“イノセンスを持つ者は全て敵だ。”

俺の中のノアがそう叫んでいる。


 【An enemy or A friend】


 此処は黒の教団。俺らノアの敵のアジトだな。

勿論、ひっそりと忍び込んでエクソシトを殺ろうと言う訳では無い。

 まぁ、千年伯爵の命令なら殺るけどな。

俺は普段の姿と違う『白い俺』に白衣姿でのうのうと廊下を歩いている。

深夜と言う事もあり、廊下で人とすれ違う事は少ない。

 そして俺は、ある部屋のドアで止まった。


 トントンッ


 「失礼します。」


 そこは、結構広い部屋。だが、無様に散らかっている書類の紙と本で広く感じない。

 そんな部屋は、静かだった。そこに居るのは一人だけ。下手すれば、独りだ。

明るい茶色の髪。目は色素が薄い青。ガリベン眼鏡を掛けている男性。顎には顎ヒゲが無残に生えている。

 そんな彼は、俺の恋人のリーバー・ウェンハム。ま、恋人なんで俺が勝手にそう言ってるだけだけど。でも本人も嫌がってない。・・・多分・・・《汗》


 リーバーは俺の存在に気付いたのか、俺の方を向かず


 「まだ、来たのかよ・・・。もの好きだな。ティキ。」


 カリカリッと化学式を解いている音が痛々しく聞こえる。

本当に、無理をするよなー。そう言えば、俺と初めで会った時も化学式を解いていたっけ。

 もう、周りの部員はダウンしてるのに・・リーバーは自分が倒れるまで止めない。まるで、音楽が鳴り続けるゼンマイ式オルゴールみたいだ。


 俺はそんなリーバーに近づく。逃げる気配が無い。

そこまで、仕事を優先するとはねー。

 俺はリーバーの真後ろまで行き、リーバーの書類を覗き込む。


「相変わらず、クソ真面目だね。こりゃ、ほどんと暗号だな。」

「分かる奴は何を書いてあるのか、これを何を意味してるのか分かるけどな。」


 うわっ、聞いていたのか!凄いなー。本当に。


「もうそろそろ、仕事を一時中断したら?それが終わった後でもさ。」


 此処からでも見える。リーバーの目にくっきりと見えるクマが。


「いや、それは出来ないんだなー。それが。」

「・・・?何で?」

「今、俺がこの書類を解く手を止めたら、世界の1部が無くなるかも知れないからな。」


 俺は、つい目を見開いてしまった。

俺はこの教団が嫌いだ。俺らノアの敵であるエクソシトがいるからだ。そして、リーバーを此処まで追い詰めているからだ。


 本当はさ、言ってやりたくでさ。お前が体を張ってまで頑張っても、世界は救われない。お前が倒れてお前の仕事を違う人が引き受けるように、今仕事を休んでも変わらないのだと。

お前が仕事を終わりにする前に休んでも、誰もお前の事を恨まない。

だから、休め、と。


このままだと、リーバーは孤独で押し潰される。

俺はそれが恐いんだ。一番ね。

でも、俺はあえてそう言わない。敵だからのもあるけど・・今、それを否定をしたら、リーバーの全てを否定する事になるから。

だから、俺はわがままを言うように休ませる。


「だぁーめ。リーバーは休むの。俺と一緒に。」

「どーせ、すぐに居なくなるクセに。」

「あれ?寂しかった?うわーもしかして、俺って罪作りの男?」

「・・・ハァ。意味が違う。」


 話が続く。リーバーは気付いているのだろうか?

いつも、俺と話す時は少し声が明るくなる。

話し相手がいるだけで楽しいのだろうな。きっと。

 いつの間にか痛々しく聞こえていたペンの音は消えていた。

そしてリーバーは今日初めて、俺の顔を見る。やっばし、目の下のクマが痛々しく出来ている。


「もう、終わり?」

「あぁ。元から、この一枚で終わりだったし。」


 リーバーは、肩を竦めながら言う。

そしてリーバーは立ちながら、一言。


「眠い。」


 いや、そりゃーそんなにクマがはっきりとしていたらなー。

俺はリーバーを部屋に連れで行った。そして、リーバーをベットに座らせる。

が、すぐに立ち上がり、俺を抱きしめる。


「あぁ、コレだよなー。この手触り。」

「俺は、犬ですか?《汗》」


 俺が来た時は絶対に抱きしめる。

リーバーが起きた時に休みだったら犯る。

残念ながら、起きたらすぐに仕事らしい。


抱きしめていた手が淡々と緩まっていく。

俺はリーバーの体を抑え、ベットの中に入れた。

 そして、リーバーの髪を撫でる。


 「おやすみ。リーバー。良い夢を見ろよ。」


夢の中だけでも、幸せに。


  リーバーは目を完璧に閉じる。


 俺は、リーバーの部屋にあった紙に文字を書く。そして、その紙を机に置く。その近くに、トランプを2枚置く。

 『あんまり、無理すんなよ。かわいい、かわいい、俺のクイーンちゃんv』

その手紙の近くに、ハートのクイーンとスペートのジャックが仲良くくっついている。

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@後書き@
 初★ティキXリーバー。
あるサイトでこのカップリングを見て良いなーと思い、つい書いてしまいましたv
でも・・・内容が暗い・・内容が薄い・・内容が意味不明・・。
 どうか、甘い目で見てください!!
では、此処まで読んでぐださって有難うございます。
    平成19年 6月18日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様