居場所。


 俺の居場所は気付けば貴方で。


 嬉しかった。


 嬉しかったです。


 だから、抱きしめてください。

 俺だけを見ていてください。


 っと、そんな乙女な俺に吐き気を感じる今日この頃。



【Avarice】



 今日は中佐が来ている。そんでもって俺は、と言うと・・・


「馬鹿大佐」

「うるさい!お前も早く書類を上げろっ!」


 相変わらず大佐が溜めた書類のお片づけ中だったりします☆この無能が!


「ハボック、さっき聞こえた気が?」

「(ピクッ!)き、気のせいじゃないスか?」

「ふーん。なら良いけどな」


 大佐ってもしかしてエスパーか?と思いながらペンを書類の上で走らす。本当に俺は何をやってるんだ?こんなことして・・・何が楽しいんだ!馬鹿じゃないのか?!

 と言いたいが、これを終らせないと帰れない。最悪だ・・・今日は中佐が来るって言うのにな!

 本気で大佐の事を恨むぞ・・・。


 ガチャッ


「よぉ!今日も元気かぁ?」


 その時、中佐が元気良く大部屋に入ってきた。だが、大部屋のメンバーは大佐の書類仕事のお片づけで忙しく誰も反応しなかった。

 俺は一応片手だけ上げた。中佐は俺の姿を見つけ、歩き始めた。俺―――のところではなく、大佐の所だった。


「よぉ、ロイ!忙しいようだな!」

「そうだ。手伝ってくれるか?」

「まっさかー」


 大佐はガクッと頭を下げてから書類の続きを始めた。中佐はフフン♪と鼻を鳴らしながら俺に近づく。

 そして俺の頭を撫でる。俺は中佐の撫でが好きだ。犬だな、とか、猫だな、とか言われるけど・・・それでも好きだな。

 気持ちよくて、愛されているなーと思うんだよな。何で、乙女チックか?


「ジャン、頑張ってな!もしアレなら、手伝うぞ?」

「有難うッス!でも、大丈夫ッス」


 俺がやっているのは確かに書類だが、そんなに量は無い。あるのはどっちかと言えば隣で殺気を出しながらガリガリッと書いているブレタの方だしな;

 中佐は、そうか?、とバツの悪い笑みを浮かべた。


「んじゃぁ、優しい優しい俺がコーヒーを淹れてやろう!」

「有難うございます」

「・・・その言い方ムカつくけどな」

「ははっ、ロイには淹れねぇ☆」

「なっ!淹れろ!」

「淹れるか☆」

「〜っ!お前の淹れたコーヒーなど飲むか!」


 別に良いぜ?と言いながら中佐はククッと笑った。俺は、ははっ、と笑った。笑ったんだ。

 なのに、スゲー胸の中がムカムカしたんだ。自分で自分の事が分らなかった。馬鹿らしい。本当に馬鹿だ。

 この感情は嫉妬?やきもち?はぁ〜俺は本当にどこぞやの少女漫画のヒロインか!あるいはその男子?まじヤバイでしょ、これ;




 それから中佐は本当に皆にコーヒーを淹れた。何やかんや言って大佐にも淹れていた。

 中佐が淹れたコーヒーは美味しい。それは軍使用のコーヒー豆を使わず買ってきた豆を使っているかららしい。

 俺は淹れたてのコーヒーを胃に入れ、改めて書類に向き直す。この書類が終ればなんとか帰してもらえる。こんな時、俺が労働派で良かったと思う。まぁ、ブレタも目処はついているらしいけどな。

 問題なのは大佐で、大佐の書類が終ってなかったら、俺も帰れない・・・。大佐の方を向けば、手は動かしているとは言え、中佐のちょっかいに答えている状態・・・終るのか・・・。

 その前に、大佐と中佐のやり取りに胸がムカムカする俺って・・・;そんなムカムカを無視し書類に集中する事にした。




 それから1時間後。本来なら俺は30分前に終わっていた。終っていたんだ・・・


この馬鹿大佐っ!!!


結局30分オーバーッスか?終れば良いのに。でも、まぁ、1時間で終るだけ良いか・・・これが徹夜までかかった時は・・・俺は完璧に大佐の事を撃っていたと思う・・・うん。

まぁともあれ、俺は中佐と帰るのだ!俺は帰りの仕度をしてから未だに大佐の所に居た中佐に近づく。


「中佐、帰りましょう!」

「ん?あぁごめんなハボック。ちょっとだけ待ってくれないか?」

「え?どうしたんですか?」

「ロイと話したい事があるんだ」


 俺は眉を顰めながらも頷いた。中佐が来た理由である、最近起きたテロについての話だろう。中佐はクスッと笑いながら俺の前髪をずらし、露になった額にキスを落としてくれた。

 俺は仕方なく軍内にある休憩室のソファーに座り、タバコを吸う。吸いながら揺れる紫煙を見つめていた。

 紫煙の様に俺の心はユラユラ揺れていた。

 何で大佐に?そりゃぁ仕事だからさ。仕事をしている間側に居ても良いじゃねぇか。此処は職場だぞ?大佐ばっかしじゃなくで俺にも話しかけてくださいよ。中佐の立場上俺よりも大佐の方が自然なんだよ。俺だけ見てほしいのに・・・それは、俺のわがままだろ?この乙女野郎!


 俺は勢い良くフーッと息を吐いた。紫煙が遠く飛ばされ、戻ってきた。そりゃ俺の膝の上に火種があり、そこから紫煙が上がっているのだから紫煙は戻ってくる。それでも俺は何度も紫煙を飛ばす。

 紫煙が俺の乙女野郎だと思いながら。


「何してるんだ?ハボック」


 その時中佐の声が聞こえ、体ピクつかせてしまった。そして中佐の方を見れば、中佐は肩眉を顰めていた。

 俺はあはあはっと笑いながらタバコを灰皿に押し付けた。


「何でもないです!」

「そうか?」

「そうですよ!さぁ、行きましょ!」


 そう言いながら俺は立ち上がり、中佐の奥にある出口へ向かおうと中佐を通り過ぎた時だった。

 カッ

 中佐の手が俺の手首を握る。俺はまた体をピクつけてしまった。中佐は俺よりも細くて、背が低い。それでも今の中佐の手はとても力強かった。

 って、また乙女な俺!!!アホ!!俺はそう思いながら片手で短い髪を勢い良く掻く。


「大丈夫か?ハボック?」

「え、あぁ大丈夫です」


 ただ乙女チックな俺にムカついていただけですから☆だけど中佐はもう片眉を顰めてしまった。

 ヤバイ・・・そう思うも沈黙が流れた。

 少し経ち、中佐は俺の腕を離した。その代わり俺を後ろから抱きしめた。おいおい、人気が無いとは言え此処は軍だ。定時過ぎでほどんと居ないとしても、多少は居るだろう。書類仕事を片付ける人が息抜きに此処に来るかもしれない。

 その例と言っちゃぁなんだが・・・ブレタは良く此処の席を使う。ブレタと中佐はなんやかんや言って仲が良いから分かっている筈なのに・・・(←勘違い)


「中佐、此処軍内スよ!」

「ん〜?ん。そうだな」


 中佐はやる気なくそう言うと俺の背に顔を埋める。俺って背が高いよなー。まぁ、中佐は足を折って背を丸めているからだろうけど。


「なぁジャン。何かあったか?」


 俺はまた体をピクつけてしまった。そして恐る恐る聞いた。


「な、何がスか?」

「ずっとお前、元気が無かった」


 そりゃぁ、乙女な俺が中佐と大佐に嫉妬していただけですよー。うわーマジ乙女だな!俺は!


「べ、別に何でもありませんから!」

「・・・ふーん」


 中佐は抱きしめる手を強めた。もしかして中佐、俺の事を心配している?


「中佐、大丈夫スか?」

「それは俺の台詞だ」


 俺は目を細めた。やっぱし中佐は優しいなー。俺はそこが好きなんだけどな。優しくて、俺の事を心配してくれて・・・。


「ジャン、お前は独りじゃないんだ。だから、何かあったら俺に言ってくれ」


 本当に優しいですね。その優しさに俺はいつのまにか貪欲に欲しがってしまったんですよ?その優しさが違う誰かに使っていると胸がムカムカして・・・。


「って、乙女の俺の馬鹿!!」

「ん?乙女?」

「(ピクッ)あ、いや;」


 もう、逃れない・・・俺はぼつぼつと中佐と大佐の関係に嫉妬をしていた事を説明した。

 勿論中佐の反応は・・・


「ぷ、あははははっ!」の笑い。


 分かっていたさ。俺は馬鹿です。てか、乙女野郎です。中佐は笑い涙を拭きながら言ってくれた。


「有難うな」


 俺はその突拍子無い言葉に目を見開いた。有難う?


「何で」

「だってジャンは俺の為に嫉妬してくれたんだろ?ほら、俺は嫉妬深いけどジャンはそんなに気にしないタイプだと思ってなー」


 そんな訳が無い。だって俺の中の馬鹿の、ちょー馬鹿の乙女野郎が何回も何十回も嫉妬ややきもちをしていた。

 その度ムカムカで・・・それでも、必ず中佐は俺の家に来てくれる。それだけで幸せで・・・ぬおおおっ!乙女な俺が!!!


「ジャンは可愛いな。有難うな」

「何度も言わんでくださいよ」


 コッチが恥かしくなる・・・。


「俺はジャンが好きだよ」


 知っている。


 その優しさも、その心も。


「・・・俺もッス。中佐」


 だから、腕を、優しさを、心を、視線を、温もりを、全て俺に。


 馬鹿に貪欲な俺。

 無駄に乙女な俺。


 それでもこの気持ちは本当ですから。


「す、好きです・・・中佐。」


 うん知っている。中佐の予想通りの返事に俺は笑みを零した。

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@言い訳@
 無駄に長い!久々の鋼更新&ヒュハボ更新です!やっぱし私の小説は沈めて微妙にハッピーエンド・・・その割には甘くないです(ド殴)相変わらずこれでスミマセン!
 では色々とスイマセン。失礼します。平成21年4月16日



背景画像提供者:Abundant Shine 裕様