小さな、例え小さな事でも、お前といたい。
ずっと。
なんで乙女ならそれで喜ぶのに、な。
【How about sugar?】
テロ組織で爆弾バーンも銃バーンもない日々が続いている、平和そのものの東方司令部は今日もほのぼのとしていた。
ハボックも例外ではなかった。一日のほどんとを訓練に費やしているが、それでも楽しくて「平和だな」が口癖になりそうな程にとにかくほのぼのとしていた。
訓練も終わり、シャワーを浴びて仕事部屋へと戻ったハボックはまずコーヒーを入れようと給湯室(きゅうとうしつ)に入った。
茶色かかった黒い飲み物をマイカップへと注ぐ。運動後は必ずコーヒーに砂糖を入れる。その為ハボックは砂糖を探す。
だが、ない。
「あれ?砂糖きれたのか?」
それにしては砂糖入れごとない。
そう思った時に後ろから不愉快な声が聞こえてきた。
「探し物はこれか?」
後ろを振り向けば男が立って居た。漆黒の髪と瞳・・・ロイ・マスタング大佐である。
ロイは何故か自慢気に砂糖を片手に持っていた。ハボックはとりあえず最初は純粋の反応をしようと思い、手を砂糖に近づけながら「それッス」と答える。
だが伸ばされた手の先の砂糖が逃げる。
予想はしていたが・・・此処まで腹立つとは・・・。
「大佐、砂糖くださいよ」
「お前は相変わらず上司に向かっての誠意がないな」
「いや、別にアンタに誠意を向ける理由がないんで」
「いやいや、そこは嘘でもある様にしたまえ!」
無能が・・・そう心の中で呟くが、口にしない。したらクビだ。それだけは避けたい。
一応ロイとは恋人同士で、ハボックもそれを同意しているし、嫌いではない。
ただ、やっぱしどんなに仲良し夫婦でもカップルでも何処かで苛とくる時が来る。
まさに今だ。
否、ハボックの場合は常日頃だが・・・とにかくハボックの中でロイに『上司としての誠意』はなかった。勿論『恋人としての誠意』もない。
ましてや今の砂糖を人質に取った様な馬鹿げた行動をしている相手に、向ける誠意などない。
たまにしっかりモノで気苦労するヒロインの様に『何でこんな奴を好きになったんだろう?』と思う時がある。
「砂糖くださいよ」
ハボックが少し強めに言うが、ロイは人差し指を左右に振りながら「チッチッチッ」と舌を鳴らすだけだ。
その左右に動く人差し指を折ってやろうか?不意にそう思うが、そうしたら間違いなく傷害で訴えられる。クビところか下手をすればロイファンの女子を全員敵に回して、この国から追い出される可能性もある。
それだけは避けたい・・・そう思いハボックはぐっと堪えた。
ロイは人差し指を止めて本題を出した。
「『お願いします。ロイ、その大きいのを俺の淫らな口の中にください』、と言いたまえ」
「いや、口にじゃなくでコーヒーにくださいよ。てか猥褻(わいせつ)発言で訴えますよ?」
もはやハボックの頭の中にさっきまでの『クビになる』とか『国を追い出される』とかの不安が一気に吹っ飛んだ。
誰が悲しくてそんな事を言わなくてはいけないのか・・・。
「じゃぁ『お願いします。ロイ、俺のこっちの口に大きいのを入れてください』で許してやろう!」
「いや、別に俺なにも悪い事してないし、それを言うくらいなら一生ブタ箱に入っていた方がエンジョイ人生スよ」
「相変わらずテレ屋だな」
「大佐、それ以上言うとさすがの俺も押さえ切れなくなりますよ?」
「あそこがか?」
「熱い鉄の弾スよ」
そう言うとハボックは己の腰にある銃に触れた。それを見て大佐がクスと笑い、片手を挙げた。
「冗談だ。まぁお前には下ネタオンリーは早すぎたって事だな」
「否、アンタ限定だからスよ」
その言葉を言った途端少し後悔した。『アンタ限定』と言ったらなんかロイが特別だと言っている様だからだ。まぁ特別な関係で存在には変わらない訳だが・・。
ロイはそんな事を感じず眉を顰めていた。
「つれない奴だな」
「アンタに言われたくないスよ」
ロイは溜息を吐き、やり取りに飽きたのか砂糖を一つ摘む。その砂糖を俺の持っていたコーヒーの中に入れる。そしてもう一つ小さい砂糖を持ち、入れる。
さすが、というべきか?ハボックの好みの砂糖量を心得ている。それに感心しているとロイは苦笑いを浮かべた。
「お前の好みも知らないと思ったか?」
「えぇ、正直な話」
「だからお前は女にモテないんだ。常に恋人の好みを把握しておくものだ」
ロイはそう言いながらスプーンでコーヒーを掻き混ぜる。
ザリザリッと砂糖の固まりが当たる音が聞こえていたが、次第にその音が消える。
「まぁモテて欲しくはないのだな」
その言葉と一緒にスプーンが上がる。
「大佐」
まぁイラとくる時もあるけど、でも、やっぱ。
「砂糖、有難うございます」
嫌いではない。
ロイは言葉を聞きゆっくりと笑みを浮かべる。
「砂糖じゃなくて『白いの』って言って貰えたらちょっとはグッとクると言うのに、お前も空気が読めないな」
「それはそっくりそのまま返しますよ。少しは見直したのにカチン☆とキましたよ?」
「お前が可愛い事を言わんから悪いのだろ?少しは可愛い事を言え」
「その前に仕事をしてください!」
お約束の中尉登場で争いは呆気なく終った。中尉が銃を構える前に二人して自分の席に戻る。
戻る少し前に耳元で呟かれた。
「今日私の家に来い」
返事の代わりにロイの砂糖の入れ物を握っていた手を軽く叩いた。
結局、嫌いじゃないって事だ。そう思いついクスッと笑ってしまった。
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@言い訳@
ほのぼの〜に書いてみましたが・・・下ネタオンリーorzどうしようもないですね、この頭は(殴:本当だ!)
ネタメモには『「お願いします。ください」と要求させる話』で書いてあったのですが・・・可笑しいな(殴)
では色々とスイマセン。失礼します。平成22年12月11日
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