ありのままのお前が欲しい、と言えたら幸せなのに・・・。
そんな事言えない確率95%。そんな事を思っているとは思っていない確率100%
【ありのままの】
6月4日。今日は柳の誕生であった。
『だが』
柳にとって誕生は試練の様なモノである。
なんだって一昨年は・・・
『蓮二、プレゼントは・・・お、俺なのだ!』
『ブッ。げ、弦一郎!お前は何を言っているんだ!!』
『れ、蓮二鼻血出ておるのだ?!』
『それより今の状況を説明をしろ。何でお前はピンクのリボンでクルクル巻きされて立って『プレゼントはおれ♥』となっているんだ!!』
『参謀、♥はないぜよ。♥は』
『うるさいぞ!って・・・やっぱしお前らだったか仁王、幸村・・・』
『えへ☆でも良いじゃん。真田がプレゼントで幸せでしょ?たちあがっちゃったでしょ?』
『二人共――――』
『蓮二、やっぱし不満であったか?』
(キュン)柳、真田を撫で撫で。
『違うぞ。俺は嬉しいぞ。本当に有難う、弦一郎』
『蓮二が喜んでもらえて嬉しいのだ!』
『ははは、弦一郎可愛いなぁー・・・・仁王、幸村、後日俺のところへ来い。良いな?(ゴゴゴゴッ)』
そして凝りずに去年・・・。
『えーっと・・・ご、ご主人様・・・今日一日俺は貴方のメイドで・・・す・・・』
『ブッ』
『れ、蓮二!!鼻血が出ておるぞ?!』
『それよりも真田、何故お前はメイド服+猫耳+猫しっぽで『ご主人様、俺は貴方のメイドで♥』となっているんだ!!!』
『去年も突っ込んだじゃけど、♥は付いておらんぜよ。♥は』
『まだ仁王と幸村の仕業か・・・』
『別に良いじゃん。去年と同じく鼻血&立ち上がっているんだからさ☆』
『お前等は――――』
『今年も気に入らなかったか?蓮二・・・』
(キュン)柳、真田に抱きつき&撫で撫で。
『違うぞ。俺は幸せだぞ。あぁ、俺は世界一の幸せ者だ!真田、有難う』
『蓮二・・・蓮二に喜んで貰うと嬉しいのだ!』
『ははは、弦一郎は可愛いなぁー・・・・二人共、後日後ろに気をつけろよ(ゴゴゴゴゴゴッ)』
今年はさすがにないだろう。否、なんかありそうな気がする・・・でもないだろう。
そう信じて柳は鼻血を拭きながら部室へと向かった。
本当に何もなかった。いつもの様に部活が始まり、後輩指導に練習をして、今日の反省などをして・・・終った。
勿論何も起きない。別に何か起きて欲しいとは思っていない、が、やっぱし真田と付き合っている事もあり柳は真田からプレゼントが欲しかった。
例え『誕生日おめでとう』の一言でも良い。いや、寧ろその一言だけで嬉しい。だが柳の脳裏に一昨年と去年の事が過(よ)ぎる。
柳は己のロッカーに額を付ける。
――――俺は馬鹿だ。あんな事を期待していたのか?まぁ確かに期待してないと言ったら嘘になるが・・・それでもやって欲しくなくて・・・下手をすれば真田は勘違いして誰かの誕生日にそんな事をする確率が出る。だから嫌なんだが・・・これだから男の性は!男はこういうサプライズに少しながらドキめいてしまう確率95%・・・特に俺はしてまう。だってあの真田が『プレゼントは俺♥』とか『蓮二様♥』だぞ?あの、真田、がだぞ?こんな事をするとは・・・確率的に1%未満だったんだ。なのにそれをやってくれだ!これがどれだけ萌えるか!だが俺は自ら墓穴を空けている。これによってどれだけ真田を陥れているか?真田をより変な道に向かわせているか?下手をすれば真田はゲイバーでメイドの服をして行くかもしれない・・・そんなの絶対許せない!!!
柳は己の額をロッカーに打ち付けた。
それに周りの部員は柳に離れた。だがあの二人は違った。
「おやおや?真田が柳を祝わないからいじけているのかい?」
「本当に参謀はムツリスケベぜよ」
「うるさいぞ、お前等」
柳の目線の先には幸村と仁王がニタニタ笑いながらいた。それに柳はブワッと黒いオーラーを作り出した。
「幸村、仁王・・・」
「あー怖い怖い。そんな黒いオーラ作らないでよ」
「そうぜよ。俺らは参謀の仲間じゃからのぅ。だから毎年真田に教えてたぜよ」
二人の前に黒いオーラなど無意味で、幸村は柳の右肩。仁王は柳の左肩に手を乗せた。
柳はそれに嫌な顔をするが、フッと嫌な可能性が頭を過ぎった。
――――もしも真田が俺の誕生日を忘れているとしたら?
今までは幸村と仁王がからかっていた、それしか頭になかった。それは真田が柳の誕生日に何をあげれば良いか分らなく、相談したからだと思っていた。
だがもし真田が柳の誕生日を忘れていたとしたら?知らなくてその日に幸村と仁王に聞かされて、信じたからだとしたら?
もしそうなら今年幸村と仁王に教えて貰えなかった真田は間違いなく柳の誕生日を忘れているだろう。
柳の顔が次第に青ざめていく。頭の中は混乱する自分と冷静な自分が会話をしていた。
――――普通に考えてそうだろ?真田はテニス一筋なのだから。 でも真田は俺の事を愛して・・・。 もしかしたらそれ自体思い込みかもしれないだろ? そんな筈はない!だって真田はこんなに俺を喜ばせていて。 それは幸村と仁王の言われた通りにしたからだろう? 真田は毎回『お前が喜ぶと嬉しい』と・・・。 でもそれでは『自分で考えて実行した』及び『相談した結果』とは限らない。それイコール・・・。 真田は俺の恋人だ! どうかな?
柳はハッとした。
―――― 一般的ニ考エテ真田ハ ソレヲ喜ンデイルノカ? ――――
冷や汗が流れ落ちた。ポタポタと床に。
勝手に体が震える。ある考えが酷く恐ろしかった。それと同時に醜い自分が酷く怖かった。
真田はもしかしたら柳の事を恋人とし思っていないのかもしれない。ただの親友。ただのパートナー。それなのに『恋人』だの『愛している』だの・・・。
――――もしそうなら、俺は真田をどれだけ傷つけたのだろう?
「柳?」
いつもと様子が違う柳に幸村は心配で声をかけた。だが柳は反応をしなかった。
それところではなかったのだ。柳は必死に出てきた可能性の否定を必死に探していた。
でも、見つからなくて。
「蓮二」
後ろから真田の声が聞こえた。仁王は茶化す様に口笛を一つ鳴らし「お姫様のお到着ぜよ」と言った。
それに柳が振り向けば、いつもの仏頂面の真田が立っていた。「姫じゃない。俺は男だ」と言うお堅い言葉も相変わらずだった。
いつもの光景。いつもの返し。いつもの・・・。
「どうした?蓮二?」
そう言うと真田は柳の目の前まで来ると柳の顔を覗き見た。
身長差1Cm。ほどんと変わらぬ為視線は変わらない筈だが、今は真田の腰をおっている為少し視線が下である。
「無理はするな。今日は誕生日だろ?・・・具合が悪いなら、早めに帰った方が良い」
真田の口から『誕生日』と言う言葉が出た時、柳は心臓が勢い良く痛むのを感じた。
ソッと胸に押さえた。
――――それは最初から覚えていたのか?
「蓮二?大丈夫か?」
「・・・弦一郎・・・お前は、俺の誕生日を覚えているのか?」
真田はそれを聞くと目を見開いた。
鼓動が激しい。
お願いだ。真田。お願いだ。
「当たり前だ。俺が大切な奴の誕生日を忘れる訳がなかろ」
柳は開眼した。真田の表情は相変わらずの仏頂面であった。
「それ以前に俺はお前と大切な関係になる前から誕生日は覚えていただろ?」
大切な関係になる前?真田の言葉に過去と記憶が甦った。
『柳』
丸い顔。小さな体。小さな少年。そして同じく小さな体の柳は『何だ?真田?』と聞いたんだ。
それに真田は不器用に笑いながら言ったんだ。
『誕生日めでとう』と。
それに確か柳は一瞬驚いて、でもすぐに笑みを浮かべて『有難う、弦一郎』と返した。
笑い合った。あの時の記憶が柳の脳裏に甦る。
柳はカバッと真田を抱きしめた。
「有難う、弦一郎」
真田は頬を紅く染めながら「う、うむ」と答えた。真田は更に続けで「蓮二、人前でたるんどる!」とも言った。
それでも蓮二の手は離れなかった。それところか抱きしめる手が強くなったのだ。
馬鹿な事を考えた。
そんな事ある訳がないのに。
「弦一郎」
素のお前が好きだ。
空気が何処か読めないけど人一倍勘が良い、そんなお前が。
筋肉が多いのに頬や耳がすぐに紅くなる、そんなお前が。
「愛している」
柳がそう言うと周りは一気に盛り上がった。それでも柳の気持ちは本当で、今日はそれを伝えたいと思ったのだ。
――――真田、俺はお前をずっと愛している。少しでも疑った俺を許してくれ。
そんな柳は次の日幸村と仁王にからかわれて後悔するのであった。
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@言い訳@
柳さん一日遅れスイマセン!!!でも真田は3週間遅れだから(ド殴)おめでとうw上手くかけなかったですが、やっぱしラブラブが良いですねw是非幸村様と仁王さんは茶化す役でw
では色々とスイマセン。失礼します。平成22年6月5日
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