羊の人形と狼の人形をそれぞれ腕に被せる。
狼がお前で俺が可愛い可愛い仔羊ちゃん。
そう言えば、お前は眉を顰めながらも口元に笑みを浮かべた。
「馬鹿か?」
そう言った。それだけを、言った。
仔羊さんと狼さん
いつも五月蝿いほど人が行き来しているであろう科学班室は今や恐ろしい程に静まり返っていた。
静かな科学班室に乾いた皮靴の音が木霊する。
「おーかみ、さん」
――――仔羊さんが来ましたよ。
机の上も床の上も書類が散らかっている。
書類に気にせずに歩く。クシャという嫌な音が聞こえたが、別にどうでも良い。
「おーかみ、さん」
足音が消えた。
暗闇でも見えた。机の上に突っ伏す男性の姿を。
明るい茶色髪。白い肌。少し汚れた白衣。今は突っ伏して見ないが、目は氷の様に色素が薄い青い瞳をしている。
仕方なく耳元に顔を近づける。
「おーかーみーさん」
音量を押さえて呟いてみた。そうすれば少し体が動く。
それが面白く、もう一度声を潜めて言った。
「おーかーみーさ――――」
「んー・・・ふはぁい」
寝ぼけているのか、手を小さく挙げながら返事をした。
――――ヤバイ・・・
つい笑みが出てきてしまう。
可愛い・・・有り得ない程に可愛い過ぎる!
「狼さんの好きなモノは何ですかぁ?」
「んん・・・コーラ・・・」
キュンvV
つい高鳴った思いを己の服を強く握る事でなんとか堪えた。
可愛いすぎる。可愛いすぎる!!!
ニヤけ笑みを浮かべたままもう一問・・・。
「狼さんの好きな人は誰ですかぁ?」
「んー・・・」
さすがにそれは答えないか?
「・・・メロンソーダー」
一瞬胸が傷ついた・・・あぁ、傷ついたよ!!
微かに涙を浮かべながらもう一度ドライ。
「狼さん狼さん・・・狼さんは誰に食べられたいですか?」
「・・・仔羊・・・」
え?仔羊?それって・・・
「うおーっ!!リーバー!!!」
我慢出来なくて抱きついてしまった。
抱きづいたと言っても男性は突っ伏しているのでただ乗っかっているだけとも言える。
「・・・って言うと思ったか?」
不意にそんな声が下から聞こえてきた。
それに恐る恐る下を見れば、夜叉の如く睨みつける男性の姿があった。
「げっ!」
「なぁーに寝ている人間に変な事を言っているんだぁ?」
「わー!!起きてるなら言えよ!!」
「知るか!!」
――――やっぱし狼さんは強いです
そう思い知ったティキであった。
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@言い訳@
別に何も考えないでテンションとノリで書いていたら・・・・orz(ド殴)
きっとメロンソーダーの辺りからリーバーさんは起きてたんでしょうね。それでティキが帰った後に『おいおい、寝ていたら俺・・・』と顔を真っ赤にしながら自己嫌悪してそうですw
では色々とスイマセン。失礼します。平成22年8月5日
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