いつからだろうか?
愛だの恋だのに手を伸ばし始めたのは?
そんなの『たるんどる』っと思っていた。
だが酷く心地良く・・・何より見方が変わる気がした。
けどやっぱし・・・俺はたるんどるっと思う。
恋風
「真田、何難しい顔をしているんだい?」
その言葉に真田弦一郎は我に返った。
気付けばすぐ目の前に幸村精市が真田の顔を覗き込んでいた。
その距離が恐ろしい程に近かった。その距離は接吻をする様な、そんな近さである。
真田は慌てて身を後ろに引いたが、倒れた。
我ながらマヌケだ。立っているならともかく、座っていたのだ。後ろに体重をかければ倒れる事くらい安易に予想をつくのに・・・。
顔を羞恥で赤く染める真田を見て幸村は「あははっ」と腹を押さえながら笑った。真田はムスッとしながら立ち上がり、椅子も立たせた。
唯一の救いは部室に真田と幸村の二人しかいなかった事だ。
「真田は本当に面白いなー」
幸村は笑い混じりにそう言う。自分の事を笑われているが、それでも幸村が笑顔でいてくれると嬉しく感じる。
前までの・・・病院にいた時の幸村は酷く痛々しかった。
笑顔が日に日にになくなり、死の恐怖に怯えていたのだ。
そんなの幸村ではない。幸せそうに笑う幸村、そんな幸村が真田がもっとも好きな幸村であった。
当の幸村は今度は眉を潜め、口元はニヤリと笑った。
「なぁーに?今度はニヤケ笑いかい?」
「なっ!ニヤケなどおらん!」
「うそつきー」っと幸村は言いながら顔をクイッと近づけてきた。
――――あぁ、今度は――――
重なる。口と口が。
真田は気付いていたが、それを気付かないフリをして受け取った。
何時からだろうか?
恋しくて恋しくて仕方なくなっていた。
離れていてもずっと思い続けていた。
今まではテニスとか剣道とかしか頭になかった。
なのに、何でだ?
何でこんなにも・・・。
お前しか思えなくなっている?
似た様な事を言った事がある。
『それはね、真田がその人の事を愛しているからだよ』
苦い顔をしながらも笑みを浮かべ教えてくれた。
愛している。恋しい。
『真田』
声が聞こえるんだ。
『真田』
お前の――――
『真田』『真田』『真田真田』『真田』『真田真田真田』『真田』『愛している』
口が離れれば幸村から目を反らした。
真田は口を開いた。
『愛している』
その一言を言えば良いのに、言えない。
変わりに頬を赤く染め幸村から目線をずらした。
沈黙が流れた。っと言ってもその時間はきっと1分も経っていないのだろう。
幸村が真田へと抱きついた。
「・・・真田」
頭から離れない。
ずっとお前の事を思っていた。
それを『たるんどる』と言うなら、この世の全てが『たるんどる』事になる。母上だってじぃ様だって・・・。
それは知っていた。
光が差す。
窓から光が差して、幸村の背に差している。
真田に差さず。
「真田ッ!」
幸村が真田の袖を強く握り締めた。
サナダ
「幸村」
どうしようもない。
――――お前の事を思うとどうしようもない程に胸が痛むのだ。
今でも『たるんどる』っと思うのか?真田は自問するが答えは見つからなかった。
いや、答えなんで最初から知っていたのだ。
ただ気付かないフリ。認めたら真田の全てが否定される様な気がしたから。
「真田?」
幸村が顔を上げ、真田を見つめている。
気付かないフリ程残酷な事はない。
お互いに。
真田はもう一度口を開いた。
その時口をもう一度塞がれた。今度は触れるだけじゃなくで舌が口内に入ってきた。
真田は体を震わせた。初めての深いキスに戸惑ったのだ。
口が離れれば、どっちつかずの唾液が口周りを濡らしているのがはっきりと分った。
それを脱ごうとしたが、それよりも先に幸村が真田の唇に人差し指の腹を当てた。
「真田」
駄目?
真田はフッと笑った。
此処までして何故言えないのだろうか?
この思い・・・。
幸村幸村幸村幸村幸村幸村幸村幸村幸村・・・・愛している
愛している あいしている アイシテイル
「幸村」
顔が熱かった。幸村の頬はほんのり赤かった。それに負けないくらいに真田の頬は赤かった。
胸が痛む。
恋だの愛だのはたるんどると思う。
でも、自分の気持ちを隠そうとしている自分は醜い。
「幸村」
汗が頬を伝う。
苦しい苦しい苦しい。早く解放されたい。
ただ一言言えば良いのだ。
『愛している』と。
「あ――――」
「愛しているよ、真田」
幸村の言葉に真田は目を見開く。
幸村が悪戯に笑っていた。
真田はずられて一瞬笑うがすぐにハッと我に返り、ムスッと顔をずらした。
幸村は真田の頬に触る。
「どうしたんたい?」
「・・・幸村、お前は本当に意地悪なのだ」
真田が言えば幸村は笑った。
笑って笑って・・・。
「真田だけだよ。こんな意地悪な俺を見せるのは」
幸村がそう言えば真田はフッと笑った。
今度は言える。
だって、もう。
「愛している、幸村」
「うん。俺も愛しているよ」
愛だの恋だのたるんどるっと思う。
でも、それでも、お前がいるだけで全てが許される気がした。
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@言い訳@
タイトルに「おおっ!!」と来たのですが、完璧に文が変ですorz本当に残念な作品でスイマセン。結局は両思いだけどお互いに告白出来なかったっと言う話ですーwー
では色々とスイマセン。失礼します。平成22年8月30日
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