甘いデーに酔いしれる町。


 馬鹿じゃないのか?そう心の中で嘲笑いながら金髪のねぇちゃんと体を合わせる。


「好き?」


 その問いに俺は女性の体を強く抱きしめる。


「あぁ、好きだよ」


 そして深いキスをする。一番馬鹿なのは案外俺かもな、とまた心の中で嘲笑った。



【Valentino To Iemitu Dr】



「この浮気者!!」


 自分の家の扉を開ければ、何故か目の前に金髪の日本人男性、家光が居た。そんでもって第一声が何故かこれだ。シャマルは胃の底から溜息を吐いた。

そして顔を紅潮させながらガキの様に頬を膨らませ怒る年上日本人を改めて見る。ロングコートのポケットの中に入れていた片手で家光の顔を鷲掴みをし、力を入れた。


「まず、何でアンタは俺の部屋に居るんだ?合鍵あげた覚えはねぇけど?」

「まずは浮気の事を謝れ!あ・や・ま・れー!」

「お前、住居侵入罪で訴えるぞ。とりあえず中に入れ」


 シャマルはそう言えば家光の顔を押しながら中に入った。長く居たのだろう、中はとても温かい。

 それからシャマルは家光を部屋のリビングに居れ、シャマルお気に入りの黒いソファーに座らせた。此処に人を入れる事自体吐き気がするが、仕方ない。

 シャマルはコーヒー器具にスイッチを押し、コーヒーを作る。この部屋は家光ところか、先ほど体を合わせた女性すら入れていない。それをこの男は・・・シャマルは眉を顰め、未だに膨れ面の家光を見る。


「怒りたいのはコッチだ」

「浮気は駄目なんだぞ!」

「お前と付き合っている記憶は無いが?」

「何!?俺を弄んだのね?!」

「死ね」


 真剣に怒っている様に見えぬ家光にしれっと言葉を返すシャマル。それでもシャマルは気付いている。家光は本気だ。ただ、その本気を隠している。

 シャマルは目を細める。傷つけない為?はっ、笑えるな。

 グツグツッとコーヒー器具から音とコーヒーの匂いが良い水蒸気が部屋を漂う。シャマルは家光に背を向け、コーヒー機器から出る水蒸気を見つめた。

 それから沈黙が流れた。

 ――救ったのは誰だ?シャマルは生れ付き菌やウィルスが付きやすい体質だった。病に333かかって、それに対抗する333の病を持っている。その体液を欲しがり多くのファミリーがシャマルを襲ってきた。

 シャマルは逃げていた。そこにボンゴレファミリーに保護された。結局、勝者はボンゴレファミリーだと言う事だ。それでも、ボンゴレはシャマルを生かした。


『もう、逃げる必要は無いよ』


 そう言うって、抱きしめた青年。幼い頃のシャマルは虚ろながらも微かに覚えていた。

 それから殺し屋になった。家光とシャマルは前までコンビを組んでいた。最高最強コンビと言われるほどだ。最強すぎて、コンビ解消する訳だが、コンビ中何度も家光に救われたのも真実。

 体も心も。気付けば、あってはならぬ感情が生まれていた。シャマルはそれを必死に、家族変わり、と思い込んでいた。それから数年。ストーカー家族として納得した。

 香る水蒸気が消えた。


「俺は何をしたいのだろうな?なぁ、シャマル」


 シャマルは家光の答えに応えず、白い手でカップを二つ、取る。


「この思い、本来ならおかしいのにな」


 カップを置き、出来立てのコーヒーを入れる。


「ごめんなシャマル。この思い、抱いて」


 シャマルは顔だけ後ろを振り向き、家光の姿を横目で見る。家光は俯き、頭を抱えていた。

 3秒しない内にシャマルはコーヒーに目線を戻す。コーヒーを入れ終え、また少しコーヒーが残っているコーヒー器を戻す。


「何を今更言ってるんだよ」


 シャマルは棚からコーヒー用ミルクをコーヒーの中に入れる。


「俺はお前の想いに気付いていた、と同時にお前も俺の気持ちに気付いていたんだろ?」


 シャマルはそう言うとコーヒーカップを両手に持ち、振り向いた。その顔には女性に見せるような魅力的な笑顔は無かった。変わりに、苦笑を浮かべていた。

 白いテープルに白いカップを二つ置き、シャマルは家光の隣に座る。家光はシャマルの顔を心配そうに覗き込む。

 信頼されて無いんだな、と一瞬思ったが人の事など言えない。自分も信頼など寄せてない。寄せてるのは己の心のみだ。

 家光は笑みを浮かべ、スーツの裏ポケットから小さな箱を取り出す。


「じゃぁ、受け取ってくれ」


 シャマルはその箱に目を見開く。この小さな箱は見た事がある。ドラマや映画の時、よく男が女性に、告白する時に渡す箱だ。シャマルは息を飲む。


「まてまて、さすがに早すぎるだろ?」


 シャマルの白い顔が白くなる。だが家光は顔を少し紅く染め、小さな箱をシャマルに押し付ける。シャマルは必死にその小さな箱を掌で押す。


「早くない。今日じゃなきゃ駄目なんだ」

「いやいや、可笑しいって。お前、女性でも引くぞ?」

「イタリアだからな。でも、ジャポーネでは最近認められている」


 言ってる意味が分らなかった。最近のジャポーネは確か少子化問題が激しかったんじゃないのか?


「受け取ってくれ!!俺の想いを込めたチョコレートをっ!!」

「いや、ムリ――って、チョコ?」


 シャマルが目を点にしてるすきに、押し退けていた掌を掴み、白い掌の上に小さな箱を乗せる。


「そう。My手作りチョコだ!男の料理だから外見は気にするなよ」

「ちなみに、ジャポーネで認められている、とは?」

「あぁ、最近は男から女性に渡す逆チョコが流行っているらしいからな」

「ぎゃく、って俺は女か?!」


 シャマルは声を荒げながら言った。それを見て家光は笑った。


「あははっ、でも、これ、本当に俺の気持ちだからな」


家光は笑い涙を拭いながらそう言った。シャマルはその言葉に目を見開いた。掌にチョコンッと乗っている箱を見て、見開いた目を細め、口に笑みを浮かべた。


「告白するならもっとかっこ良く決めろよ。一生結婚出来ないタイプだな」


 シャマルがそう言うと家光はシャマルをギュッと抱きしめた。


「俺は別に良い。シャマルが居るだけで俺は幸せだから」


 シャマルの白い耳元で呟く。白い耳は次第に鮮やかに紅く染まった。


「何を今更」


 幸せなのは、コッチも一緒だ。あってはならない感情を、あんな一瞬で吐き出させた。

 気持ちが楽になったのが分った。


「俺の想い、受け取ってくれたんだ」


家光は抱きしめる手を強めた。シャマルも体格の良い家光の背に手を回した。さっきまで抱いていた女とは違い、硬い。男的本能で言えば、女性の様な柔らかさが良いのだが・・・。

この抱きしめが今は何故か、心地が良かった。


「バレインタインだからな。受け取ってやるよ」


 素顔になれないシャマルに家光は笑みを浮かべ、有難う、と言った。


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@言い訳@
 バレインタイン関係ない!と言う言葉は無しの方向で!え?あぁ、ツッコミはそこじゃない、と?(ド殴:当たり前だ!)わーいwバレインタイン余裕で過ぎているw(ド殴)私のシャマさんと家さんは20代設定ですw坦々裏設定が出来てきましたね(遠い目)
 では色々とスイマセン。失礼します。平成21年2月21日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様