「X=4 Y=2 式に当てはめれば 2=4の二乗×a a=8」
独り言の様に呟く声。その声にリーバーは眉を顰める。ニヤッと笑い、首だけ捻りリーバーを見上げる。
「それは正しいか、それとも間違っているか?」
キャラメル色の長い前髪の間から見える碧色の瞳がリーバーを捕らえては、細める。
「真偽か?そりゃぁ真に決まってるだろ?」
「お堅い脳をお持ちですねー」
その返しにムッとするリーバー。相手は最近入って来た新入り。そんな新入りは若い科学班班長をからかう真似を良くする。
相手はクスクスッと笑う。笑ったと思ったら、体をリーバーに向け、立ち上がり、足りない身長を埋める様につま先立ちをし、リーバーの両肩に手を置き、形の良い唇にキスをした。
「正解の班長にご褒美です」
意地の悪い笑みを浮かべながら言う。言う相手の両頬をムニュと掴むリーバー。その頬には怒りマークが見えた。
「マービン・・・からかうのも対外にしろっ!」
「いやーんvV俺、褒めて伸びるタイプですぅvV」
マービンが猫を撫でた様な声を出す。その声にリーバーは溜息を吐き、マービンの頬から手を離す。マービンは悪戯が成功した様に笑みを浮かべる。
「たくっ。ジジに変な所だけ似ているな」
「ジジって人、会った事無いんですが、そんなに俺似てますか?」
マービンの言葉にリーバーはバツの悪い顔をし、マービンを見つめる。
「班長、ずっとジジって人の事を言ってますよ?そんなに大事な人なんですかぁー?」
マービンはぶっきら棒に言う。今はリーバーとマービン以外全滅しており、科学班フロアは深い眠りに落ちる科学班班員で満ちていた。
「あぁ、大事だ」
リーバーの言葉にマービンは顔の表情を変えず、笑みを浮かべたままリーバーを見る。
「此処に居る全員、大事だ。俺の家族であり、仲間だからな」
リーバーはそう言い切る。此処に居る皆は同じ目的の下集まっている。だから、徹夜をどんだけしても、精神が狂いそうになっても、一緒に居られる。助けてくれる。
それは甘い考え方かもしれない。人は人である限り、出来すぎた脳が自分の利益を優先する。でも、リーバーは信じていた。誰もが助け合う、そんな世界を。
「マービンだってそうだ。マービンだって俺の大切な仲間だ」
リーバーはニコッと笑みを浮かべながら言う。そこで床に眠ってる野郎も、仲間。机の上に突っ伏し眠っている女性も仲間。仮眠室で眠っている科学班班員も仲間。
否、科学班班員だけじゃない。エクソシストだって、良く逃げ出す室長だって、科学班を馬鹿にする探索隊だって・・・皆仲間だと思ってるいるのだろう。
マービンは顔を上げる。両手を頭の裏に付け、唇を尖がらせる。
「んなの分かってますよー」
皆みんな、リーバー班長の大切な仲間。求めているのは、仲間、じゃない。
「俺は班長の大切な仲間なんですよね」
マービンはウィンクする。リーバーはそれに緩み、笑みを浮かべた。
「分れば良し!マービンも徹夜続きで疲れているだろ?もう寝ろよ。後は俺がやるから」
「へいへーい分かりやした。じゃぁお願いします」
マービンはそう言うとリーバーに背を向け、科学班フロアを出て行く。
【Specially】
違う・・・本当は、アンタの心の中で特別になりたかったんだ。
全てが平等であるアンタの心に、一人、特別になりたかったんですよ。
「X=4 Y=2 2=4の二乗×a a=8」
呪文の様にマービンは呟いた。
「間違っている」
俺が、アンタの特別になれる訳が無い。なれば、あんたの思う理想郷が成立しなくなる。
まさかキスをして何も思わないとは・・・からかいに普通キスまでしますか?
「成立しない式は要らない」
ジジって人がもしも、特別、だったら、その人の変わりでも、と思ったが・・・。
「どうやら俺はこんな簡単な計算も出来なくなった様だ」
一人呟いても、誰も応えてはくれなかった。静かに鳴り響いては壁に吸い込まれるだけであった。
一人残されたリーバー。リーバーは唇に人差し指と中指で触れる。
「本気にするだろう。ばーか」
一人そう呟き、自分の部屋へと去っていった。
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@言い訳@
とさ☆(ド殴)マービン→リーバー ですw話しが繋がってないorzマービン後輩の設定です!きっとマービンさんなら後輩でも、変わらず接する筈!
シリアスになりそうなので・・・無理矢理に両思い・・・いつものバターンですね(遠い目)
では色々とスイマセン。失礼します。平成21年3月22日
追伸:計算間違ってました・・・2=5の二乗×a a=50・・・誰がどう見ても間違ってますよ!(ド殴)X=4に直しました・・・本当にスイマセンでした(H21 3/24)
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