この世に生まれた奇跡とか、そんなくさい台詞は俺に似合わない。


 でもこれだけ言わせてくれ。



 生まれて来てくれて有難う。



Happy Birthday Yukimura Sanada



 真田が病室に訪れて最初の言葉が「ごめんね」だった。

 真田は理解が出来ない様で眉を顰めていた。


「何を謝っているのだ?」

「今日真田の誕生日なのに俺、何もプレゼントとか用意してないから・・・」


 幸村は申し訳なさそうに目線をそらす。


「別に誕生日だからってプレゼントなどいらん。貰って喜ぶ程子供じゃないからな」

「でも好きな人にはあげたいものなんだよ。恋人なら、尚更ね」


 恋人・・・その無縁だと思っていた単語につい真田は顔を紅く染め上げる。

 相変わらずの初心な真田に手を伸ばして紅く染まる頬に触る。真田は抵抗をしなかった。だが目線はずらしていた。


「そうだ、俺今日一日真田の言う事を聞くよ」

「な、何を言っているのだ!そんな事出来るか!」

「じゃぁ俺が勝手に真田を満足させる?」


 幸村は黒く笑うと真田は冷や汗をかき一歩下がる。本当に可愛いな、そう思いながら真田の手首を握り引っ張った。

 真田はパランスを崩し、幸村の足元へと突っ込む。慌てて真田は起き上がろうとするが、幸村の手がそれを拒む。

 紅くそまるその頬を両手で覆い、真田を己の方へと向けさせる。本当に可愛らしい、不意にそう思った。

 副部長で周りから堅物だと言われている真田のこの顔は、きっと幸村しか知らないだろう。

 幸村は優越感に浸りながら真田の帽子を取る。前髪が汗で後ろに撫で付けられている。露になっている額にキスをすれば、汗の味がした。


「ゆ、ゆきむら!」

「青春の味だね」


 もう何ヶ月も離れていた味。

 幸村は真田にベッドに乗る様に言う。真田は躊躇したが、諦めベッドの上に上がった。

 幸村の足のサイドにひざをつき、腰を降ろさない様に、前のめりにする。そんな艶かしい(なまめかしい)姿を幸村は見つめていたが、すぐに真田を抱きしめた。


「幸村?」

「真田、誕生日おめでとう」


 そう言うと幸村は真田の口にキスをした。触れるだけの。


「俺はこれしか出来ない・・・本当にもどかしいよ」


 手を離そうか、そう思った時、真田から抱きしめられた。

 とても強く、強く抱きしめてきた。


「・・・真田?」


 まさか真田からこんな事をするとは・・・真田は初心でこんな大胆行動はしない。見た事もない。

 どうしたのだろうか?と幸村が首を傾げた時だった。


「今日は言う事を聞くのだろう?」


 声を裏返りながら真田が言う。チラッと真田の方を向けば、紅く染まる真田の耳があった。

 幸村はそれを見てクスッと笑い、真田の背に改めて手を回す。


「弦一郎が望むなら」


 おめでとう。そして有難う。

 来年はプレゼントをあげよう。そして一緒にこうして甘えようか。

 そう来年の計画を考えれば、自然と抱きしめる手が強まった。


 真田、愛している。これが運命なら、俺は何でも受け止めるよ。


 だから今だけこのままでいさせて。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
@言い訳@
 真田さん誕生日おめでとう!一日遅れましたが・・・そしてこんな暗い話でスイマセンorz本当に暗いですね・・・もっと明るい話にすれば良かったのですが、思いつかずorzとりあえずおめでとう!
 色々とスイマセン。失礼します。平成23年5月22日



背景画像提供者:Abundant Shine 裕様