俺の生き甲斐。



 そう、それは、タバコ、だ。



   タバコは俺の心の友でありながら、支えてくれる女房みたいな奴だと思っている!


 だから、毎日吸っている。


 あの日も、吸っていた。マイ☆タバコ。



【Tobacco】



 此処は大部屋。大部屋は相変わらず、書類に埋もれている。俺はマイ☆タバコを吸いながら書類に向かっていた。くそ難しい文字が並んでいる。

 それでも、ブレタに教わった方法で見れば、大体言いたい事が分る。書き方も。後は間違えぬように書くだけた。

 煙をゆっくりと吐き出し、俺はペンを動かし始めた。この書類は今日までだから、早く終らす。その一身で。この書類が終れば後は訓練だけだしな。




 書き終わった。俺は持っていたペンを机に置き、書類の文字を読み返す。完璧、とは言い難いが、これだけでも書類の完成だ。

 俺は短くなったタバコを数多くのタバコが既に溢れ出る灰皿の上に押し付け、消した。後で片付けないとな・・・そう思いながらタバコの箱に手を伸ばした。


 カッ


 その時、腕を捕まれた。俺はその腕の主を見上げた。漆黒の髪に瞳を持つ、整った顔を持つ男性、ロイ・マスタングだった。


「何スか?大佐。」


 俺が問うと、大佐は眉間にしわを寄せた。喋らなくでも言いたいことが分る。何スか?だと?、と。まぁ、言いたい事は分る。


「タバコは止めろ。お前の吐き出す副流煙と呼出煙の臭いが付くだろ。」


 やっぱしな。大佐はいつもそう言う。ちなみに、副流煙はタバコに火を付けた時に見える煙の事、呼出煙は吸ってる人が吐き出した煙の事、らしい。錬金術師は小難しい単語まで知ってる様だな。

 大佐はタバコの箱を取り上げた。俺は、あ、とつい呟いてしまう。だって、俺のマイ☆タバコなのに・・・。

 大佐はムスッとしたままタバコを見せびらかす様にし、軽く左右に揺らした。


「これは預かる。お前はタバコの吸いすぎた。」

「えー!そんな事ないですって!」

「お前は、その灰皿を見て吸いすぎじゃないと言えるのか?」


 灰皿・・・短くなったタバコがあふれ出している灰皿だ。しかし、これだって、最近バタバタしていて片付けてないだけで、今日一日の量じゃない!量的に・・・・一週間分?・・・。

 俺は大佐を睨み、見上げる。


「ヘビースモーカーに対しての虐めです!」

「お前は受動喫煙って言葉を知っているか?吸う煙よりも常に上がっている煙の方が重いんだぞ。」


 大佐はドス黒くそう言う。そうなのか・・・初めて知った。でも、俺のとってタバコは戦友だ。タバコを吸いながら書類と戦った。戦闘前に落ち着かせてくれた。

 だから、今更止められない。


「俺はタバコ中毒だから仕方ないです。」

「・・・ハァ・・・何真顔で言ってるのかね。」


 大佐は溜息を吐き、俺の頬に片手触れた。俺の中の第六感が響き渡った。だが、遅くで・・・否、反論は出来た。出来たけど、出来なかった。大佐の顔が淡々近づいて来て・・・。


 気付けば、唇と唇が触れていた。


 口内に大佐の舌が入ってきて、掻き混ぜるように動かす。舌と舌がぶつかる。水の混ざり合う音と息が上がる音は相変わらず耳障りだった。

 離れた時、耳障りだったのに、恋しくなる。


「苦っ;タバコを控えろ!」

「ははっ、タバコ中毒ですから。」

「だから、真顔で言うな。」


 大佐は溜息を吐く。俺はつい笑ってしまった。何だ、だからこんなに言うんだ。

 俺は馬鹿で鈍感で、素で分らなかった。


 大佐は俺の心配をしていたんだ。


 傷つけない様に、遠回りに。馬鹿ですね。俺はアンタの願いなら、否定をしながらも少しずつ直すのに。

 大佐は俺の肩に手を置き、また顔を近づけた。


「口寂しいなら、またキスをしてやろうか?」

「大佐がしたいだけでしょう?」


 俺がそう言うと大佐は苦笑いを浮かべ、顔を近づけてきた。


  バシッ  ドコッ!!


「痛!」

「ぐおおっ」

「仕事中です。」


 俺と大佐の頭を叩いたのは中尉だった。特に怒りは大佐に向かってたらしい。明らかに音が違った。


「何で私の時だけ厳しいんだ!」

「始まったのは大佐からでしょ?」


 ご尤も。俺はそう思い書類をまとめ、中尉に渡す。中尉は笑みを浮かべ、ご苦労様、と呟く。時計を見れば、後少しで訓練開始の時間だ。

 俺は立ち上がり、二人に手を挙げた。


「じゃ、俺は訓練行って来ます。」

「いってらっしゃい!」

「なっ!私を置いて逃げるのか!」


 逃げる?そうかもしれませんね。でも、大丈夫スよ。

 俺は大佐の方を振り向き、苦笑いを浮かべた。


「仕事が終ったら、大佐の家に行きますんで、仕事、片付けてくださいよ。」


 俺はそう言うと紅く染まっていく顔を隠す為に、すぐに背を向けた。見なくでも分る。大佐は目を見開いているだろう。そして次第に笑みが浮んで―――



「そうだな。」



 俺は笑みを浮かべ、大部屋から出る。今日はもうタバコは吸えないだろうな。


 あの人は絶対にタバコを吸うことを許さないし、タバコの代わりに愛を与えてくれるから。

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@言い訳@
 なんだ!?この話は!!(ド殴;こっちが聞きたい!)ただ、タバコの難しい言葉を使いたかっただけと言う・・・orz保健の教科書はネタの宝庫です☆
 では色々とスイマセン。失礼します。平成21年1月2日



背景画像提供者:skyward 崇様