笑えばいい。
これが俺たちの喜劇なのだから。
Comic
喜劇っていいよな。皆笑うから、なんか一体感が生まれる。
その中にいると自然に幸せを感じるんだ。
だから喜劇が好きだ。そう、喜劇が好きなんだ。
「たまに思うけど、お前たまに狂うよな」
目を見開き、家光はベットにうつ伏せになるシャマルを見るシャマルは枕に顔を押し付けていて表情が全く見えなかった。ただ声からして別に機嫌が悪い訳ではないらしい。
しかし『たまに狂う』か・・・シャマルはフッと笑みを浮かべ、シャマルの首筋に近づく。首筋には汗が浮き出ていて、さっきまでの情事を思わし興奮する。
家光はその首筋にキスを一つ落とす。シャマルの体が震えたが、気にせず耳元で呟く。
「俺は普通だと思うけどな」
「いや、狂ってる」
今更だろ、そう言おうとしたが言わなかった。きっと狂ってるのはお互い様。お互い狂ってるからこんな仕事をしている。こんな事に命かけになる。
シャマルは枕から顔をあげ、家光を見る。白い顔が今は紅く染まっていた。顔が赤いのは枕で圧迫されたか、それとも・・・家光は紅いシャマルの頬に触る。
「俺は狂ってるか?」
「あぁ、狂ってる。お前は――――っ!」
シャマルの言葉が終わりきる前に、家光はシャマルの白い首筋に噛み付いた。甘い噛み付きじゃない。強く、喰らいつく様に。
柔らかい皮膚は呆気なく切れ、口内に鉄の味がする赤い液体が流れ込む。
めるで吸血鬼の様だ、そう思って喉から笑った。シャマルは痛みに呻きながら家光の背に爪を立てる。痛みなどない。服を着ているし、シャマル自身爪が長くない。
なのに、その存在は強くそこにあった。
「こういうのを、狂ってるっていうんだよ!」
狂ってる。家光は首筋から離れる。肌が白すぎて、流れる紅い血が酷く現実味なく見えた。
その血を舐めれば、鉄の味が舌を麻痺させる。
「狂ってる。お前はたまに馬鹿になった様に狂う時がある」
「・・・」
「そんなに楽しいのかよ?」
「・・・シャマルは楽しくなさそうだな」
「当たり前だろ!俺が血が出る程噛みつかれて喜ぶ奴にみえるか?」
家光は苦笑を浮かべ「見えないな」と返す。シャマルは快楽の痛みを受け入れても、一方的に苦しいだけの痛みは拒む。
そうじゃないと、殺し屋、なんでなれない。ドMの殺し屋・・・『私を殺してー』と蕩けた目でコチラを見るのだろうか?ベットの上なら歓迎だけど、本番は嫌だな。家光はついククッと笑ってしまう。
シャマルは誤解をしたのだろう、枕を家光に投げつけた。白い枕は家光の顔に当たり、そのまま下へと落ちた。
「狂うのは勝手だけどな、俺に傷を残すな」
「すまんすまん。ついやっちまうんだよな」
「お前、絶対に女に嫌われるな」
「それがどっこい、女にはしないんだ。シャマルだけのアVイV」
「タチ悪すぎるだろ、とりあえず死んとけ」
確かに悪いな、そう思い家光は笑った。
声高く、腹から笑った。
なぁ、喜劇ってなんだ?
俺たちは普通に笑うし、多分面白いコメディアンだと一緒の所で笑うだろう。
なのに、何で俺たちはこうも普通と逆なんだろうな。
きっと俺たちがいるのは、悲劇。
笑えない。笑えないんだ、俺たちのいる所は。
だからせめて――――今だけでも。
「シャマルも笑って」
「あ?何が面白くて笑わねぇといけねぇんだ?」
「笑うと幸せになるんだぜ?」
家光は笑い涙を拭いながらシャマルを促す。だがシャマルは笑うところか、訝しげな顔になる。
「やっぱし狂ってやがるな」
「まぁな」
そう、狂ってる。多分、シャマルよりも、誰よりも。
家光はシャマルを抱きしめる。強く、強く抱きしめた。そうすれば、少しは喜劇に感じるだろうか?
いや、違う。
狂ってるからこそ、喜劇になるんだ。
きっとこれが俺たちの喜劇。
「狂ってる俺だけど、シャマルは愛してくれるだろ?」
残酷な事でもきっとこれは喜劇。
さぁ笑え。笑え。そうすれば、狂った世界に歪まぬ光が差すから。
「さぁな」
家光は笑った。
きっと、喜劇が悲劇に変わるのはそう遠くない。
だから俺は、喜劇が悲劇になる前に終わりにしよう。お互いに笑いながら。
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@言い訳@
ひ、久しぶりの家シャマの更新なのに、こんな話でスイマセン!(ド殴:本当だ!)ネタに『Comic:喜劇・残酷な事でもきっとこれは喜劇・家シャマ』と書いていたので、こんな感じに。暗くてスイマセン!次は頑張って甘いのを書きたいです・・・書けるのか?(ド殴:おい!)
では色々とスイマセン。失礼します。平成23年3月6日
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