髪の毛が浮く。


 毛先のさす方は―――アンタ



【Static electricity】



 冬は最低だ。


 ハボックは冬が来る度にそう思っていた。

 別に雪が降ったりして寒いからって言う訳じゃない。ましてや上司の様に『雪で濡れる』と言う訳でもない。むしろハボックは雪が好きだ。


 ハボックは静電気が嫌いなのだ。


 何故かは分らない。ハボックは静電気が溜まりやすい体質なのだ。

 静電気は脂肪を用いる、ブレタの様な奴が溜まりやすいとか聞くが・・・何故かハボックの方が静電気が酷い。

 一日中静電気が来なかったら奇跡で、最低一回は来る。大抵が金属製のドアノブを開ける時なのだが・・・。

 それでも生れ付き静電気が溜まると必然的に『今静電気が溜まっている』と言う事が分る。たまに悪戯で同期のブレタに『受けよ!10万ボルト!!』と言って静電気を浴びさせたりしている。

 それがあってか、最近ブレタがハボックに近づかなくなったりしている・・・。ブレタだけじゃない。同じ職場の人やハボック部隊のメンバーにも最近距離を感じていた。

 だからハボックは静電気が一番溜まりやすい冬が嫌いだった。ほぼ自業自得なのだが・・・それでも静電気は嫌いなのだ。

 どんだけ受けようと慣れないし・・・。


 山吹色の前髪が浮く。ハボックはそれを上目で見つめる。


(静電気が溜まってきたな・・・)


 もうそろそろ外に行った方が良いか?経験上外でボーとした方が静電気が逃げる、気がする。

 中尉はもうハボックの静電気についての理解をしている。なんでも中尉自身も静電気体質らしい。ハボックよりも軽めだが・・・。

 勿論この休憩時間で昼時間が減るのだが・・・。ハボックは静電気が発生しない様に気をつけて席を立った時だった。


「ハボック少尉、コッチへ来い」


 ハボックの上司であるロイ・マスタング大佐に呼び止められた。まさかこの時に?おいおい空気読めよ!とハボックは心の中でつい叫んでしまったが、そんな事無理な話だ。

 ハボックは仕方なくロイの方へ向かう。


 髪の毛が浮く。その髪の毛が完璧にロイの方を向いていた。

 静電気が酷いなー。そー言えば大佐の錬金術師って摩擦によって火を出すんだよなー。

 とハボックは遠くでそう思った。だが一瞬でその考えが第六感の鐘を大きく鳴らした。

だとすればかなり危険だ。なんだって大佐の錬金術は摩擦によって出来た静電気で火を起こすのだから。下手をすれば大爆発だ。

 ハボックはロイと距離を取って止まった。ロイは勿論眉を顰めてハボックを見る。


「もっと近くに寄れ」

「無理ッス」


 確かにロイの気持ちは分かる。女性が近づきたくない、と言うならロイだって『そうか』と言って少しは分かってくれるだろう。

 特に静電気を理由にしたら『可愛い奴めvV』と喜んでくれるだろう。

 だがハボックは男で、しかもロイよりも背が高く筋肉もついている野郎だ。


「何故近づかない?」

「・・・俺静電気が酷いんです」


 ハボックはそれでも馬鹿正直に答えた。


 額がチクチク痛む。前髪の一本一本独立し大佐に向かっている。多分この距離でも危険なんだろう。

 もうドアノブを触っただけで静電気が起きるのは間違いない。


「静電気ねー」


 大佐が苦笑を浮かべながら言う。やっぱし野郎だとこうですよねー。


「少し待っていろ」


ロイはそう言うと錬金術が書いてある手袋を外した。ハボックはそれに安堵をした。

手袋をしていたら何時摩擦で火が飛び出すか・・・。

ロイは手袋を机に置き、立ち上がった。そしてハボックに近づく。


「大佐?」

「良く見れば前髪がかなりコッチに向かっているな」


 そう言うとロイは笑みを浮かべながらハボックの頬に手を差しのばす。ヤバイと思い一歩後ろに下がるが、既に遅くロイの片手がハボックの頬に触れた。

 ビリビリと音を立てて静電気が起きた。頬に小さな痛みが走った。

 それでもロイは静電気など気にしない様に今度は今だに浮いている額に触れた。勿論静電気が走った。

 ハボックは続けざまの痛みに「イタッ!」と声を出し、目を瞑る。


「面白いなー」


 ロイはククとくぐもった笑いを零しながら顔を近づけて行く。

 そして口と口が――――


 バチッ


「「痛ッ」」


 ロイは弾かれた様にハボックから離れ、唇を押さえた。勿論放電した本人であるハボックも唇を押さえた。


「ハボック少尉・・・今後一切静電気が溜まっている時に近づくな!」

「アンタが触れなきゃ良いだけだろ!!」


 ロイが触れて起きた事故なのだから。大体此処は職場なのだが・・・二人はそこが問題ではないようだった。


「うるさい!とにかく分ったか?」

「それはこちらの台詞です。全て貴方が悪いじゃないのですか?」


 後ろから聞こえた声にロイは背筋をゾッとさせた。ロイはゆっくりと後ろを振り向いた。そこには今までいなかった中尉が立って居た。

 しかもその手には愛用の銃☆


「大佐」


「Hi」


 その後大部屋に銃声が鳴り響いたそうな。めでだしめでだし☆

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@言い訳@
 自分自身静電気が酷くで思いついた話です。相変わらずオチがなくでスイマセン・・・。初めてロイハボの同人誌をゲッドして今盛り上がり中です!もう久々の心がウキウキです☆
 本当にこんな迷惑な管理人でスイマセン・・・orz
 では色々とスイマセン。失礼します。平成22年2月8日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様