「トリック・オア・トリート」
それを聞いて苛たちが沸き起こる前に、懐かしさ、を思い出していた。
昔、まだジッリョネロファミリーにいた頃の話だ。
まだガキだった俺は確か、この言葉を見上げる程背の高い大人達に言っていた。
懐かしい・・・『子供のやる事だ』っと笑いながらお菓子をくれる人がいたり、『邪魔だ』と言ってさっさといなくなる人がいたり・・・。
懐かしく思う。たが、その思い出は苛たちで消される。
【Halloween γSupana】
「トリック・オア・トリート」
聞きなれなかったら、きっと気付かずに去っていただろう。それ程に低く、小さな声だったのだ。
γは立ち止り、眉間にしわを寄せながら振り向いた。そこには予想通りの人物が立って居た。
カナリヤ色の髪に氷の様な瞳を持つ男性が、加えている飴の棒を人差し指と親指でグリグリと動かしながらγを見ていた。
男性の名はスパナ。モスカという兵器を弱愛をする変態である。一応γとは恋人という関係だが、未だに何を考えているか分らない人物である。
γは溜息を吐き、頭をうな垂れた。
「お前なぁ・・・せめて衣装を着替えるとかしろよ」
スパナの姿はいつも通りの緑色の繋ぎだ。もっと言えばオイルと金属で汚れていた。
スパナは相変わらずの無表情のままに、抑揚がない声で反論した。
「・・・γはウチに、袖がないピンクのヒラヒラしたワンピースで、後ろに羽が生えている服を着ろと言っているのか?」
「・・・誰が妖精になれと言った?」
一瞬理解するのに時間がかかってしまった。普通ハローウィンと言ったら、幽霊とか吸血鬼だろう。
まぁ、見たくないと言ったら・・・嘘になるけどな・・・。
γは頬を少し染めてフッとそんな事を思った。
「・・・γはロリコンでそういう清らかな服装が好きっと」
「メモるな!」
危うくスパナの辞書の中に『γ:ロリコンで清らかな服装が好き』と登録される所だった。仮に登録されて、スパナはどうするつもりだろうか?
「それよりγ、トリック・オア・トリート」
スパナはそう言うと右手を差し出した。それにγは両肩をクイと上げた。
「残念ながら今、持ってないんだ」
「・・・って事は悪戯をしないといけないな・・・」
「悪戯ねー何をするつもりだ?」
γがニヤと笑みを作りながら言った。
もしもこの言葉がスパナからではなくγからだったら、絶対に『悪戯希望』なのだ。飴とか甘たるいものを貰うよりは。
勿論、飴常備のスパナからその選択になる事はありえない。
スパナは視線を上に向け「んー」と唸る様に考える。
「モスカに改造する?」
「勘弁してください」
スパナなら出来る。人造モスカとか絶対出来る。
スパナは可愛らしく首を傾げながら「残念」と呟いた。その言葉にγは全身から嫌な汗が噴き出たのを感じた。
γは後ろの道、すなわちメローネ基地の方へ指を指す。
「戻ればお菓子あるけど、来るか?」
「いや・・・ウチのところに来て」
スパナは少し頬を染めてγから視線を外した。γはそんなスパナを見てフッと笑った。
「了解」
結局このバターンか、γはそう思いながら歩き出した。スパナもγと逆の方向へと歩き出した。
お菓子があれば良い。そのお菓子を口実にスパナの研究室に行く。
「トリック・オア・トリート」
そう呟けば、スパナは何をくれるかな?どう反応してくれるかな?っと、予想はつく。
γは広がる切なる希望を抱えたままメローネ基地へと、少し足軽に向かった。
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@言い訳@
ハロウィンに向けて書いたけど、全ジャンル書き切れず、出すタイミングを失い、こんな季節外れに更新しましたorz
・・・ハローウィンネタの、筈!(ド殴)正直スパナさんの『モスカに改造する』しかネタを考えていなかったので、話的に浮いて浮いて『え?もう終わり?!』みたいな話・・・orz底なし沼級の優しい目で見てくだされば嬉しいです・・・。
では色々とスイマセン。失礼します。平成23年3月4日
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