たまに、たまに・・・・・・相手を殺したくなる時がある。
どうしようも無く、俺の近くに居る奴を殺したくなる時がある。
気が狂いそうなほど、幸せそうな奴を殺したくなる時がある。
壊れてしまいそうなほどに、俺自身の大切な奴を殺したくなる時がある。
俺は隣に居る奴に気付かれない様に銃を取り出す。それは見慣れすぎて、小せぇガキが持っている様な玩具に感じた。それをソイツのこめかみに押し付けた。
ずっと、殺しの世界に居たからなのか、不定期にフッと俺の周りに居る奴等を殺したくなる。
俺は引き金に力を込めた。
【Beccaio】
たまの休みで、俺と家光は近くのバーで飲みに行った。俺は毎日の様に飲んでいたのだが、家光は久しぶりだったのか、うめーっvV、と歓喜に震えながらハイペースで飲んでいた。
そして予想通りすぐに潰れた。俺は溜息を吐き、金を払い家光の片腕を肩に回しながら連れ帰った。
本当に後で金を倍に返して貰うからな・・・俺はそう思いながら家光をベットの上に投げる。家光はグガーと起きる気配が無い。
本当にコイツは・・・俺は溜息を吐いた。本当にボンゴレの重要役所に居る奴か?
俺はシャワーを浴びてからベットに戻った。やはり気持ち良さそうに顔を紅潮させたまま眠っている家光に良い気持ちはしない。
家光をベットの端に寄せる。それから俺は電気を消してから自身布団に入る。
何で俺はこんな事をしてるんだ?
俺はフッとそう思った。前まで自分の部屋に誰かを入れる時点で有り得なかった。まして、野郎なんで吐き気がする。まぁ流れなのだが・・・それでも前の俺なら金は払ってもゴミ箱に置いていくだろう。
「んんーシャマルー」
家光はそう呟けば俺の方を向き、俺を抱きしめた。それについ体が大きくピクつき、恐る恐る家光を向く。家光は相変わらずグガーと眠っていた。本当は起きているんじゃねぇのか?と思い俺は家光の額を人差し指でツンツンと突っつくが、反応は無い。
俺はハァと溜息を吐く。何でこんなにドキドキしているのだ?そう思い眉を顰める。
此処は俺の家であり、家光に気を使う必要は無い。
「ん〜シャマル・・・好きだ・・・」
家光の馬鹿が零した言葉に苦笑を零す。寝ているにも関わらず告白だぁ?それと同時にそんな夢を見て苛つきも覚えた。何夢に俺を参加させているんだよ。登場料金払って貰うからな。
だがマヌケ顔を見てその思いも何処かに飛んで行った。俺は家光の露になっている汗ばんだ額に顔を近づけ、キスを一つ零してやった。
すぐに離れれば俺はすぐさまに口を袖で拭う。俺は何をやっているんだ?
すぐに布団の中に入った。だが、デリケートな俺は誰かと一緒・・・特に野郎と一緒に眠れる事など出来る訳が無い。俺は深く目を瞑る。
あぁ、家光のいびきが五月蝿い・・・。それでも酒が入り、なおかず酒を飲む前の仕事や医者の勉強で体が疲れていたのだろう。次第に睡魔が襲い、あっと言う間に夢の中へと向かった。
『もぉーいーかい?』
シャマルはその幼い声に目を開け、顔を上げる。目の前には白亜の壁があった。天井は無く、紺碧の空と空に浮いている白い雲が見える。
白亜の壁に一人の黒髪の少年が腕を押し付け、その腕に目を押し付けていた。シャマルは己の体温が浮き彫りになるような感覚を覚えた。
『まーだだよ』
少年と少し離れた所に男性が居た。男性は座り込み、愛しそうに少年を見つめていた。
少年は、イーチ、ニィー と数え始めた。シャマルの顔から汗が噴出す。
止めろ・・・・・・
ジュウー
『もぉーいーかい?』
止めろっ!!言うなっ!!
男性はゆっくりと笑みを浮かべた。
お願いだから、止めてくれっ!!!!
『もぉーいーよ』
少年はそれを聞き男性へと振り向いた。そしてポケットから陽に煌くポケットナイフを取り出し―――
止めろっ!!!!
白亜の壁が赤く染まりあがった。壁に飛び散った赤を少年は横へとスライドする。そうしたら、まるで赤一色の虹の陽に歪んだ弧が表れた。
少年はシャマルの方を振り向く。
『また遊ぼう』
少年は笑みを浮かべながら
『お兄ちゃん』と言った。
『あ、―――
――ああっ!!」
俺は短い叫びをあげ半身を起こした。そこは白い壁が連なっている・・・己の部屋。俺は自分の荒い息に不快を感じ、何とか落ち着かせようと、グッをした親指と人差し指のサイトに額をくっつけた。
夢・・・あれは昔の俺だ。俺は、ハハッ、と小さく笑いを零す。昔の俺が殺しに誘ってやがるのか?
もう、あのデスゲームは終った。そう、終ったんだ。
―――もう、とっくの昔に―――
「ん〜シャマル〜」
俺の名をマヌケな声で呼ぶのが聞こえた。俺は横へ向くと、家光が居た。そりゃ居るだろうな。俺が運んだんだから。
家光はまだ気持ち良さそうに寝ている。俺は目を細める。
『また遊ぼうよ』
そんな声が脳裏に浮かび上がった。罅割れた白亜の壁が赤に汚れて・・・紺碧の空が嘲笑っていた。床を這う様に紅い液体が俺へと向かう。まるで、離れたくない様に。br<
たまに、フッと人を殺したくなる。
過去を未来を今を・・・俺を知っている奴を全て殺したくなる。俺に関わる奴を全て殺したくなる。
俺はベットサイドにある机の引き出しから黒い銃を取り出す。その銃を隣に眠っている家光のこめかみに当てる。
撃てば飛び散るだろう。響き渡るだろう。
俺はゆっくりと笑みを浮かべる。
大切な奴が消える。
何十年も連れた奴が・・・。
さぁ、撃てば良い。
気分が楽になる。
それは安定剤の様に。
俺は引き金に力を込める。
撃てば、自由になれるんだ。
「バイバイ。家光」
――――カチッ
カチッ カチッ
俺は家光のこめかみから銃をゆっくりと下ろす。自分の荒い息を何とか抑えようと深呼吸を無理やりする。
「起きてるんだろ?家光」
「・・・あぁ」
家光はそう言えば、上半身を起き上がらせる。家光はまず俺の手から銃を奪い取り、床に落とした。それを目って追ってしまったが、ベットで見えなくなり、カタッと床とぶつかる音が聞こえた。
家光は無言のまま俺を見つめる。その顔には怒りもなく・・・かと言ってもいつものヘラヘラ顔は無い。
「ははっ、笑えるだろ?セーフティ(安全装置)をつけたまま引き金を引くなんで、現役の殺し屋の名が泣くな」
俺が笑い交じりにそう言うと家光は俺を抱きしめた。後頭部に手で押さえつけられ、より密着する。
「怖い夢でも見たのか?」
「・・・はぁ?お前さっき、俺に殺されかけたんだぞ?」
「そうだな」
そうだなって・・・普通はそれだけじゃ済まない筈だ。普通ならそのままボンゴレに知らせ、俺は処分されるのが妥当だ。
コイツ、俺を許すつもりなのか?
「どうせなら殺せ」
「ははっ、何で?」
「俺はお前を殺そうとしたんだぞ?」
「結果的にはな。でもお前はセーフティを外さなかっただろ?」
外さなかった・・・あの時は意識が何処かに行ってしまい、外す余裕が無かっただけだと思うが・・・今となっては分らない。
家光は後頭部を押さえていた手を頭の上に移動させ、掻き混ぜるように撫でた。
「大丈夫。お前を残して死なないし、お前の手で殺させるなら・・・それはそれで良い」
俺は目を見開く。コイツなんで言った?俺が殺すなら、良い、だぁ?俺は家光の両袖に握る。
「馬鹿か?んなの、俺が嫌だ」
「でも、知らない何処かのマフィアに殺されるよりは良いと思うけどな」
「馬鹿っ!アホっ!変態っ!!」
「否、変態は違うようなー;」
家光は笑い交じりに言う。本当に、人生は死んだらゲームオーバーの筈だ。なのに、その死は良いと言う。
馬鹿か。
殺そうとした俺は、アンタが居ないと精神が狂いそうなんだよ。
「お前は生きろ。俺がアンタの殺しを依頼されても逃げ切れ」
「ははっ、依頼は受けるんだな;」
「っ!細かい事は気にするな!良いな?逃げ切るんだ!」
たまに、人を殺したくなる。あの白い部屋を紅く染め上げたくなる。嘲笑う様な紺碧の空を赤で汚したくなる。
でも、アンタの色は汚してはイケナイ。そう思った。きっと赤に染め上がれば―――俺は―――
家光は俺の背をゆっくりとボンボンと叩く。子供をあやす様に。
「大丈夫だからな。俺は死なない。お前を置いて死なない」
『もぉーいーかい?』
もぅ、デスゲームは終わりだ。クソガキ。
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@言い訳@
無駄に長いし、メチャクチャ暗い話だし、血トバトバ(ド殴:じゃぁ書くな!)これと姉妹小説でキャグも・・・うん。まぁ血トバトバでしょうけどね(ド殴)でも、書けずに終ると言う結末orz(ド殴:おいっ!)
因みに家光さんは最初から起きていたらり・・・。だから寝言の様に『シャマル好きvV』と言ったそうな・・・うん。
では色々とスイマセン。失礼します。平成21年3月31日
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