誰かが歩む音。
その音に耳を澄ます。
心地が良い音。
なのに鼓動が激しい。
罪悪感。そう言う言葉がしっくりくる。
足音が止まる。
「スパナ」
呼ばれる声に聞こえないふり。
慣れっこなのかそれ以上何も言わなかった。
ただウチの背に背を預け、一緒に座っているだけ。
温かい。
モスカには無い温もりだ。
気持ち良い。
「スパナ」
また呼ばれた。
それに後ろを振り向けば、触れるだけのキスをされる。
彼は笑った。 少年の様に。
まるでお互い初めての恋人で初々しさを残すカップルの様だ。
まぁウチは初めての恋人だけど・・・。
彼はウチの頬を優しく包み、今度はお互いの額を付ける。
「スパナ」
声がさっきよりも弾んでいる。
「作業しないなら俺に構ってよ」
久しぶりに甘える彼。
いつもなら入口近くの壁に居るのに、今日に限ってこうだ。
彼はたまにこうなる。
何を思いそうなってるか分らないけど、でも、多分、それはきっと―――
知っていた。なんとなく。
「・・・γ」
そう呟けば加えていた飴を取られ、今度は深くキスをする。
きっと―――彼はウチをウチとして見ていない。
ずっと見ているのは『彼女』だ。
っと言い訳してみる。それが本当なのかどうか、聞く勇気が無い。
ただ、ウチはそう思っている。
「スパナ」
深いキスが終れば、今度は抱きしめられる。
強く。強く・・・。
「スパナ」
何度も何度も呼ばれる。
その度に鼓動が激しくなる。
それは罪悪感だろうか?それとも・・・
「・・・γ」
「今日、疲れたからこのまま寝て良い?」
そう聞きながらも彼はきっと目を閉じているだろう。
こんな日は必ず長時間任務が終った後にある。
いつも抱きしめられ、寝て、でも裾を強く握っているから結局床の上で一緒に寝てる事が多い。
毎回誰か―多分、太猿―に布団まで連れてってくれる。
今日も間違い無くその流れだろう。
もしも、もしも今、断ったら何か違う流れが生まれるのだろうか?
それは負か正か?損か得か?―――離れるか一緒に居るか?
でもいつも怖くで言えない。
彼が離れていくのが怖いから。
例え幻の関係でも、それでも、一緒に居たい。
もう、戻れないから。進んでしまったから。
「スパナ?」
少し眠そうな、でも不安が多い声が聞こえてきた。
変えたくないよ。ずっと。
「・・・うん。一緒に寝よう」
きっと、変えたら終わり。
一つでも狂えば、話が変わってしまう。世界が欠けてしまう。
彼の抱きしめる手が緩んだ。
鼓動が不快に、不規則に鳴り響く。
息が苦しい。とても不快だ。心臓が痛い。嫌な汗が出る。
もう逃げ出したい・・・・そう思った時片手がウチの頭の上に来て、撫でる。
そう思った時彼は顔を上げウチの顔を見る。そう思った時、額と額をくっつける。
「無理に言わないから」
眠そうな、でもしっかりと。
「俺は別にそんなんで離れないから」
撫でる手が止まり、両手が肩に置かれる。
でも額はくっついたままで・・・。
「側に居るから。約束しただろ?」
「だから大丈夫」と彼は続ける。
離れない。離れない?
「・・・ウチをウチとして見ている?」
フッと口にする言葉。
それに彼は笑わずに
「当たり前だろ?」
と答えた。
ハッキリと、でも何処か力強く聞こえた。
「スパナはスパナ。他の誰でもない」
ウチはウチ・・・
チラッと彼の方を視線だけ見上げれば彼は目を瞑っていた。
「・・・眠いのか?」
「うん、眠い・・・。でも、スパナがもっと話したいなら起きてるよ・・・」
声がゆっくりで眠いのが伝わる。
触れる額が温かいのはきっと眠さのせい。
「・・・じゃぁ一緒に寝よう。ウチ布団を―――」
立ち上がろうとした時手をカッと握られた。
そして引っ張られ、彼の胸に顔が埋もれる。
「此処で良いじゃん。どうせ太猿が来るだろ?」
「・・・痛くないか?」
「だったら俺の上に乗っかれば良い」
「γは・・・?」
「俺は平気。スパナ軽いから」
そう言ってγは床に仰向けになり、足も伸ばす。
その上にウチが乗っかる―実際に乗っているのは胸までの―形になった。
γの胸に耳が当たる。
鼓動が酷く激しい。
「・・・γ」
「んな心配そうな声を出すな。俺は平気だから」
そう言いながらウチの髪を優しく撫でる。
「スパナ・・・」
手が次第にゆっくりになり、止まった。
鼓動がゆっくりになって、胸が規則正しく動く。
「おやすみ、γ」
そしてゆっくりと目を瞑った。
γの胸で、次第に夢の中に入っていった。
何
時
か
の
話
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@言い訳@何時か⇒いつか(『なんじ』じゃないです)
スパナさんじゃねぇよ!!!(ド殴)スパナさんじゃない!絶対にスパナさんじゃない!100%違う!(殴:じゃぁらしく書け!)でもこう言う話はγスパが(私のサイトの中で)合っていると言う・・・でも私の中で違うんですorz
そして一番凝った場所が最後の題名orz
では色々とスイマセン。失礼します。平成21年8月10日
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