空が紅く染まった。

 その道を二人で歩く。



【Tramonto】



「ハボック、暇だ!」

「あーはいはい」


 ハボックはロイの言葉を軽く流しながらビールを仰(あお)ぐ。ロイはそんなハボックに「良い身分になったみたいな?」とドス低く言った。ハボックはははっと笑いながら「そうですねー」と言いながらもまたビールを仰ぐ。

 ロイは勿論ハボックの手からビールを奪い取る。ハボックは「あ」とマヌケ声を出し、ロイを睨む。だが元々はロイの家のビールだ。睨まれる意味などない。


「お前はたまの休みにビールで終る気か?」

「・・・じゃぁ何をしろ、と?」


 ロイはそれを聞くとニタァと笑った。それにハボックは少し後退りをする。





 一面黄色い菜の花畑。黄色い花畑の上では黄色い蝶や白い蝶が仲良く飛んでいる。

 そんな夢の世界、長身のハボックは突っ立っていた。ハボックはゆっくりと両腕を広げながら息を吸い、ゆっくりと吐いた。そしてもう一度ほのぼのの花畑を見渡す。


「まぁ、綺麗な花畑〜vVじゃないッスよ!!何が悲しくて男二人で花畑見に行かなくちゃイケナイんスか!!」

「五月蝿いなー。そんな事を言うとラベンダーアイス食わさんぞ」

「わぁー綺麗ですね!花畑って素敵ですねー。あははっ」


「現金な奴だな」


 ロイは溜息吐きながらもハボックにラベンダーアイスを渡す。「こりゃぁどうも」とハボックは言いながらアイスを受け取り、そのまま真っ直ぐ口に運ぶ。

 相変わらず調子が良い奴だ、とロイは思うが、自然に口が綻んだ。

 それからロイとハボックは花畑を歩いていった。だけどやっぱし男二人(しかも明らかに不釣合い)が花畑を(何故かハボックはハイテンションで)歩いていると目立つ(色んな意味で)。


「なんやかんや言ってお前も乗り気じゃないか?」


 ロイがなり気なく言うと菜の花を見ていたハボックはロイの方へ振り向く。ハボックの顔には驚きがあった。


「そうスか?」

「あんなに『嫌だ!』とか言っていたのにな」


 ロイはクスッと笑いながら言ったがハボックは自覚していないらしい。「まぁ良いや」とロイは言うとハボックは立ち上がり、空を見上げた。そして片腕を伸ばし、更にその先の人差し指もビンッと上げた。

 「大佐」とハボックが言えばロイは「なんだ?」と不思議そうに訊く。


「実は俺、花畑を始めて見ました!」

「はぁ?」


 ロイのマヌケな返事にハボックは急に恥かしくなったのか、顔を紅潮をしながら「だからですね、俺が住んでいた所はえーっと、そう!畑でしてね」と疑っても居ないのに言い訳染みた事を口にした。

 それにロイは驚き顔から頬を緩ませ、背の高いハボックの頭を撫でた。


「そうだな。小さい頃はんな乙女な所に行かないもんだしな」


 ハボックは目を見開くが、すぐに表情を緩める、と思ったら次は青ざめた。そしてロイから後ろへとずれる。

 ロイは何事か、と思い首を傾げる。


「もしかして大佐・・・昔花畑であははっと笑いながら遊んでいたとか言わないでくださいよ」

「言うか!」


 「何の想像しているんだ!」と叫ぶとハボックは「ははっ、そうですよねー」とか言いながら後退りをする。

 ロイは青筋を浮かべながらハボックの肩に手を置き、ロイからハボックに抱きつく。

 「大佐?!」とうろたえるハボックだがロイはククッと笑っていた。



「本当にお前と居ると飽きないな」



 ロイの言葉にハボックは眉を顰める。「それ、どう言う意味スか?」と仏頂面で言えばロイはハボックから体を起こすと「言葉のまんまだ」と返した。

 そしてしゃがみ込み、黄色い菜の花を一つ摘む(本当はしちゃイケナイ訳だが・・・)。それをハボックの右サイドまで運ぶ。

 そして何かに確信した様にロイは頷いた。それにハボックは顔を赤らめさせながら「何スか?」と気恥ずかしそうに訊いた。ロイはククッと再び篭った笑いをした。



「色んな綺麗なモノを見てきたが・・・やっぱしお前ほどの綺麗なモノは見た事はない」



 ハボックは顔を紅潮し、周りを見渡した。もう既に太陽が沈みかけているので観光客も少なく、遠くに居るぐらいだった。

 ハボックは改めてロイの方を向くと「馬鹿な事を言わんでください!」と声を荒げて言った。


「何で?」

「俺は女じゃないんで喜ばないし、気恥ずかしいです!」

「女性もそう言うもんだがな」

「知りませんよ!もうんな言葉言わないでくださいよ!」


 そう言うとハボックはロイに背を向く歩き出す。黙って歩くハボックの背を見てから菜の花を見た。

 茜色の日差しを浴びる菜の花は何処か切なげだ。ロイはその花を手から零す。そして走り出した。

 菜の花が湿った土に落ちる頃にはロイとハボックは肩を並べていた。そしてロイは無理矢理ハボックの手を繋ぐ。


「ちょっ、大佐!」

「良いではないか!今日は久々の休みだ。たまには羽目を外してもバチは当たらん」


 ロイの言葉にハボックは抵抗する気が失せた。どうせ離したら離したって色々な事言われそうだしな。

 そう思いそのまま、二人歩いた。

 紅い光に照らされ、後ろに影が伸びた。影は二つの筈だが、一つの影となっとして伸びていた。

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@言い訳@
 フフッ、私に『落ち』を求めないでください(ド殴)お気づきだと思いますが、タイトルはイタリア語です。つまり復活を書こうとして、でも結局ロイハボです!最初の題名前の文を書いてから『復活は無理だな』と思いロイハボです。 ロイハボもたまには甘く・・・てか基本私ロイハボ普通ですよね?変態ロイさんは何処に(ド殴)
 では色々とスイマセン。失礼します。平成21年6月25日



背景画像提供者:Abundant Shine 裕様