人間嫌いで、生きてるもの全てを嫌っているとずっと思っていた。



 だから、あの日、驚いた。




 心許す電狐に。





 笑みを浮かべる、アイツに。



【Parvenza】



 紺碧の空に雲が浮ぶ。そんな空の下、γはパソコンで書類を作っていた。室内でやっても良いが、γみたいな殺し屋だと、気が滅入る時がある。

 だからたまに、人間が一切関わらない自然に触れたい時がある。まぁそう言っても、指はパソコンに触れている訳だが・・。

 フワァ〜とγの隣で可愛らしい欠伸が聞こえてきた。γはフッと隣を見れば、黒毛皮が緩やかに風になびく電狐が気持ち良さそうに眠っていた。それが愛しくて、γは自然に笑みが浮かび上がった。


「・・・気持ち良さそうだね。γ。」


 γはその声に、怪訝そうに後ろを振り向く。この独特の低い声は・・・。

 後ろを振り向いて、γの脳裏の人物と実際の人物が重なった。カナリア色の髪に無駄に透き通った青い瞳の青年・・・青年は飴を口の中で起用に動かした。

 青年の名は、スパナ。スパナは機械専門で、生身の殺しを嫌い、それところか興味があるモノ意外関わらないと言う非社交的な人だ。ほどんと同じファミリーに接しておらず、新入りはスパナを見て敵だと勘違いするほど薄い存在だ。

 でも何故か野猿と仲が良かったりする・・・。

 γは眉間にしわを寄せた。スパナは機械だけを弄っていて・・・実際には、それがファミリーの力になってるから、その事には文句は無い。ただ、スパナは何を考えてるか分からない奴だ。

 機械の為なら平気でファミリーも裏切りそうな感じだし、スパナとは話しが有り得ないほどに噛みあわない。

 かみ合うとしたら、任務の時と、機械の事だけだろう。

 γはパソコンに目を向けた。


「仕事をしてるんだ。」

「・・・そうか。ウチはボスに、たまには外の空気を吸って来い、って追い出された。」

「そりゃぁ、そうだろうな。お前、何日間弄ってたんだ?」

「・・・さぁ。」


 スパナは機械弄りのために人生があるかの様に、機械を弄っている。機械が弄れない状態が一日経てば、禁断症状が出るとか出ないとか・・・。

 それでも、スパナはγらと同じファミリーだ。ボスもスパナの体調を考え、追い出したのだろう。


「・・・可愛いね。」


 スパナはそう言うと、電狐に近づいた。そしてスパナは電狐に手を伸ばした。γはその手首を握る。


「止めとけ。コイツはあんまり人には懐かない。」


 電狐は本当に慣れた奴しか触れさせない。γとボスだけしか触ったことが無い。野猿は何十回も挑戦をしていたが、やられた。それでも、野猿は今でも挑戦し続けている。

 スパナはγの顔をジッと見つめた。スパナは言葉より先に、人の顔をジッと見る癖がある。そんなスパナがγは苦手だ。ジッと見て、楽しいか?と。


「・・・試してみないと、分らない。」


 そんなスパナの前向きな発言を聞き、γは目を見開いた。そしてすぐに苦笑いに変わる。

 試してみないと、か・・・。

 γはスパナの手首から手を離した。スパナは口端をクイと上げ、γを見た。その目は自信に満ちていた。

 そしてその目は電狐に向けられた。あぁ、電流が走る・・・今此処で電流が走れば、γも被害にあう。勿論、主人であるγの被害は限りなく少ない。だが、主人でもボックス兵器を持たぬスパナは、かなりの被害になるだろう。

 スパナは電狐の黒い毛皮に手を近づける。γはパソコンに目を移した。野郎の感電してる所など見たくない。吐き気がする。そんな殺しの世界から離れる為に此処に来たのに・・・。

 それからカタカタとパソコンを打つ音が耳に入る。だが、感電する音が聞こえない。怖くなり、止めたのだろうか?それが懸命の判断だろう。

 だが、違った。


「・・・可愛いね。」


 そんな陽気なスパナの声が聞こえた。γはその声に目を見開き、スパナに振り向いた。

スパナは電狐の頭や下あごを撫でている。電狐はテロテロで、スパナの膝の上で丸くなっていた。


「何でだ?」


 γはつい疑問を口にしてしまった。最初、γすら最初は電撃を食らった。ボスは元々の血からだろう、一発だったが・・・そんな電狐を、何故?


「・・・ウチ、昔から動物に好かれる体質かもしれない。」


 スパナは顔を上げずに、独り言の様に呟いた。スパナは何処か楽しそうだ。

 機械に愛して、非社交的で、でも、人に触れたくて・・・でも、不器用で・・・。それを動物が感知し、拒絶しないのかもしれない。敵じゃない。弱い、折れそうに弱くて・・・。

 γはそんなスパナに、何かを言おうとしたが言葉が出なかった。そんな自分にバツの悪い顔を浮かべ、片手で頭を掻く。

 そして、もう片手でスパナの腕を掴み、横に抱き寄せる。

 スパナは目を見開き、γを見上げる。


「お前も、見かけ通りだったら良かったのに。」


 見かけどおり、人懐っこそうで、明るい青年だったら・・・平然と接しられるのに・・・。

 なんで、機械を愛してしまった?なんで非社交的になっている?


「・・・γ?」

「少しの間、こうしてろ。」



 この世の生物を嫌ってると思った。



 全部全部、嫌って、触れたくなくて・・・。




 でも、違って。




 とても強いと思っていた。



 何を言われても、平気だって、感情が無い様に・・・。




 でも違って。




「・・・γは優しいんだね。」


 そう言うとスパナはγに体を委ねた。


   風は優しく、二人の二匹を撫でる。


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@言い訳@Parvenza⇒見かけ・表面・外見

 なんでしょうね、この話は!(ド殴:コッチが知りたい!)電狐にも気に入られるスパナさんを書きたかっただけと言う・・・電狐可愛いですwてか、電狐じゃなくで、黒狐ですけどね(ド殴:分かってるなら書け!)未満が好きですorz
 では色々とスイマセン。失礼します。平成20年12月7日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様