今までは飴とかガムとかが好きで仕方なかったんだぜぃ?


 なのに、それなのに、今は違う・・・。


 本当に好きなのは――――


 言ったらきっと『俺は食べ物じゃない』と否定するだろうな。


 きっとそんなお前を見たいのかもしれない。


 飴よりも。ガムよりも。


 好きなのは、お前。



 The Sweet One Is You.



 丸井ブン太は今日真田の家に来ていた。真田の家は相変わらず和風で大きかった。


「お前の家は相変わらず凄いぜぃ」


 と褒めれば真田は「当たり前だ」とすました顔で答えた。それにちょっとだけカチン☆とくるけど、かな〜りの大人である丸井はグッと堪えた。

 居間に通された。和室で手入れされた庭が見える場所である。


「此処には扇風機はねぇのかよ」

「俺は扇風機というモノは好かん」


 おいおいこんなクソ暑いのに・・・それが真田ぽいのだが・・・。


「相変わらず我慢強いねぇー」

「・・・本当なら冷たい場所にいたいが、扇風機を使っても部屋を開放しているから意味はあるまい」


 あぁなるほど。真田家では朝から夕方まで絶対的に(己の部屋はその時による)扉を開けているのだと言う。

 水打ちをしている為それなりには涼しい。こんな時和風の家は羨ましい。

 丸井は思い出した様に真田に袋を差し出した。


「これ、今日俺が作ったケーキ」

「毎回すまんな」


 真田はそう言うと袋を受け取る。その顔は何処か緩んで見える。みかけに(身分に?)よらずに甘いモノが好きだと言う。

 真田家は基本和風でケーキなども早々食べないという。誕生日でも食べない年があるとか・・・。

 それを最初に聞いた時正直に(可愛そうだなー)と思った。だが真田はケーキをあんまし食べない為『食べたい!』と思う事は少ないと言う。

 それがなんか許せない為丸井はたまにケーキを作って持って来る様にした。

 真田は皿とフォークと茶と包丁を持って来る。ケーキを分けるのは丸井の仕事である(真田だと同じ大きさにしようとする為かなり時間かかる)。

 丸井はケーキを乗っけた皿を真田に差し出す。


「すまんな」


 そう言うか否かにフォークでケーキをバクッと食べた。


「美味いのだ!この赤いジャムと合う」

「今日は生地と生地の間に苺のジャムを入れたんだぜぃ」


 丸井は嬉しそうにそう言う。それに真田は「なるほど」と分かっているのか分かってないのかケーキを頬張る。

 丸井も己の作ったケーキを口に入れる。


 甘い、甘い、甘い・・・


 その筈のケーキが甘くない。



――――いつからだろう?


 前まで普通に『甘い』と思うお菓子を食べても甘く感じない。否、実際は甘さを舌でちゃんと感じている。

 だけど何処か違う。

 脳が『甘くない』と感じてしまうのだ。


――――とうとう俺の舌も壊れたか?


「どうした丸井?」


 「何でもねぇよ」と笑いかけたが、内心では叫んでいた。


                                                     
                                                     
                                                     
                                                     
                                                     
                                 甘いモノが欲しい。


 甘いモノが足りない。


 甘いモノを。


 甘いモノをくれ!!


 その思いが丸井の何かを壊した。

 丸井は不意に真田の心配する頬を触った。そして顔を近づけて――――


 口と口が重なる。甘酸っぱい苺ジャムの味。甘い生クリームの味――――真田の味。


 口を離したら銀の糸が口と口を繋ぐ。その糸がツッと切れた時真田の顔を見た。真田は顔を真っ赤にし丸井から目線を外す。

 でも何故か罪悪感はなかった。それところか何処か満足感があった。丸井はニタァーと笑い真田の顔へクイッと顔を近づける。


「美味しかったぜぃ?真田」

「な!俺は食べ物じゃないぞ!」


 真田のムキになる声に丸井は笑った。



 甘い、甘い、甘い。


 そうだ、知ってしまったんだ。


 本当に甘いモノを――――



「真田はこの世で一番甘いんだな」


 そう呟いた途端丸井は自分の言葉にまだ笑った。それにつられて真田はククッと笑った。

 甘いのはきっと今の時間――――。

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@言い訳@
 自分でも驚く程にスンナリと書けました!でも書き終わって気付く。自分が書きたいと思ったネタ一つ書いてない!でも、まぁ、まとまったし良いや(ド殴)丸真は幸せが良いと思います!そして丸井の言葉使いが分らん!(ド殴)
 では色々とスイマセン。失礼します。平成22年8月7日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様