた話ですが、3,4ヶ月前のネタですねorz(ド殴)久しぶりだったので、かなり捏造の過去話が!(殴)
 では色々とスイマセン。失礼します。平成20年11月9日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様