愛しているよ。


 そう呟きながら手を握り締める。




 そんな光景に手食わすと、なんとも言えない罪悪感が生まれる。

この道は近道だったが、リーバーは呆気なく遠回りする事にした。23歳と言う若さで科学班班長になった訳だが、それまでの人生で、恋人、と言う言葉はなく、恋人のイチャつき所か、恋人と思われる二人を見ただけで避けてしまう。

今回が良い例だ。急いでは居ない。だが今は貴重な休憩時間中だ。書類を置いて行ってそのまま休憩にする、と思っていた。これは完璧なる時間ロスだ。

リーバーは溜息を吐く。自分は何処か小心者だ。若き科学班班長にとって、今もっとも恐れて居るのは、苦情、だ。それが無い様にしているが、どうしても何処かでミスが起きる。こんなくだらない事で苦情をまだ起きて黙るか、と思い道を変えたのだ。


 ドッ


 リーバーは何かにぶつかってしまった。リーバーは顔を抑えた。


「イテテ、スマン!見てなか―――げっ;」

「あ?誰に向かってタメ語使ってるんだ?」


 リーバーがぶつかった相手は、血を零した様な髪に瞳を持つ男性だった。

 クロスは眉間にしわを寄せ、10Cm下に居るリーバーを見下ろす。


「ク、クロス元帥・・・」


 リーバーは次第に顔をザッと青ざめながら男性の名を口にした。



【Merry Christmas To Cross Reever】



 コムイ室長に書類を渡して、お詫び、と名で何故かクロス元帥の部屋に来ていた。

 リーバーは床の上で正座になり、ベットの上に座るクロス元帥を見上げた。まさか、こんな展開になるとは・・・リーバーの油汗は止まる気配が無い。

 沈黙が流れる。リーバーは次第に頭が真っ白になっていき、顔も色が無くなる。

 俺、そんなにヤバイ事をしたのか?それとも、違う事?あ、あれか?今どんな死刑をしようか悩んでいるのか?いや、それだったらあの場で断罪人で脳天打たれるだろう。じゃぁ、この沈黙はなんだ?どう懲らしめるか・・・でも、あのクロス元帥がそんな事で時間を無駄にする訳がない。じゃぁ、何だ?もしかして、俺の存在自体見えてないのかもしれない。あぁ、きっとそうさ!俺の方を見てるように見えて、実は床を見てるに違いない!きっとそうさ!

 リーバーは心の中でそう結論に達した。そしてリーバーは目線をクロスから離す。その0..56秒後、リーバーの両頬を片手で掴まれ、無理矢理クロスの方に向けられた。


「誰が目を離して良いと言った?」


 え、ええええ?!リーバーは体をカタカタッと振るわせた。メチャクチャだ!


「あ、ああああの、い、いつまでスイマセンでこうして居るんです、か?あわわっ、本当にスイマセン!!」


 リーバーはもはや文として成り立ってない言葉を口にした。クロスは眉間にしわを寄せた。リーバーはそれを見て、ギュッと目を瞑る。


 スイマセンスイマセンスイマセンスイマセンスイマセンスイマセンスイマセンスイマセンスイマセンスイマセンスイマセンスイマセンっ!!!!


 リーバーは心の中で謝った。リーバーは必死に涙を堪える。クロスを怒らせて、命は無い。

 あぁ、短い命だったなーと何処か、遠くで思ってしまった。

 リーバーの両頬を掴んでいた手が離れた。リーバーは舌唇を噛み締めた。来る、そう思って。

 だが、一向に断罪人の出される音が聞こえなかった。リーバーは片目をゆっくりと開こうとした、その時、頭の上に何かが乗せられた。それにリーバーはピクつき、硬直した。

 頭に乗せられたものは左右に動く。リーバーの立てられた髪をクチャクチャにする様に、掻き混ぜるように。その行為が、撫で撫で、だと気付いた。

 リーバーは分かって、目を見開いた。広がる視界。目の前には、クロスの顔があって、リーバーはつい目線をずらしてしまった。

 だが、頭に乗せていない手がリーバーの頬に触れ、無理矢理クロスの方を向かす。そして、クロスの顔が近づいてきて、口と口が重なった。

 リーバーは大きく、大きく目を見開いた。この状況は何だろう?と。

 離され、クロスは立ち上がった。クロスは現実を受け止められないリーバーを見下ろした。醜い姿だ。女性と違って美しい所など何一つない。

 でも、その心は――――


「クリスマスプレゼントだ。今日は見逃してやる。」


 クロスはそう言うとリーバーを横きり、扉へ向かった。皮靴の乾いた足音が異様に鳴り響いた気がしたが、きっとそれは、この部屋の周りが静かだからだろう。

 リーバーはクロスの方へ振り向く事は無く、黒曜石の様に黒い床を見つめていた。


 コッ



「今度ぶつかったら、犯すぞ。」



 クロスはそう言うと、部屋から出て行った。リーバーは下唇を噛み締め、拳を握り締め、床を見つめた。


 注意してなかった自分が悪い。



 そんな知ってますよ。




 でも、何でこんなにも心が痛むのだろうか?




 こんな、こんなクリスマスプレゼントなんで、要らない。





 欲しいのは――――








 リーバーは袖で目を擦り、立ち上がり、部屋を飛び出た。廊下を歩いていたクロスが止まった。


「クロス元帥!」


 リーバーはそう叫び、クロスに向かって走り出した、が、正座をしていたリーバーの足は痺れてしまったらしく、滑る様に前へ体が傾き、クロスの背中にまだぶつかってしまった。

 リーバーは恐る恐るクロス元帥の方へ見上げる。


「クククッ・・・お前は犯されたいようだな。」

「い、いや!そう言う訳じゃ――――」


 リーバーが否定しようと、両手と首を必死に振るが、もう遅い。クロスはリーバーの手首を掴んだ


「お望み通り、立てない程に犯してやるよ。」


 そう言うと、クロスはリーバーを引き摺り、部屋へと入って行く。


「え、えええっ!ちょっ、クロス元帥!!!」


 扉が閉じられた部屋の向こう、リーバーの叫び声が聞こえたとか。


 その次の日、行方不明になっていたリーバーは腰を抱えながら科学班フロアに来たそうな。

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@言い訳@
 クリスマスネタですか?これは!(ド殴:コッチが聞きたい!!)フフッ、自分は思考が可笑しいんですよ。仕方ない。(ド殴:許されるか!)
 では色々とスイマセン。失礼します。平成20年12月27日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様