「リーバー班長、今日僕と夜付き合ってくれないかな?」
いつもの様に科学班第一班フロアに来た、科学班第二班のレゴリー・ペック班長。いつものペック(と科学班大三班班長マーク・バロウズ)はリーバーに嫌味や苦情を言う為に来るのだが、今日は違った。
ペックの言葉にリーバー&その場に居た科学班第一班班員は目を見開きペックを疑視する。
ペックが、リーバーにお誘いをしたのだ。
「えーっと、付き合ってって・・・」
「夜、食堂で付き合って欲しいんだよ。もう一人も呼んである」
ペックの急の誘いにリーバーは、はぁ、と相打ちを付く。どうやら、付き合って、とは食事の事だろう。だがリーバーは、もう一人、が分らなかった。
ペックの部下、だろうか?他に思いつかない・・・。
「もう一人は来ると言っている。三人で語り会おうか」
「・・・あの、もう一人って誰ですか?」
リーバーがそう聞くと、ペックは溜息を吐く。いやいや、普通分らないから!俺たち全員分かってると思うなよ!と科学班班員の数名が心の中でそう突っ込んだ。リーバー班長、頑張れ!と心の中で応援する者も居た。
「マーク・バロウズ班長だよ。いやぁーあの人を説得させるのに苦労したよー」
マーク・バロウズ班長。確かに彼を説得するのにはかなり骨が折れる思いだろう。ペック班長は本当に食事をしたいらしい。
リーバーは苦笑を浮かべる。その心の中では、何で班長三人で?、と疑問がグルグルと渦巻いていた。だが、答えが出ない。ペック班長の考えてることが分らない。
「班長三人で、ですか?」
「そう。良いよね?」
「えーっと、あ、いや、俺まだ仕事が残ってまして・・・」
「俺はアンタ等と違い仕事が忙しいんだよ、って事かい?」
ペックは眼鏡のブリッジを中指で上げながら言う。光加減で眼鏡の奥のエメラルドの瞳が見えない。
「ち、違います!そう言う意味って言った訳じゃなくで・・・」
「じゃぁ、行くのかい?」
行かない、と言ったら、ほらやっぱし。さっき言ったのは合っていたんだね、と言われる確率が100%だ。リーバーは苦痛に顔を歪ませる。もう、逃げられない。
リーバーは諦め、顔をカクッと下げる。
「行きます・・・」
「よし!じゃぁ時間になったら向かいに行くよ」
「え;向かいに、ですか?」
「君は人生の先輩を持たせる気かい?」
「い、いえ;」
リーバーよりも意外にペックの方が年上だったりする。そんでもってペックよりもバロウズの方が年上である。だが、人生の先輩だと言うペックだが、実際はリーバーより一つ年上の27歳だ。バロウズは不明(←だったら良いなー)
リーバーは逃げられるず、ペックの言う事を聞くことになった。
【Party of three people】
ペックと一緒に食堂に来た時にはバロウズは席に着いていた。バロウズは裾を少し上げ、隠れていた時計を見る。
「3分25.96秒の遅刻だ」
「・・・相変わらず細かいねー」
ペックはバロウズと向き合い座る。もう既に机には料理が並んでいた。
リーバーは息を飲む。いつも食べているサンドイッチやハンバンガーとは違い、お高い高級料理が並んでいたのだ。食堂は一銭もいらない為、気が引けてしまったのだ。
「今日は高級料理だねー」
「私はいつもこうだ」
バロウズの一言に二人はつい目を丸くしてしまった。確かに、ありえなくも無い・・・。しかし、さっきの発言で同じく目を丸くしたペックはリーバーと近いと分かってリーバーは内心安堵した。
今日だけ・・・今日だけだ・・・ジェリー等に心の中で謝罪をしながらリーバーはペックの横に座る。
「じゃぁ、食べますか」
「高級料理で気が引けますがね」
ペックはさっそく内側のフォークとナイフを取る。
「フォークとナイフは外側からだ。はっ!そんな常識も知らないのか?」
「・・・」
ペックは眉を顰めフォークとナイフを元の位置に戻し、外側のフォークとナイフを取る。リーバーも見習って外側のフォークとナイフを取る。その手は微かに震える。
「僕的に居酒屋の料理的が良かったんだが・・・」
「ペック班長、食事の前に乾杯じゃないのか?はっ!これだから一般の出は・・・」
ペックは額に青筋を浮かべながらフォークとナイフを乱暴に戻した。バロウズは、音を立てるな、と言いペックは、はい、とド低くと応える。リーバーは音を立てない様に戻した。
本当に個性豊か過ぎる。リーバーを目の敵にしてるペックだが、もしかしたらリーバー以上にバロウズが嫌いかもしれない。ただ、年上で小うるさいバロウズを目の敵にする気力は無いだろう。目の敵にすれば、精神的に追い詰められ、自殺しかねない。
ペックは一回深呼吸してから机の脇にあったワインに手を伸ばす。
「あ」
「ん?何かな?リーバー班長」
「俺、お酒飲めないんです。もっと言えばタバコも」
「俺はアンタ等飲んだくれと違い、健康的な生活をしているんだ、かな?」
「違います!」
リーバーは勢い良く首をフル。リーバーは健康など関係なく―科学班に入っている時点で不健康だし―嫌いなのだ。ペックはリーバーの顔を0距離で覗き込む。
「僕が注ぐワンが飲めないのかい?」
「いやいや、そんな事無いですよ!誰が注いでも、どんなお酒でも、アルコールが入っている飲み物が駄目で;」
「良いから、飲みたまえ」
ペックはリーバーの拒絶を聞かずリーバーのワイングラスにワインをトボトボと入れる。それを見たバロウズは、その注ぎ方はありえない、と言いペックからワインを奪い取り、優しく二つのワイングラスに入れた。
二人はワイングラスを持つ。リーバーも慌ててワイングラスを持つ。ワイングラスを挙げ、カチンッと音を鳴らした。
二人はワイングラスを顎らへんに持ち、液体を軽く回しながら匂いを嗅ぎ、口に少し含む。こう言う知識はマナーと同じなのだろう。リーバーは真似をする。フルーティーなその匂いを嗅いでいるだけで頭がくらくらした。
それでも、飲まないとイケナイ。リーバーは少し口に含み飲む。
「うん。美味しい・・・たまにはワインも良いかもね」
「高級料理にワインは付き物だ」
明らかに毎日飲んでるな、とペックは思ったが、あえて口にしなかった。言えば今度は何を言われるか・・・。ペックはお酒が好きだが、そんなに飲まない。料理も高級料理も良いのだが、基本はリーバーと同様にシンプルな物を食べている。(←だったら良いなー)
「本当に別世界だな。なぁ、リーバー班長。リーバー班長?」
ペックはリーバーの方へ横を向けば、リーバーの異変に気付く。白い肌は赤く染まり、生れ付きの愛嬌のある垂れ目の目元と耳はより紅い。氷の様に色素の薄い青色の瞳は酷く揺れている。
リーバーは下手をすればペックよりも年上に見える。だが、今は違う。ペックが息を飲むほどに幼く、美しく思えたのだ。ペックは不意にリーバーのワイングラスを見る。
ほどんと減っておらず、恐らく一口が二口しか飲んでいない。だったそれだけしか飲んでいないのに、人はこれほど変わるものなのだろうか?
揺れる氷の瞳がペックの方を向く。ペックは何故か顔に熱を持ち始める。それを見られたくない様にバロウズの方を向けば、バロウズは食事を始めていた。
「ペックはんちょ?」
「リーバー班長は異常にアルコールが全身に回りやすい体質なのかね?酔うの早すぎると思わないのかな?」
ペックは早口にそう言いながら横目でリーバーを見る。リーバーはペックの言葉に目を見開いていたがすぐに、にへっ、と子供の様に笑う。その無邪気な笑顔にペックの心臓が大きく跳ねた。
可笑しい。可笑しい。僕は何をどきめいているのかね、と焦るペック。それでも酔ったリーバーはボーと出来立ての高級料理をジーッと見る。それをつい横目で観察をしてしまうペック。
「何をしている?早く食べたらどうだ?私は忙しいんだ」
忙しい、と言ってもお酒を飲んでいる時点でこの三人の班長に仕事など出来ない。否、二人は出来るかもしれないが、リーバーは間違い無く出来ないだろう。
バロウズの目は酔うリーバーに向かう。
「リーバー班長、こんな度が低いワインの一口で酔っ払ってどうする?これだから本部の科学班班長は」
バロウズが言い捨てればリーバーの瞳の潤みが増し、次第に液体が零れ落ちた。
「泣き上戸か」
バロウズは鼻で笑った後食事を再開し始める。ペックもリーバーを横目で見ていたが次第に食事を始める。
そんな様子を見ていた周りの旧科学班&探索隊は二人を睨む。だが、届かない。まるで三人が座る席だけ別世界にある様だ。
ある探索隊班員が班長等に近づいた。高級料理が乗っかる机をバンッと叩く。
「酷いんじゃないですか?リーバー班長お酒苦手だって言っていたのに、無理矢理飲ますなんでッ!!」
探索隊の一言に周りも、そうだ!そうだ!、と叫ぶ。二人は探索隊を見上げる。確かに言っていたがそれは単に、味が苦手、だと思っていてまさか此処までお酒に弱いとは思ってなかったのだ。
息が荒い、今にも殴りかかろうとする探索隊班員の後ろに新しく入った科学班班員、ジジ・ルゥジュンが立ち探索隊の肩に手を置く。
「スイマセンね。許してやってくだせぃ。旧科学班と探索隊はなんやかんや言って、リーバーの事を信頼していまして」
ジジはニコッと笑みを浮かべながらそう言う。実際にはジジの記憶は2年前だ。それでも2年前のリーバーは既に班長で、周りもリーバーに信頼を寄せていた。
ジジはリーバーの隣に行き、リーバーの背を撫でる。リーバーは嗚咽を抑えながらも瞳から大量に液体が流れる。
「リーバー、大丈夫だからな。今、楽にしてやるから。そう、楽に」
ジジの最後の言葉は、深い、とても深い笑みを浮かべながら言った。それに疑問を持つも何故かは分らなかった。
ジジはリーバーのワイングラスを片手で持つ。背を撫でていた手の親指と人差し指でリーバーの鼻を摘み、上を向かせる。自然に開いた口にワインを流し込む。
当然ながら蒸せるリーバー。それを無視しジジは空になったワイングラスを机に置き、今度はワインのボトルを手にし、無理矢理にリーバーに飲ませる。
その行動に周りはただ目を見開くしかなかった。だが、ある一部の者はハァハァッとこの後起きる事に楽しみを覚えていた。ある一部の者はこの後起きる事に顔を青ざめていた。
「ゲホッ、んはぁ、ジ、んん、ゲホッ、やめ、ろッ!!」
「ぐぇっ!」
力ない男のあそこも持ち上がりそうな程の色っぽい声にも関わらず、リーバーはジジの腹に勢い良く肘鉄を食らわした。リーバーはユラリと立ち上がり、咳き込むジジの背に足を乗せる。
「酒嫌いって言ってるんだろ?それとも、苛めて欲しいのか?あぁ?」
「ははっ、相変わらず黒リーバーは口が悪―――痛い痛い止めてくださいっ!!」
さっきまでの可愛らしいリーバーは今や何処にも居ない。ペックは大口を開けリーバーを疑視をしていた。さっきのドキメキは・・・。バロウズはゴミを見る様な目でリーバーを見た。
「リーバー様!」
「ん?」
目を輝かせながら胸らへんで手を組む、まるで憧れのアイドルが目の前に居る乙女の様な探索隊班員をリーバーは無表情で見下ろす。
「私めの事を覚えているでしょうか?リーバー様が10歳若返った時に色々と無礼を働いて、リーバー様に強調された者です!」
「はっ!知らねぇな!出直して来い!」
「はひっ?!まさかの知らないプレー?!有難うございます!!」
頭を下げる探索隊班員。リーバーは鼻で笑った。食堂に居るドMはゾクゾクと身を震わせた。ある者はブルブルと身を震わせた。
「相変わらずドSだな」
「ドS?」
その言葉に食いついたのは意外にバロウズだった。バロウズはジッとリーバーを見る。リーバーの顔は紅く染まっているが、その言動のせいだろうか、そう見えない。ドス黒いオーラーを出していた。
バロウズは眉を顰めた。
「はっ!何処がサディズムなんだ?」
その言葉に周りは、え、ええええぇぇぇっ?!、と心の中で叫ぶ。確かに今のリーバーは久しぶり過ぎなのか、それともお酒を大量に無理矢理に突入されたなのか、本番突入ではない。
だが、本当に怖い時はほどんとの人をM化あるいはSと言われる者を怯えさせた。
リーバーはバロウズの方を振り向く。リーバーとバロウズの間に見えぬ火花が散った。その時、我に返ったペックは手を一回大きく叩いた。
「こ、これは、リーバー班長の弱みなのでは!」
中央に報告すればリーバーは班長の地位を無くすかもしれない、そう思ったのだ。だがバロウズは違っていた。
「私はリーバー班長がサディズムの性があるのは知っていた。それにリーバー班長はお酒の一定の量を飲まないとサディズムにならない。周りも別にリーバー班長がサディズムになる事を嫌がってない。この二つからそれが弱みになる事はならない」
「・・・僕、頭が可笑しくなりそうだ」
ペックが頭を抱えている中でも二人は火花を散らし続ける。知っていてもなお、冷静に判断するバロウズ。実際は仕事のやりすぎでたまにお酒無しでもサディズムになる事は知らない。(←原作には一切関係ございません)
リーバーは不適に笑みを浮かべた。
「何です?そんなに苛めて欲しければ、お願いします。苛めてください、と言えば良いじゃないですか。バロウズはんちょ」
「ほぉー君は私に喧嘩を売ってるのかね」
「喧嘩じゃないですよ。誘っているんですよ」
リーバーのトロンとした垂れ目は何処かつれ目に見える。氷の瞳は先ほどの様に揺れず、真っ直ぐとバロウズを貫く。
バロウズは立ち上がりリーバーの前に来た。周りは息を飲む。この二人の勝負。サディズムになったリーバーの言葉は心理とか倫理とか論理とかは無い、屁理屈の言葉。それに比べバロウズは屁理屈を一切持たぬ。
この戦いに完結はあるのだろうか?誰もが長い戦いになると思っていた。
バロウズはリーバーの腕を掴み、リーバーを無理矢理背を向かせた。捻られた腕に痛みを感じリーバーがひるんでいるすきにリーバーを押し倒す。その間ジジが痛みに叫んだのはBGMにしか思えなかった。
バロウズはリーバーの背に片足を乗せ、腕を引っ張る。
「痛い、痛いっ!!」
「このまま脱臼させてやろうか?」
その言葉にリーバーは激しく首を振る。バロウズは鼻で笑い、リーバーの手を離した。
「せっかくの高級料理が不味くなった。ペック班長、私は帰る」
「お、おう」
バロウズはスタスタと去っていた。バロウズは最後までクールさを外す事はなかった。
「バロウズ班長、その名、覚えとくぜ、くふっ」
「班長大丈夫ですか!」
そのまま(サディズム)リーバーは気絶。リーバーは医療班に連れて行かれ、その場にペックしか残らなかった。
「・・・もう、絶対にあの二人を食事に呼ばない」
そう誓ったペックだった。ちなみに、リーバーはあの時の記憶を無くし、ただ二日酔いだけが残ったそうな・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
@言い訳@リクエスト『新しい班長sに酒を飲まされる班長(+有り)』
何だろう、このオチも盛り上がりも萌えも無い話は・・・本当にスイマセン><完璧にリクエスト活用してないと言う・・・本当にスイマセン!ペック班長、リーバーさん以上にバロウズ班長が嫌いだと思います!そんでもってバロウズ班長はドSだと思います!(ド殴)ちょくちょく自分の意思が・・・orz
では改めてリクエスト有難うございますw
お気に召し上がりませんでしたら遠慮なく申しててください。
では色々とスイマセン。失礼します。平成21年3月7日
背景画像提供者: