「クロス元帥!クロス元帥!」
「あ?んだよ、そんなに息切らしやがって」
慌てて開けられた扉の方を向けば、目の下に隈がある男性が立っていた。明るい茶色髪に氷の様な色素の薄い瞳・・・リーバー・ウェンハムだ。
クロスは眉を寄せリーバーをうざったい様に見る。その反応にリーバーは気にせずにクロスに近づく。
そして赤いリボンがついた紙の包みをクロスに差し出す。クロスは差し出されたプレゼントからリーバーへと視線を移動させる。
「何だコレは?」
「プレゼントですよ」
「はぁ?」
「え?」
クロスの反応にリーバーはマヌケな反応をした。そのリーバーの反応に苛ときてクロスはリーバーにタバコの煙を吐き出した。
それに勢い良くリーバーは蒸せる。
「ゲホゲホッ・・・ちょっ、何するんスか!」
「意味が分らないからだろ」
「意味がって――――もしかして、クロス元帥今日が何の日か覚えてないんですか?」
リーバーはニヤッと笑った。それにクロスはムッとしてリーバーの頭を叩いた。それにリーバーは両手で叩かれた頭を押さえる。
「何するんスかー!」
「馬鹿にしたお前が悪い」
「別に馬鹿にしてませんよ」
「・・・次はタバコを押し付けようかぁ?」
クロスがそう言ってタバコの火口をリーバーの額に近づける。それにリーバーは敏感に反応をして首を大げさに振った。
それにクロスは「冗談のきかない奴め」と舌打ちを一つした。その反応を見てリーバーは「あんたの場合冗談に聞こえないんスよ!」と反論した。
それにクロスは「ほー・・・それは悪かったな」っと言って銃口をリーバーの額に付けた。
リーバーは冷や汗をかきながら両手を挙げ「ははっ、それこそ冗談ですよ」と言う。
その時フッと『この光景前にもあった様な・・・』とクロスは不意に首を傾げた。
「クロス元帥?」
「・・・前にこんな事があった気がしてな・・・」
「ありましたよ!まさに去年の今日に!」
去年の今日?今日・・・
「でもまぁ、よく考えてみれば俺は基本誰かに銃を向けているから『なんか前にもあったなー』と思っても仕方ねぇか」
「いやいや、どんだけ日常化しているんスか!少しは自分の持っているイノセンスがかなりの殺傷力を持つ事に自覚を持ってくださいよ!」
「お前に言われたかねぇーな」クロスはそう言いながらその銃の握りの角でリーバーの額を突いた。
リーバーは「うおおおっ;」と言いながらしゃがみ込み額を押さえた。
良い様だ。だがクロスにはしっくりと来ない事がある。
今日が何の日か?
クロスは必死に今日の日にちを思い出そうとする。確か大部前から7月になった筈だ・・・。今日は・・・
「・・・納豆の日・・・」
「・・・意外に和風なのですね」
リーバーの言葉にクロスは容赦なくタバコの火口をリーバーの額に付けた。それにリーバーは悲鳴をあげながら額を押さえた。
「酷いですよ・・・せっかく去年は覚えていなくて色々あったから今年は覚えていたのに・・・覚えていなかった時よりも扱い酷くないですか?」
去年コイツ覚えていなかったのか・・・コイツが覚えていないって事で怒ったって事はコイツと関係があって・・・コイツの誕生日は9月だしな。
恋人になった記念日なんで俺はそんな女々しい事は考えない。
じゃぁなんだ――――
クロスはフッと赤いリボンがかかった紙の包みを見る。その時全てが一致した。
赤いリボンのプレゼント。今日。リーバーが昨日覚えていなかった事。7月。デジャヴ・・・
「そうか、今日は俺の誕生日か」
「やっと思い出しましたね」
リーバーはムッとしながら言うとクロスに改めて赤いリボンがかかった紙の包みをクロスに渡す。
「それなら周りくどいやり方じゃなくで、正直に言えば良いだろ?」
「まぁそうなんですけどね。今思えばソッチの方が被害がなかったですね。・・・うん」
リーバーは一人頷く。クロスはそれを無視して紙の包みを大雑把に開け中身を見る。
中には銀色ライターがあった。
「安いライターじゃねぇかよ」
「仕方ないでしょ、俺の給料じゃそれが限界です」
「あっそ」
「あっそって!・・・それにそれ、オーダーメイドなんスよ?掘ってあるでしょ?」
クロスは見ていた面の反対を見た。そこの端に『From your lover Reever』っと書かれていた。
クロスは無表情でしばらく見ていたが不意に笑みを浮かべた。
「お前も分かって来たじゃねぇか」
クロスはそう言うとリーバーの赤く腫れた額にキスを落とした。
「ちょっ、クロス元帥!」
「お礼だ。受け取れ」
クロスはそう言うと満足気に部屋を出て行った。そんな様子を見てリーバーは内心『良かった』と心から喜んだ。
「いやー今年はイチャイチャしまくりじゃなくで良かった」
「去年はヤバかったもんねー。3/2トイレ行きでしょ?」
「そうそう。まぁ今年は・・・」
食堂の中にいる3/2の野郎共がクロスが出て行った方向を睨みつけていた。
「3/2が怒ってるけど。本当にあの二人は『公の場』を気にして欲しいねー」
マービンは頬杖をつきながらリーバーを見つめる。マービンの話にジェリーは「うんうん」と頷く。
さり気なく苦労するマービンであった。そして母親としてリーバーとクロス・・・更に父親の様に二人の関係を心配するマービンを優しく見守っているジェリーであった。
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@言い訳@
クロス元帥ごめん(ド殴:本当だ!)自分のD,Gの小説を読んでいたらクロス元帥の誕生日ssがありまして、そのssを見ていたら『あれ?後少しでクロス元帥の誕生日だ!!』と思いまして・・・昨日『今日じゃん!』と思ってのですが、違いましたね・・・まぁどっちにしろ間に合いませんでしたがorz
取り合えず間に合わなかったのですが・・・これは7月31日と言う名の8月1日に絵日記の方に載せていたのを再UPしたモノです。
色々とスイマセン。失礼します。平成22年8月5日
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