バレンタイン。
聖なるバレンタイン。
おいおい、こんなすんばらしい行事、俺大歓迎だぜ!
Valentino Hayato Dr
学生は可愛そうだ。折角のバレンタインなのに、学校なんでな。
シャマルはそう思いながら授業に勤しむ生徒を温かい保健室の中から見ていた。
女子は外にいない。それは退屈で仕方ないのだが、暇だから見ている。前はずる休みで保健室に行く子がいたんだけど、シャマルの紳士(?)な行動に来なくなってしまったのだ。
おかげさまで出席率が上がった。いや、上がってもねー。
授業終了のチャイムが鳴る。次はお昼休みの筈だ。
シャマルは校庭から視線を外し、ググッとのびをした。
「昼休みに女子生徒がチョコ持ってきてくれねぇかなー」
「何馬鹿な事言ってやがるんだ?」
不快な男の声がして後ろを振り向けば、出入り口の前に獄寺が立って居た。獄寺を見てシャマルは嫌な顔をする。
「毎回言ってるだろ?此処は女子限定なのー」
「お前の目は節穴か?怪我なんでしてねぇよ」
「じゃぁ来るなよ」
シャマルは手を下から上に振り「しっしっ」と空気が抜けた様な音を発する。獄寺はムッとしながらもシャマルに近づく。
これを反抗期と言うのかねー。シャマルはそう思った。追い払えば、反抗して近づく。求めれば、素顔に近づく。そうやって大人はからかわれる。
獄寺はシャマルの前に来ると、後ろに回していた右手をシャマルに出す。その右手には情熱の紅い花のブーケがあった。
それを見てシャマルは露骨に嫌な顔をした。それを見た獄寺が顔を真っ赤にして怒る。
「なんだよッ!そんな嫌な顔をすんじゃねぇよ!」
「何が悲しくて男から花を貰わねぇとなんないんだ?」
「な!バレンタインは普通花を渡すもんだろ!」
イタリアではバレンタインの日を『恋人の日』としてプレゼントを送る事が多い。定番なのが花だ。
だから獄寺もそうしたのだろう。だが・・・・。
「何をどう間違えて、俺と恋人関係だと思ってるんだ?」
「わ、分かってる!だから・・・シャマル、愛してる」
「男は無条件却下。女に生まれ変わってから来いや」
「なっ!」
獄寺はムッとしながら怒りにブーケを握り締める。そんなに握り締めたら枯れるだろう。本当にガサツな人間だ。
シャマルは獄寺に背を向け、手を降る。
「俺が欲しいのは女の子のあつ〜い情熱的なプレゼントな訳。お前はその辺の猫にでも渡せ」
「ふ、ふざけんじゃねぇ!」
叫ぶと、獄寺はシャマルの前にまわり込み、肩を掴んだ。全くガキは・・・。
「俺は!シャマルを本気で愛してるんだ!」
「お前に忠告。がつがつしてると人は近寄ってこねぇぜ?」
「知るか!」
「可愛げないな」
シャマルはそう言うと獄寺の額をついた。
だが獄寺はそれに怒鳴らず、ジッとシャマルを見上げていた。それを見てシャマルは目を見開く。
情熱の紅い花。
馬鹿じゃねぇのか?
そんな純粋な奴が、何で俺を愛するんたか。
しかも男の俺に。こんなに覚悟を決めた目をしやがって・・・。
シャマルは諦めに近い溜息を吐き、右手に握り締められたブーケの中から、一本、情熱の紅い花を抜く。
獄寺は一本の情熱の紅い花を見開いた目で追う。
「仕方ねぇから一本貰ってやる」
シャマルがそう言うと獄寺は頬や耳を紅く染め上げる。
「そうかよ!まぁ、今日はこれくらいにしてやるからな!」
「はいはい。分ったから、出てけ」
「な!すぐにそれかよ!」
「当たり前だ。何が悲しくて男と同じ空間に居なくちゃいけねぇんだ?」
獄寺はその後「馬鹿」「次は覚えてろよ!」とか散々文句を言ってから出て行った。
まったく・・・シャマルは手に持った情熱の紅い花を見る。
まだ満開じゃない、7分咲きの花。その先端に口付けを一つつけた。
「純粋ってのは恐ろしいねー」
次の日、情熱の紅い花は保健室の、一見した見つからない隅の方に置かれた。
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@言い訳@
いつになっても発展しないカップ、獄シャマ。獄寺さんはきっと全部が初々しいでしょうね(遠い目)きっと獄寺さんはチョコ行事知らないと思います。後で聞いて『チョコを渡しときゃ良かったぜ!』とか思うと・・・良いな(殴)
では色々とスイマセン。失礼します。平成23年2月16日
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