【Valentine's Day To Maes Havoc】



 青い空の下、ハボック隊はカレキ撤去をしていた。

 ハボックは持っていた瓦礫が入っている袋を地面に放り投げる。体が一気に楽になったがすぐに作業に戻りたくなく背に手を押さえそのまま背をのけぞらした。

 目の前には空が広がり、静かに雲が動いていた。力仕事をした後のこの風景が好きだった。自然ってスゲーなーと毎回思っていた。

 その時、ハボックの尻が誰かに叩かれる。ハボックはピックリして、体を真っ直ぐにしてから後ろを振り向いた。そうすればさっきよりも目が見開いた。


「ちゅ、中佐?!」

「おいおい、んな驚くなよ」


 ハボックの後ろには漆黒の髪を撫で付けていて、一房だけ垂らしている男性が居た。目はブラックグリーンで四角い眼鏡をしていた。

 男性の名は、マース・ヒューズ。ヒューズはキレ長の目を細める。相変わらず可愛いハボックが、人前にも関わらず上の軍服を腰で結びつけている。

そんでもってその上の体と言えば、黒い半そでのシャツを着ている。しかも、その黒い半そでは体にヒットしており、ハボックの綺麗な筋肉が鮮明に浮き彫りになっていた。

それに酔うのと同時に嫉妬が生まれた。


「何で中佐が居るんスか?」

「居ちゃ悪かったか?・・・中央からの出張でな。早くで3日。遅くで一週間は此処にいる予定だ。部屋に止めてもらえるか?」

「あ、はい!勿論ッス!」


 ハボックは無意識に背筋を伸ばし、右手の人差し指の第二関節を額に付けた。士官学校でよく見せられた、見本の敬礼写真の様だった。

 ヒューズは苦笑を浮かべる。それと裏腹に腹の中はギシギシと歪んでいた。これは軍内では常識だ。下の者が上の者に敬礼をする。だが、此処は人前で恋人であるヒューズにとってそれは嫌だった。

 否、敬礼は良い。その格好でやるな、だ。


「ハボックを借りるぞ」

「え?中佐?!」


 ハボックはヒューズの一言に顔を紅潮させた。それを見せたくなくヒューズはハボックの腕を握り、休憩用のテントへと向かう。それを見て部下は、何だろ?と疑問に思っていたが作業を続けた。

 二人の関係を知っている副隊長は、周りはバレてないだろうか?、と内心ハラハラしながら作業を続けた。

 テントの中は運が良く誰も居なかった。テントの入口を閉めた。


「中佐?」

「お前は、上半身を露出しすぎじゃねぇか?」


 ヒューズは無償ヒゲを撫でる。ハボックは首を傾げた。これくらいの服装は軍では珍しくないと思っていたからだ。

ヒューズはハボックの周りを一周しながら上半身をじっくりと見た。相変わらず無駄のない体だ。少し筋肉が付いたか?とも思った。

 ヒューズはハボックの前に戻ると、今度はハボックを抱きしめた。そしてハボックの腰周りを触る。それについハボックはピクついてしまった。


「ちょっ、中佐?」

「相変わらず締まっている体だな。惚れ惚れするなー」


 ヒューズは笑い交じりに言う。ヒューズはデスクワーク派の筈だが体が引き締まっている。それでもハボックほどに筋肉質でもない。


「中佐、今は仕事中です」


 ハボックは快楽を押さえながらそう言うとヒューズは笑いながらハボックの体から少し離した。相変わらずの人の良い笑顔を見せる。


「スマンな。今は東に来る前に会いたくなってな」

「え?また東方に行ってないんですか?」

「勿論!ハボックに先に会いたくなったんだ」


 親指を立てながら言うヒューズにハボックは溜息を吐いた。


「それじゃぁ好い加減に東方に行きますか。ロイに寄り道した事バレちまう」

「そうした方が良いスよ。今大佐仕事を溜めているんで、手伝わされるかもしれませんからね」

「うわーそれは嫌だな」


 ヒューズが大げさに嫌な顔をすればハボックは噴出し笑いをする。ヒューズも笑い出す。


「それじゃぁ、本気で行って来る」


 ヒューズはそう言うとハボックに背を向け、テントの出口を空ける。


「上半身露出は程ほどにな」


「してませんから!」


 顔を紅くするハボックを見ずヒューズは、あははっ、と笑いながら去る。

ハボックは笑みを浮かべ、敬礼しながらヒューズを見送った。



 ハボックは作業に戻る。カレキを詰め込んだ袋の前に行き、その袋を持ち上げた。余裕で20は越えているそれはずっしりと重かった。それをハボックは二つ持つ。

 それを袋の山に放り投げた時部下から声をかけられた。


「アレ?ハボック少尉、何を入れてるんスか?」

「ん?」


 ハボックは分かっておらず、部下はハボックの腰らへんを指差す。ハボックはそこを手に触れば、上着の中に小さな箱があった。

 気付かなかった・・・ハボックはそう思いながらその小さな箱を開けると、シルバーのブレスレットが入っていた。それを見て部下は茶化す様に口笛を吹く。


「もしかしてバレインタインプレゼントッスか?」

「バレッ?!お前は馬鹿を言うな!」

「痛い、痛いですって!!」


 顔を紅潮させながらハボックは部下の頭を脇に挟み、その頭を拳でグリグリとした。

 こんな事をするのは必然的に一人しか居ない。


―――マース・ヒューズ中佐


「本当に仲が良いですねー」

「う、うるさい!」


 あぁ、今日どんな顔をして貴方が居る部屋、あるいは貴方が戻る部屋に帰れば良いんですか?

 ハボックは当分顔の赤みが消えなかった。

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@言い訳@
 あれ?バレインタイン関係ない?と思いきや、最後に?!なってますか?(ド殴:知るか!)漢字が出ない時と出る時がありますorz正直ヒューズさんの名前がマースだと言う事を忘れてました・・・ヒューズが名前だと思ってました(ド殴)
 では色々とスイマセン。失礼します。平成21年2月23日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様