今日は聖なる夜!今宵の黒の教団はクリスマス曲が響き渡っていた。食堂はクリスマス色に染まり、いつも以上に人が多くいる。

 そんな中、一番浮かれちゃイケナイ人が一人。漆黒の髪に瞳を持つ男性、コムイ・リーだ。


「さぁ、皆盛り上がって行こうっ!!」

「「〜「「お〜っ!!」」〜」」

「行こう!じゃないスよ!アンタは仕事っ!!」


 無邪気なコムイにリーバーは吠える様に否定する。徹夜続きでリーバーの目の下には隈が出来ており、顎や口の上には無精ひげが生え放題だった。そんなリーバーに周りは目を向けた。

 醜いだろ。空気読めない(KY)だろ。でもな、全て目の前の巻き毛が悪いんだよ!!、とリーバーは心の中で罵声をあげた。実際に言いたかったが、相手は悲しくも上司だ。そんな事を言えば首が無い。

 だが、その目線は冷やかしの目ではなかった。哀れの目・・・も多少あったが、それのほどんとは久しぶりに科学班フロアから出てきたリーバーを見る、目線だ。

 疲れきっているその姿を見て、愛の抱擁をしたい!!、と思う輩がほどんとだ。もし望めば、その先も―――なんで、贅沢すぎる。

 リーバーを基本一人締めするのはコムイかクロスだ。その下にアレンと神田。ラビもそうだが・・・ラビの場合はどっちかと言えば被害者だ。実際に数人、ドSリーバーに苛めてもらいたい!、と望む人も居た。

 リーバーは眉間にしわを寄せ、コムイの腕を掴み、引っ張る。


「もぅ!リーバー君酷い!!」

「うるさいっ!仕事をしろっ!まき―――っ?!」


 リーバーは誰が零したのか、クリスマス☆ケーキのクリームが付いた床に足を置いてしまい、転んでしまった。


「班長!」

「大丈夫か?!」


 そんな心配する言葉が飛び交った。リーバーは左手首を押さえていた。その顔には、痛みを耐えています、と言った様に眉間にしわを寄せていた。


「ッ・・・大丈、夫だ。」

「何処がですか!」


 聖なる夜。神様は苦労人リーバーに冷たく、しかしながら、リーバー愛好会会員にはとことん味方らしい。

 リーバーは生クリームによって転び、左手首と右足を捻り、今夜は―科学班班員によって強制的に―休むことになった。


【Merry Christmas】



 此処は仮眠室。リーバーの部屋にあるベットは小さく、眠るのに窮屈な為、リーバーは此処の仮眠室を使っている。気付けば、此処は仮眠室と言うよりも、第二のリーバーの部屋になっていた。

 そんな第二のリーバーの部屋に多くの者が見舞いに来た。リーバーはつい苦笑をしてしまった。


「おいおいっ;俺はそんな大した怪我じゃないぞ?」

「そんな事ないです!手首に足首を捻るなんで!痛いですよね?」

「平気だ。右手で仕事できるのに、婦長が許してくれなかっただけだし。・・・有難うな。」


 リーバーは微笑んだ。その微笑む攻撃にその場に居た全員倒れそうな勢いだったが、なんとか踏ん張った。だって、このまま倒れたら、これからの神様がくれた可愛いリーバーが見れないのだから!

 エクソシストであるアレン・ウォーカーは手首に包帯をしているリーバーの手首を優しく包み込んだ。

 リーバーの手はとても温かかった。よく、手が温かい人は心が冷たい、と言うが、この事からそれがまっかの嘘だと分った。

 リーバーの手はこんなにも温かい。リーバーは心が宇宙よりも広く、女神の様に優しい。

 優しくリーバーの手首を包み込むアレンに周りはドス黒く、オーラーを放った。このクソ餓鬼が!!リーバー様に触れるなんでな!、と、言わなくでもズシズシッと伝わってきた。勿論、リーバー以外。


「本当に、無理しちゃ駄目ですよ?リーバーさんは僕達のめが――――っ!!」

「このモヤシがっ!何腕を握っている!」


 アレンの頭を叩いたのは、青みかかった黒い髪を上で一つにしている男性、神田ユウだった。アレンと神田の間に火花が散った。毎回の展開に周りは二人を無視し、リーバーの周りに集まった。

 リーバーは溜息を吐く。仕事をして欲しいのだが、今日は甘く見る事にした。聖なる夜だし、心配して来てくれたのだから。


「今日はクリスマスですね!班長は欲しい物は無いのですか?」

「別に無いなー。・・・言えば、傷を治して欲しい事かな。」


 リーバーは笑みを浮かべながらそう言う。リーバーは恐ろしいほど仕事中毒だ。風邪などを引いて休んでる時は禁断症状が出て、手が震え、生き血を求めるゾンビの様に書類を求めていた。

 そんな仕事中毒なリーバーに探索隊の一人が笑う。


「あははっ、そんな事を言ってるとサンタが来ません「あの恐ろしき奴の名前を言うなっ!!」―――ぐふっ?!」


 リーバーは勢い良く笑った探索隊を殴り飛ばした。リーバーは、はっ、とし男性の上半身を抱える。


「ご、ごめんな!その名前を聞いただけで豹変しちゃうんだ!」

「いやいや、ストレスとか溜まった時にドS化とかするさ〜」

「ははっ♥ラビ、殺されたいか?」

「ぎゃー!!止めて!」

 リーバーが拳を見せるとラビは両手を顔の前で(元帥じゃない)クロスにし、構えた。探索隊の一人が慌ててリーバーを宥めた。


「それより、豹変って?何かあったんですか?」


 探索隊が苦笑いを浮かべながらそう聞いた。リーバーは人差し指で鼻先を掻きながら天井を見つめる。言うか迷っているのだろう。それほど言いたくない事なのかもしれない。

 しかし、人と言う者は不思議な物で、そんな話ほど聞きたいのだ。周りは目を輝かしながらリーバーを見つめた。リーバーは苦笑を浮かべながら渋々話し始めた。


「実は俺、班長になる前にあの人に襲われた事があってな。それがトラウマで、あの人の名前を聞くだけで豹変しちまうんだ。」

「「〜「「なんで羨ましいんだっ!」」〜」」

「ん?」

「いえ、何でもありません!それは災難でしたね!」


 つい本音を漏らしたが、なんとか逃げれた。


「それにしても、酷い奴だな!リーバー班長を襲うなんでな!」


 俺たちも襲いたいぜ!コンチクショーめっ!と心で叫びながら。


「リーバー班長が抵抗出来ないからって!」


 僕だって、リーバー班長の細い腰を抱き、いやいやと鳴くリーバー班長の顔を見たいぜ!と心で叫びながら。


「・・・お前等、変な事を考えてるだろ?」

「!!そ、そんな事ないですよ!あははっ;」


 探索隊は疑問視しているリーバーの視線を感じながら、否定した。この心の叫びを聞いたら絶対にリーバーはドS化となり、強制的にドMにされるからだ。

 リーバーはそんな周りの思いなど気付かず、溜息を吐く。


「まぁそう言う事だから、絶対にあの名前を言うなよ。」

「大丈夫です!絶対に言いません!」


 ガチャッ!!


「やぁ!怪我をした哀れなリーバー君に、コムイサンタ、からのクリスマスプレゼントだよ!!」


 周りの痛い視線に気付かないコムイの周りにはキラキラお星様が浮んで見えた。コムイの服装は赤い服にもこもこがついた典型的なサンタ服だった。

 周りはそんなコムイサンタに開いた口が閉じれなかった。


 あぁ、神様。



なんでこうも、リーバーに罰を与えるのですか?




彼が何か悪い事をしたのでしょうか?





どんなに思っても、神に届かない。






 ちなみに、ラビ以外コムイの心配などしなかった。リーバーは高笑いをした。地の底から鳴り響いてるようだった。

 コムイは引いたが遅かった。リーバー愛好会会員はコムイを押さえつけ、リーバーの前へ連れて行く。

 周りの殺気にようやく気付いたコムイは慌てて逃げようとするが、後の祭りだ。力強い探索隊にリーバーの思いをプラスをすれば、何人も恐れぬ力に、思いが無限となる。そんな無限の力を得たリーバーを守る騎士は、コムイをリーバーの前へ連れて行った。

 料理人の一人がリーバーにケーキを渡す。



「リーバー君?」



「フフッ、サンタ退治っ!!」



 リーバーは勢い良くコムイの顔にケーキを押し付けた。良い子の皆はやっちゃ駄目だよ☆ケーキは美味しく頂きましょう!
 コムイは勢いのまま後ろへ倒れ込む。そんな哀れなコムイにラビは手を合わせた。

 あぁ、何で哀れなコムイなのだろうか?だが、これでリーバーを苦しまずに済む。やったね☆  だが、あの憎きサンタ赤い服が見えている。その為か、リーバーは眩暈を感じ、俯いた。耐えるようにシーツを強く握り締めた。周りはリーバーを心配する。その視線に気付いているリーバーは弱々しく笑みを浮かべる。


「ごめん。一人にしてくれるか?」


 周りは目を見合わせた。そして数秒経ち、頷いた。ケーキ塗れのコムイを引き摺り、出て行った。

 仮眠室にはリーバー一人。リーバーはベットの上で仰向けになった。古びた天井にむき出し電球があり、その光をボーっと見つめた。


「クリスマスなんで、嫌いだ。」


 リーバーはゆっくりと目を瞑る。


 あの日、あの日の事は許されない。


 まだリーバーが中東支部に居た時、仲の良い先輩が居た。先輩は周りが大人だらけで、十代後半だったリーバーの為にサンタの格好をしてプレゼントを渡した。

 リーバーは子供扱いされていると思いながらも、先輩の気遣いにむず痒さを感じだ。リーバーはわくわくしながら赤いリボンを解いた。

 そして蓋を開けた。

 中には・・・ホモ専門の雑誌が何冊も入っていた。


『お前も時期に本部に行くだろ?本部は男が多いからな!生理的欲求を満たす為にも、ツンデレにならず、素顔に受け止めるようにな。』


 あははっ、と笑いながらリーバーの背中を叩く先輩に、リーバーは勢い良く腹を殴った。自然に出る涙を止めずに何発か先輩の腹を叩いた。最初は本気だったが、その後の数発は、軽く、だ。

 そんなリーバーを見て、先輩の理性が、ブツリ、と切れリーバーを押し倒した。鼻血がポタポタとリーバーの頬に滴り落ちた。


『ハァハァ今から実戦を積みましょうねー。』


 荒い息がリーバーの顔に掛かった。リーバーは恐怖心を覚え、腹を蹴り飛ばし、腹を押さえる先輩から逃げた。




「思い出しただけで虫唾が走るっ!」


 リーバーはそう言うと、鳥の羽が大量に入っているふかふか枕を殴った。

 何枚か、羽が出ては、床へ落ちた。


 大丈夫。サンタなど本当に居ないから。きっと素敵な未来が広がる筈さ☆

 頑張れ!疲労人!行け!総合受け!Go!Go!Last Go!!!そして、明日へMerry Christmas!!

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@言い訳@リクエスト内容⇒『班長総合受けのクリスマスネタ』

・・・これ、総合受けと言えるのでしょうか?(ド殴:お前が書いたんだろ!)サンタ嫌いとか・・・プレゼントは絶対に、俺(僕・私)、とか言って、リーバーさんに殴られる話も良いなーとか・・・でも書けずorz自分は行事ネタが苦手らしいですorz
では色々とスイマセン。失礼します。平成20年12月25日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様