誰でも信じる、宇宙の様に広い心。
誰にでも手を差し伸ばしてくれる、女神の様な優しさ。
金髪に見えて実は違う、逆立っている髪。
愛嬌がある垂れ目。
スラッと伸びる細い体に腰。
「いやー、今すぐ食べたいねー。」
「・・・って?何でお前が此処にいるんだ?ティキ。」
「ははっvVリーバーに会う為さvVそしたら、いねぇんだもん。」
ティキは満面の笑顔で言うが、心からの笑みじゃない。キャラメル色の髪を持つ男性、マービン・ハスキンは溜息を吐く。
此処は科学班フロア。今はマービンとティキしか居ない。少し前までリーバーが居たが、マービンと入れ替えて此処を出た。
「食堂に居るんじゃねぇか?今すぐ倒れそうなほどじゃなかったから、軽食を取ってから寝ると思うし。毎回そうだしな。」
「なるほどな。って、食堂!?」
「ん、どうした?」
急に叫ぶティキにマービンは顔をあげ、見る。ティキは片手で目を隠し、床を見つめていた。その顔は少し色が無かった。
「だって、食堂だぞ?」
「そうだな。」
「リーバーが食われたらどうする?!今頃、下衆野郎に犯されているんじゃねぇのか?!」
「はいはい。無いですよ―――」
「待ってろよ!!リーバーっ!!!」
ティキはそう言うと、疾風の如く科学班フロアを後にした。数枚、書類が舞った。マービンは片手で頭を抱え、また溜息を吐いた。まず自分の心配をしろよ、と。
【A Lot Of Love】
此処は食堂。朝方の為、任務に帰ってきた探索隊やエクソシストしか居ない。そんな中、明るい茶色髪に色素の薄い瞳を持つ男性、リーバー・ウェンハムが入ってきた。
数少ない探索隊やエクソシストは一斉にリーバーに視線を向ける。リーバーはその視線に慣れてるし、それを気にする余力が無いので視線を無視し、食堂でメニューを頼んだ。
ちなみに、今ハマっているのはグラタンだ。
「リーバー班長、この時間まで仕事か?」
「あぁ、そうだ。」
リーバーに話しかけたのは探索隊の男性、探索隊Aだった。探索隊Aは笑みを浮かべ、リーバーにグイと近づく。リーバーは気にする事なく、早くグラタン来ないかなー、と思っていた。
探索隊Aはそんなリーバーの両手を両手で優しく包む様に握った。
「貴方は相変わらずに美しい。なのに、徹夜続きで痛々しい。」
「美しいなんで、毒キノコでも食べたのか?」
「ははっ、貴方は本当に美しいです。」
探索隊Aはそう言うと、リーバーの骨ばった手にキスをした。
「リーバー班長、俺は―――」
「はい!グラタンお待ちとぅ」
「お、来た来た♪」
リーバーは満面の笑顔になり、探索隊Aの手を薙ぎ払った。ビシビシッと探索隊Aのハートが割れる音が鳴ったが、リーバーには届かない。
その様子を見ていた探索隊Bは嘲笑うように笑った。
「残念だったな!お前にリーバー様が堕ちる訳ないだろ!」
「は?俺が堕ちるって?」
リーバーは首を傾げる。リーバーは恋とかそう言うのに鈍感だ。ましてや男が自分に惚れ込んでいるなんで、気付かない。
「いえ、別に。・・・それより、リーバー様は鈍感すぎませんか?いつか食われますよ;」
「ははっ、俺見たいな年齢相応に見られず、徹夜明けだと10歳以上老けて見える俺が、食われる訳無いだろ。」
最初は明るく言っていたリーバーだが、最後らへんは小声となっていた。リーバーは片腕で目を隠す。探索隊Bはオロオロとする。そう言う意味で言った訳ではないのに・・・と。
だが、泣き声は次第に笑い声に変わる。探索隊Bがそれに気付いた時、リーバーは片腕を離し、今度は腹を押さえた。
「冗談だって。あ、でも、食われない、と言うのは冗談じゃねぇから。」
リーバーは笑い混じりにそう言うと、グラタンを持ちエクソシストが居る所へと向かった。探索隊Bは去るリーバーを見て、いつか犯されるかもしれないほどの鈍感さだな、と思った。
食堂に来ていたエクソシストは、アレンとラビと神田だった。
「良いかな?」
「あ、リーバーさん!どうぞ!」
アレンは肉まんを頬張りながら言うとリーバーは、有難う、と言いながらラビの前に座った。
「まだ仕事さ?」
「まぁな。小腹が空いたから、コレ食ってから寝る。」
「ははっ、駄目さ、リーバー。食ってから寝るとブ―――っ!!」
ラビが言いかけた時、アレンがラビの顔にケーキを押し付けた。僕のリーバーさんにブ×と言わせない、と言うオーラーを出しながら。
リーバーは慌てて立ち上がるが、大丈夫です。ラビですから、と言うアレンの言葉にリーバーは納得し、グラタンを食べ始めた。何でだよ、と突っ込むラビはさらに流された。
「おう、そうだ。神田、アレン、ラビ、任務お疲れさん。そして、お帰り。」
「ただいまです。」
「ふん。」
「おいおい、神田;」
リーバーは苦笑しながらツンとする神田を見る。神田は蕎麦を啜り食べていた。アレンはそんな神田を無視し、神田の隣に居るリーバーに話しかける。
「それより、リーバーさん本当に寝たり食べたりしてくださいよ!抱き心地が悪くなるじゃないですか!」
「ぶっ!!!」
アレンの言葉に神田は蕎麦を噴出した。そして噴出した直後にアレンが、汚いなー、と呟くのと神田がアレンにメンチを切ったのはほぼ当時だった。
アレンは神田の睨みに睨み返した。そしてアレンと神田の間に見えぬ火花が激しく散る。
「おいおい、喧嘩は止めろって;」
リーバーが宥めるが、火花は消える気配は無い。それところか、余計にその火花が大きくなっているのだ。
「なんですか?僕がリーバーさんと仲良くしてるのがそんなに嫌なんですか?」
「はっ!んな訳ねぇだろ。俺は、食事中に不快な話をするな、と言ってるんだ。」
「ただ心配してただけじゃないですか。」
「セクハラで死刑になれ。モヤシ。」
「こらっ!二人共仲直りして!」
リーバーは言うが、火花が散り続ける。リーバーは溜息を吐き、改めて火花を散らす二人を笑顔で見つめる。その笑顔はとてもドス黒い。
「喧嘩は止めろ。それとも、、、、、、ムチとかロウソクとかで、、、、大人の説教をするか?」
アレンと神田は雷に打たれた様な衝撃を感じた。おいおい、大人の説教だと?!と。そして二人は、ムチとロウソクで追い詰められるリーバーの姿を想像し、一斉に鼻血を出した。
リーバーはそんな青春をしている二人に慌てて布巾で鼻血を拭う。
「おいおい、大丈夫か?!どうしたんだよ!」
「この二人は本当に分りやすいさ;」
ラビは顔についたクリームをタオルで拭いながら呟く。リーバーはラビを見る。この顔は、全然分かって無い顔だ。ラビは溜息を吐く。
「アレンと神田はリーバーの乱れる姿をそうぞ――「「そいやーっ!!」」――ぐふっ」
「ラビ!?」
ラビが言いかけた時、アレンと神田はケーキをラビの顔に押し付けた。ラビは勢いのまま後ろへ倒れた。リーバーはラビに手を伸ばすが、その手はアレンと神田に捕まれる。
「フフッ・・・鈍感なリーバーさんに、身を持って自分がどれだけ危険な人間か、教えましょうね。」
「え?え?えーっと、え?何が?」
「はっ!モヤシにしては良い案だな。」
「え、ええええええっ?!ちょっ、二人共何を言ってるんだ?!」
リーバーが二人の顔を交互に見回す。アレンと神田は妖笑を浮かべながらリーバーを見ていた。リーバーはその妖笑に鳥肌が立つ。異様なる脂汗がリーバーの額から頬へ流れる。耳鳴りが酷い。第六感が鳴り響く。
危ない、と。
何でこうなったんだ?何で・・・誰か、助けて――――
その時だった。
「リーバーっ!!」
そんな声が後ろから聞こえてきた。リーバーは笑みを浮かべ、後ろを振り向いた。
食堂の手すりに上半身を出し、リーバーを見つめる男性。漆黒の癖毛に黄色い瞳を持つ男性、ティキ・ミックだった。
リーバーはティキを見て、すぐに顔を前に戻す。それを見てティキは、ええええっ!?、と叫ぶ。
「ちょっ、可笑しくないか!!マイ プリンセス だぞ!!」
「おいっ、何でノアが此処にいるんだ?」
「その前に、プリンスじゃ女性ですしね。プリンスですから。」
「ハァ・・・あのストーカーが。」
「え、ええええっ?!」
完璧否定されたティキ。ティキは高笑いをすると、OKOK、と勝手に言い、襲い掛かってきた。
部外者Aが現れた!部外者Aの攻撃!!リーバーが前に立ち、0ダメージ。アレン・神田の攻撃『そいやー』をした。それと同時にリーバーの『下衆野郎が♥(怒)』攻撃!1000以下省略ダメージ!ティキは倒された。
「はっ!弱ぇな!」
「口ほどに無いですね。」
どっちかと言えばリーバーの言葉に負けたのだが・・・そんな突っ込みをする者は居ない。リーバーはケーキで埋め尽くされているティキの顔を見つめて、あーあ、と呆れながら見つめた。
その時、リーバーの両肩に手が乗せられた。リーバーは心臓を跳ねさせた。激しくなる鼓動。それを不快に思うが、止められない。そんな鼓動を聞きながらゆっくりとリーバーは後ろを振り向く。アレンと神田が手を乗せていた。
「フフッ、逃げられませんよ。」
「観念するんだな。」
「なっ―――」
「仮眠室に居ないと思ったら、リーバー、お前何やってるんだ?」
リーバーはその声に、また振り向いた。そこには、ティキが居た手すりに片手を置き、リーバーを見下ろしているマービンが居た。マービンはタバコを深く吸い、床へ吹く。そしてアレンと神田の方を見る。
ゾクッ
マービンの目に、いつものおちゃらけは無く、光を一切通さない瞳をしていた。マービンは笑みを浮かべる事もせず、無表情のまま言う。
「リーバーから離れて貰えるかな?仕事明けで疲れてるんだ。もうそろそろ仕事に戻らないとイケナイんだ。」
マービンがそう言うとアレンと神田はリーバーの肩に乗せる手を離した。マービンはそれを見て用が無くなったのだろう、歩き出した。リーバーはそんなマービンに気付き、マービンを追いかけた。
「マービン!」
リーバーがマービンに追いついたのは、食堂から離れた人気の無い廊下だった。リーバーの呼び止めにマービンは立ち止まったが、背を向けたままだった。
煙が宙をユラユラッと動いているのが見えた。
「有難うございます。俺・・・」
「リーバー班長は、無自覚すぎるんスよ。」
いつもの言葉にリーバーは安堵した。リーバーは笑みを浮かべながらマービンに近づく。
「無自覚って、こんな年齢相応に見えない俺に何を―――!!」
リーバーが言いかけた時、マービンはリーバーの腕を掴み、引き寄せた。リーバーは少し背の小さなマービンの胸に顔を埋める形になった。マービンのタバコを持つ掌でリーバーの頭を撫でた。
「無自覚だよ。姿じゃないんだ。お前は、純粋で、汚れがない、人として完璧な人間だよ。まぁ、姿もたまにぐっと来るけどな。」
マービンは笑い混じりにそう言う。それなのに、制服越しに聞こえる鼓動が異様に激しい。リーバーはその鼓動につられる様に鼓動が激しくなる。
「何を言って―――」
「ハァ。お前は人の気も知らないで。俺は嫉妬深いんだ。お前が人と接してると胸が痛くなる。止まれば良いのに、と思うほどに心臓が痛くなるんだ。」
途中から、独り言の様に呟くマービンに、何処か遠く聞くリーバー。その言葉が現実味が帯びてないと思ってしまい・・・本当に、自分に言ってる言葉なのだろうか?と。
現実かどうか分らない言葉なのに、リーバーの頬や耳は紅く染まる。
「それって、遠まわしの・・・告白ですか?」
リーバーは目線を外しながら聞く。マービンはリーバーの言葉に目を見開いたが、すぐに笑みが生まれ、笑い声が零れた。
「ははっ、そうかもな。俺も、気付かない内に―――お前を惚れちまったみたいだな。」
マービンはそう言うと、リーバーの腰に手を回し、力強く抱きしめる。
「愛しているよ、なんで、似合わないかな?」
「いえ、似合いますよ。」
リーバーはそう言うとマービンを見上げ、ニッコリと笑みを浮かべた。たまに、昔のくせなのか、マービンに敬語を使ってしまう事がある。でも、別に後悔とかしない。
だって、マービンはずっとリーバーの先輩なのだから。それは変わらない。
リーバーはマービンの腰に手を回す。
「俺も、マービンの事が――――」
弾けそうなほどに高鳴る鼓動。お互いの肌で感じた。
もう、どっちがその鼓動か、分らないほどに。
「結ばれてハッピーエンド。それで僕は出さない。これほどの皮肉があると思う?」
「文句言わんといてください。ほら、手が止まってますよ。」
そう言うとコムイは頬を膨らませんながら判子を押す。リーバーとマービンが付き合ってる事は早くも広まったらしい。勿論マービンが話したのだ。
リーバーに悪い虫を付いたら困る、と言うのが本人の供述だが・・・リーバーは顔から火が出る様だった。
ウフフッ、と笑い声が聞こえ、リーバーは顔をあげた。
「お幸せにねvV」
「〜っ///仕事をしてください!!」
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@言い訳@リクエスト内容⇒『班長総受け→結局マービン一人勝ち』
まさかの急展開にコムイさん置いてきぼり編です!(ド殴)スイマセン・・・もはやマービンさんの性格が・・・こんなキャラでしだっけ?!(ド殴:コッチが聞きたい!)マービンさんは嫉妬深いだろうなーと思ったりorz
改めてリクエスト有難うございます。
お気に召し上がりませんでしたら申しててください。
では色々とスイマセン。失礼します。平成20年12月20日
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