昔々ある所に一匹の兎が居ました。
兎の名前はスパナ。スパナは道をトボトボと歩いていました。
そこに突然現れたのは狼のγでした。
「そこの兎!大人しく俺の飯になれや!」
狼の申し込みを受けるほど兎は愚かではありません。
「行けー!!モスカ3号!!」
「ちょと待て!」
スパナ(人)は息を切らすγ(人)を見る。スパナは眉間にしわを寄せる。
「何?」
「それはコッチの台詞だ!人を呼び寄せてすぐに始めたのは人形遊びか?」
「遊びではない。人形劇だ」
スパナはそう言いながら手に嵌めている人形の口をバクバクさせた。
「じゃぁ何で俺?てか、モスカでドカンはねぇだろ!」
「・・・別にγだけじゃない。正一も野猿も太猿も居る。特に太猿は頑張った」
「〜っ!それを訊いている訳じゃなくでな・・・」
スパナは可愛らしく首を傾げる。γは溜息を吐き、床に座った。
「何で人形劇をしているんだ?此処はんな可愛いらしい場所じゃねぇだろ?」>br<
此処は日本ボンゴレを潰そうとしているマフィアのミルフィオーレだ。そんなの見る様な輩は居ないし、やっても舞台を蹴られて終わりだ。
だがスパナは笑みを浮かべる。
「別に此処でやる訳ではない。やるのは」
スパナは上へ指を指した。γはつられる様に上を見た。油で薄黒く変色した天井があった。
「上だ」
【Puparo】
メローネ基地は地下ショッピングモールにある。上では普通に一般人が行き来している。(と管理人が勝手に認識)
そしてショッピングモールの一角。スパナとγが居る。スパナはカメラマンが背景を写す前にやるよう、人差し指と親指を付け、長方形を作った。そしてその長方形の中を見つめる。
「うん。良いね」
「・・・本気でやるのかよ;」
「うん!」
γは溜息を吐く。周りはスパナとγの事を不審な目で見ていた。そりゃぁ金髪男性二人だ。γはミルフィオーレの制服のままだしスパナは作業着だ。スパナだけなら不審に見られないだろうが、γの格好は浮いている。
さっきの『本気でやるのかよ』って言う言葉もテロか何かと勘違いしても可笑しくない。勿論テロなどやらないが。
γは改めて周りを見る。右に玩具売り場、左にはベビー商品売り場の丁度真ん中だ。
「なるほどな。此処だと集まるよな」
スパナがやろうとしている事・・・それは人形劇だ。まぁ最初から人形劇と言っているのだが・・・。
スパナは此処でスパナ印の冷凍食品やらを置いてもらっている。そこである提案が来た。子供向けのイベントをしてもらえないか?と。
勿論あの変人スパナ(←失礼な)だ。引き受ける事になった。そんでもって何故かγも巻き添えを食ってしまった。
『協力をしてくれた今度の休日デートしても良い』
と言う条件で・・・どうせデートと言ってもモスカの材料を買う為に秋○原に行って何か食べて帰るくらいだと思うが・・・。γにとってはどっちかと言えば出たくないのも真実だ。
ただ秋○原だと旅行外国人が居るから不審な目では見れないとは思うが・・・。それは置いといて。
「何で俺らの名前を使ったんだ?しかも人形も似ているしな」
「・・・嫌?」
「好い気分はしないな」
γがそう言えばスパナは、ん〜とうねる様に声を漏らす。本当は別に嫌ではなかった。別に本名でも無いし、γと此処で名乗った所で何の意味も果たさない。
なんだって裏の世界ではγが此処に居るのを知っているのだから。それにγと言って殺し屋のγだと思わないだろう。役は狼だし・・・。だから意地悪気分で言ったのだ。
「理由を言えば好い気になるかもな」
「・・・理由は最後に分かる」
「は?」
「劇の最後に分る筈だ」
スパナはそれだけ言うと劇場の準備を始めた。それからγがどれだけ訊こうとスパナは『明日見に来い』と言うだけだ。γ仕方なく小さな劇場作りを手伝った。
γが手伝うのは劇場作りと人形運びくらいだ。後は混雑を予想されて席の整備だろう。
チビッ子や親が来た。俺は言われるままに子供を前に、大人を後ろで見守る形にさせる。
開始1分前。スパナはγを呼び寄せた。
「何だよ、もう始まるだろ?」
「γに前説をして欲しい」
「はぁ?!」
γはつい叫んでしまった。それにスパナは『しー』と口に人差し指を当てた。
「おいおい、こんな怖い外国人が前説して良いのかよ?普通は美人の姉ぇちゃんじゃねぇの?」
「大丈夫だ。見えていた感じ子供達はγの事を怖がっていない」
「そんなモノかねー」
「ほら始まった。この紙の通り言えば大丈夫だ」
スパナは早口でそう言うとγに小さな紙を私小さな劇場から追い出した。γは紙を開きながらチビッ子の前に立つ。
チビッ子は嫌に目がキラキラしていた。それに一気にγの緊張がピークになる。
紙を見る。それに目を見開き、後ろを振り向く。スパナが親指を立てる。
後でデート以上の事をしてもらうからな。γはそう思いながら一旦深呼吸をしてから覚悟を決めた。
「はーい!よい子の皆さんこんにちは!」
γがハイテンションで言えば子供達から『こんにちはー!』と言う元気が良い返事が返って来た。
「元気が良いですねー。これから何をやるか分る人!はい、そこの帽子を被った男の子・・・って居ない・・」
何紙に書いているんだよ!男の子=帽子を被った!?γは別の男の子を指した。『指人形!』と言ってくれた。純粋なる男の子よ、有難う!(←壊れ)
「これから始まる指人形は、、、おとぎの国の話しで、す!、、、それで、、おとぎの国で兎と狼が活躍します!それでは始まり始まり!」
γはそそくさと横に避けた。そしてベビー商品フロアにある柱に手をつき、俯く。
(緊張した!!!)
その時スパナの声が聞こえた。γは柱に背を預けスパナの人形劇を見た。横からだから正直人形が微妙に見えないが、オトオトしい声は聞こえた。
本当にぐだぐだな人形劇だなーとγは笑みを浮かべた。
昔々ある所に一匹の兎が居ました。
兎の名前はスパナ。スパナは道をトボトボと歩いていました。
そこに突然現れたのは狼のγでした。
「そこの兎!大人しく俺の飯になれや!」
狼の申し込みを受けるほど兎は愚かではありません。
「行けー!!モスカ3号!!」
モスカ3号が現れγをドカンとしました。
γは「スイマセン;」と謝りました。スパナは「宜しい!」と言いました。
「でも何でウチを食べようとしたの?狼でも生きている兎は食べちゃ駄目でしょ?」
「それが最近、狼界で悪者が来て食料を奪うのです。だからお腹が空いて空いてどうしようも無いのです」
「分った!これも何かのご縁、助けてあげましょう!」
こうしてスパナは狼界に行く事にしました。
そこで一旦幕が閉じる・・・何で言うか・・・どう言えば良いのか・・・。
γはハァと溜息を吐く。在り来たり?なのに、ところところ違う・・・なんで急にモスカが出てきて、しかも設定が難しいし・・・何かのご縁とか子供分るのか?
こりゃぁ怒られるな、と思いながら第2幕を見守る事にした。
スパナは狼の世界にやってきました。
スパナは狼の世界に驚きました。
あの緑豊かな世界が無いのです。
瑞々しい木々は枯れ。
聖なる水は枯れ。
賑わっていた世界は何処にも無いのです。
「チッ!全部あの正一が悪ぃんだ!」
「正一?正一ってあのクマの世界の中ボス、正一?」
「そうだよ!」
なんで事でしょう。
狼界を苛めたのはクマの正一だったのです。
スパナが言葉を失っている時、遠くから声が聞こえてきました。
「兄貴―!」
「おう、野猿か」
現れたのは同じ狼の野猿でした。
野猿はスパナに気付き身を構えました。
それをγが止めました。
「コイツは俺達を救ってくれる為に来たんだ」
「マジかよ!」
そしてスパナは今の狼界の状況を聞きました。
クマの世界は全世界を奪おうとしている悪者。
ボス白蘭の下に正一が居る。
「頼む!狼界を助けてくれ!」
深く頭を下げるγにスパナは頷いた。
「守って見せる。この世界を。なぁ、モスカ」
「キュイーン!」
「そうはさせないさ」
そこに現れたのはクマ族の正一だった。
「・・・正一」
「残念だよ、スパナ。君は敵に回ったんだな」
「は?!」
γはスパナの方を向く。
そう何です。スパナはクマ族の仲間だったのです。
「君が急に居なくなり、見つけたと思ったら・・・本当に裏切られたよ。スパナァァッ!!!」
正一が剣をスパナに向けました。
それをスラリと避けるスパナ。
それでも正一の攻撃は止まらず、剣を横にずらす。
もう駄目だ。
そう思った時でした。
「キュイーン!」
モスカがスパナの代わりに切られたのだ。
モスカは倒れた。
「モスカ!」
「馬鹿な奴」
「正一ッ!!!」
γは正一を殴ろうとしたが、避けられました。
カチャッ
その時正一はうっかり剣を落としてしまいました。
スパナはその剣を拾い上げ、正一に向けた。
「正一、ウチはもう、疲れたんだ」
そう言うとスパナは正一に向かって剣をつきました。
正一はキリキリな所で避けたが足場を崩し、崖の下へと落ちてしまいました。
スパナも勢いが過ぎて落ちそうになりました。
カッ
落ちる前、γがスパナの手をつかみました。
スパナは宙ぶらりな状態になってしまいました。
「離せ。γも巻き添え食らう!」
「誰が離すかよ!俺達の世界を守ったじゃねぇかよ!」
「違う」
「あ?何が違う」
「ウチは自分の世界を終らせようと歩いていたんだ」
「!!」
そう、スパナは死ぬ為に森をモスカと一緒にうろついていたのです。
「ウチはクマ族の一員だった。うさぎだったけど・・・」
「んな事はどぉだって良いんだよ!自分の世界を終らせるってどう言う事だよ!」
スパナは笑みを浮かべました。とても優しい笑みを。
「ウチは、生きてる事に疲れた。だから終りにする」
人を殺める事に疲れたスパナ。
そして、生きる事に絶望を感じたスパナ。
「だから、離してくれ」
「馬鹿野郎がッ!!」
γはスパナを引っ張り、スパナを助けました。
「何で、助けた?」
「アンタに生きて欲しいからだ」
「もう世界に居る資格など無い」
「俺がその資格を作ってやる。それで充分だろ?」
そう言ってγはスパナを抱きしめました。
「これで終わりだと思うなよ」
その時、下からヘリコプターMD―500が現れました。
中には正一が居ました。
正一は命が救われたのです。
「次は此処を潰す。必ず全世界を手に入れて見せるから!そうしないと白蘭様に怒られるからね!」
そう言い残し正一は去っていた。
「これで此処に残る理由が出来たな」
「・・・しかし・・・」
「お前の世界が壊れそうになったらいつでも俺が治して見せるから。だから、此処に居ろ」
「・・・γ・・・」
こうしてスパナは狼の世界に居続けました。
時々正一が来るけど、まぁそれはそれ。
今日も狼界は平和です。めでたしめでたし。
終った。
γは自然と拍手を鳴らすが、他は聞こえない。人形劇の前にはもうチビッ子は居ない。それところか見ていた人間など居ない。
そりゃぁこんなメチャクチャな話誰も見ないだろう。でも、γはずっと飽きずに見ていた。
―――世界―――
それはスパナが良く口走る言葉。世界が違う。生きる世界が違うんだ。γ自身知っていた。スパナの世界はモスカで、俺じゃない。
それでも、この話の内容は・・・つまり・・・γは自然に笑みを零した。
世界が一緒になった。
世界がやっと。
つまり、認めてくれたって事だろうなー。俺のこと。モスカよりも。
「・・・あれ?誰も居ない・・・」
「そりゃぁあの話はガキには重すぎるだろ」
「・・・そうかな?」
「そうだよ」
γは笑い交じりに言った。
「でも、俺は面白かったと思ったぜ」
γが言えばスパナは笑みを浮かべた。
帰りは二人、手を繋いだ。
世界、繋がった様に。
@おまけ@
正「スパナ・・・何で僕が悪役なんだい!?」
ス「・・・この話はミルフィオーレが出来る前のジッリョネロファミリーの時をモデルにしている」
正「だからって何で僕を?しかもその時僕ファミリーに入ってないし!」
ス「・・・ウチもジャポネーゼに居た」
正「ならっ!」
ス「んーなんで言うか・・・その話を作った時正一、モスカの制作費を一時期減らしただろ?それの嫌がらせ?」
正「・・・スパナ・・・」
ス「それともう一つ、γはあんまり外に出ながらない。それを店でミニマムでかっこよくする事でチビッ子から従われる。イコールγは外に出るようになる。イコールモスカの部品を買ってきてくれるかもしれないからな」
正「・・・いや、あの人は単純にジャポーネが嫌いなだけじゃないかな?」
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@言い訳@Puparo=人形劇
γさんイケメンだけど、ちょっと町で見かけたら怖いよね、と言う設定(ド殴)長かった・・・ほどんと話です。そんでもって正一さんファンの方スイマセンorz私はなんやかんや言って(?)γスパ派ですからねー。そんでもって正一さんのイメージが白正しかない・・・(殴)でも見る正スパは好きです!ただ書けないだけですorz
では色々とスイマセン。失礼します。平成21年5月18日
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