直喩。


 その言葉の使い方を知り、不意に使いたくなった。


 アンタ、にね。



まるで



 中間テストで赤点を取った赤也のために、『真田の愛のスパルタ教育』が実施されて三日目の事だ。

 赤也がニヤニヤ笑いながら部室に入って来たのだ。赤也は真田が好きだとかなんとかだが、このスパルタ教育は相当嫌いで、一昨日も昨日も半泣き状態だった。

 それなのに、今日は自棄に余裕だ。真田は眉根を寄せ、腕を組みながら赤也と向き合う。


「今日は自棄に大人しいな」

「いやー実は俺、直喩の使い方が分ったんスよ!」

「直喩だと?」


 真田の眉間のしわが一気に増える。

 中二にもなって、知らなかったのか・・・。そう思われてるなど知らない赤也は「えへへ」と笑いながら腕を頭の後ろに組む。


「副部長は鬼の様に厳しい」


 赤也が言えば真田の後ろで仁王が噴出した。真田が振り向けば、仁王は必死に笑いを堪えてるのが見えた。

 正直、不快だ・・・だがそんな事赤也は気付かず、真田に体を傾け「どうスか?どうスか?」と聞いてくる。


「俺は鬼ではない!そもそも厳しくしているのは赤也がたるんどるからだ!」


 そう声を荒げれば赤也は口を尖らせ「むー」と奇妙に唸る。成功したと思ったが・・・。


「じゃぁ、まるで世界を救う為に天から舞い降りてきた天使の様な副部長?」


 後ろでロッカーを叩く音が響いた。真田は勢い良く振り返り、笑う仁王に叫ぶ。


「こら!ロッカーを叩くではない!学校のモノだぞ!」

「そもそもこの使い方は合ってるんスか?」

「使い方は合ってるが、人を例えるのがけしからんのだ!」


 いや、じゃぁ誰を例えれば良いんスか?赤也は「ぶー」と頬を膨らます。


「そもそも合ってるなら褒めてくれても良いじゃないスかー」

「直喩など一般常識だ!そんな事で褒めてどうする?そもそも、直喩すら知らないとは思ってもいなかったぞ!」


 何故か怒鳴りつける真田に赤也は更に不機嫌になる。

 そもそもまるで世界〜中略〜天使の様なってどんな感じだ?何でそんなRPGぽいのか?そこを突っ込んで欲しかった。仁王は人事にそう思い立海の黄色ジャージを着終える。


「じゃぁ副部長は直喩を使えるんスか?」

「当然だ」

「だったら直喩で一つ、例題出してくださいよ!」


 それを聞くと真田は鼻で一つ笑った。


「そんなの簡単なのだ」

「じゃ言ってくださいよ!」


 真田はちらして一つ咳をついてから言った。



「りんごの様にほっぺが紅い」



 その例文によくある様な言葉を・・・だが赤也の顔が紅く染まる。

 まさか真田の口からそんな可愛らしい言葉が出るとは・・・『りんご』とかメルヘンな言葉など・・・いや、イメージだが。

 しかも『ほっぺ』って!真田くらいになれば『頬』とか難しい言葉で言いそうだが・・・。

 真田はご満悦気味に頷く。そこへ仁王がニヤニヤ笑いながら真田の横に立ち、赤也を覗き見る。


「赤也、りんごの様にほっぺが紅いぜよ?」


 赤也は目も紅く染め、両手をあげながら「何を言ってるんスか!!」と声を荒げる。

 それをお堅い真田が「先輩に怒るとは、何事だ!」と言ってくる。仁王は真田の後ろでケラケラ笑う。


「赤也はまるで子供の様だな。いつになっても自立など覚えん」

「副部長は雷オヤジみたいスよ!ガミガミ言っちゃって!」

「オヤ・・・俺はまだ15だ!こら、待たんか!赤也!!!」


 待てるか!赤也は部室から飛び出し、走り去る。真田はまるで鬼の様な顔で赤也を追いかける。

 仁王は部室から走る二人を見てニヤと笑う。その隣にジャージに着替え終わった柳生が現る。仁王は柳生の方を向かぬまま言葉をかける。


「まるで砂浜で追いかけっこするカップルみたいじゃのぅ」

「そうですか?私には鬼ごっこしている大人と子供に見えますが・・・」

「ぷっは!柳生、お前サイコーぜよ!!!」


 まるで他人事の様に二人を見る仁王と柳生であった。

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@言い訳@
 もっと直喩の言葉をやりたかったのですが、真田さんはきっと二つくらいで苛たち止めるなーと思って止めてみたました。そして赤真になりました・・・?(殴:聞くな!)久しぶりすぎて色々と忘れてますorz
 では色々とスイマセン。失礼します。平成23年1月19日