空高く飛ぶ。どこまても。

最後は必ず来るかも知れないけど、俺らの心で飛び続けている。


  【Blow soap】

俺、ティキ・ミックは教団の近くにある森の中の何処かにいる。

 切り株に座りながら、目の前にいる楽しげに何かの液体を組み合わせている明るい茶色の髪、少し濃い青の瞳を持つ男性を見つめる。


 その男性の名は、リーバー・ウェンハム。俺の恋人だ。


俺は仕事が休みだと言うリーバーに手を引かれてこの森に来た。

そしてリーバーは、その時に持っていた鞄の中に入っていた液体を組み合わせている。

たくっ・・何がしたいんだか。


きっと、科学で何かを作ろうとしてるんだろう。

 リーバーは『科学』と『数学』と『言語学』を得意としている。

特に、科学は大好きだと言う。


 何かと何かを混ぜたら、何か別なモノができる。


それが楽しいんだと。


 まぁ、理解できない訳では無い。

俺も好きだからな。

ようはアレだろ?工作と同じだろ?ただ、液体とか原子とか難しいモノを使うか使わないかの違い。


 そうしている内にリーバーは笑顔のまま俺に近づく。


「できた。はい。」

「はいって・・・飲むのか?」


 俺は反応が鈍った。

リーバーに渡されたのは、今まで作った液体とストロー。

ストローを使って飲むって事か?でも何か・・液体が泡立っている気が・・


「馬鹿っ、違ぇよ!んな事をしたら、さすがのティキでも死ぬよ。」


リーバーは膨れ面で言う。

 いや・・『馬鹿』って言われでもな〜。この液体が何か分からないんですけど。


「って?この液体は何?」


 俺はそう聞くと、リーバーはまだ楽しげに笑いながら


「んーと・・キレート剤とpH調節剤と塩分とビルターとタンパク質と・・」

「いや・・だから、そんな専門用語とかを言われでも分かんねぇよ。って?この液体で何をするんだ?」


 いや、マジで意味が分からんから。

何?キレイト剤?ビルターオタク?意味不明すぎるって!


「まぁ早い話、洗剤と水を合わせたシャボン玉が出来る液体。」

「あぁ、シャボン玉ねー。なるほど。」


 いや、その一言で分かるから!

つまり、このストローと液体でシャボン玉を作ろう!って事だろ?


「シャボン玉って何か分かるよね?」

「お前は俺を馬鹿にしすぎだ。シャボン玉ぐらい知っているよ。」


 逆に言うと、リーバーが分かりづらい言い方をするから分からなくなるのだ。

原料を言われでも分からん。完成品を言わないと。


 俺はそう思いながらストローに液体を付けて、優しく吹く。

ストローから透明な膜が出来、それが膨らんでくる。


そしてその幕はストローから離れていき、丸い形になり上へ飛んでいく。


 リーバーはそれを見て満面の笑顔になる。

そして、両手の掌を口元でくっ付けながら


「うわー凄い!成功した!成功した!」

「当たり前だろ。リーバーが作ったんだから。」


 俺は呆れながら、テンションが高いリーバーを見つめる。

リーバーも俺の事を見つめながら、


「だって俺、シャボン玉を初めてみたから。」

「そうなのか?」


 まぁ、そうなんだろうなーと思っていたけど。

リーバーはゴクッと頷きながら、


「いやーでも・・透明だけど・・脂質とタンパク質が入っているだけあって、微妙に虹色掛かっているな〜。」


 まぁ、確かに透明では無いが。


「何故だ?」


 俺はつい質問しでしまった。

少し後悔をした。


「そりゃぁ、色々なモノが入っているからな。特に洗剤は親油基を持っているからな。その親油性で太陽光線が写ったんだろうなー。何故なら、太陽光線の光は―「あーっ。もう良い。分かった。充分に分かった。」―・・そう?」


 リーバー少し口を尖がらせながら、シャボン玉の方を見る。

が、もうシャボン玉は無かった。


 「あれ?シャボン玉が無い。」


 リーバーは周りを見渡す。

でも在る訳が無い。


「きっと、割れたんだろうな。」


 俺はボソッと言う。

シャボン玉は薄い膜のせいでもあるのだろう。すぐに割れてしまう。

 リーバーは地面を見つめる。


「せっかくのシャボン玉が・・。」


 まぁ、シャボン玉が割れないで欲しいと言うのは確かに望ましい。

俺も昔はそう願った。

 でも、今は違う。シャボン玉が割れなかったら、色々と邪魔だ。


 それでも、悲しんでいるリーバーを見るとなー。


俺はストローに液体をいっばい付ける。


「リーバー。見ていろ。」


 そう言うとリーバーは俺の方を見る。


 そして、俺はストローに空気を一定の速さで吹き込む。


 ストローから小さなシャボン玉がいっばい出てくる。

光に当てられ、一つ一つが虹色掛かっていた。

 リーバーはそんなシャボン玉に見とれる。


 俺は良い加減に息が苦しくなり、ストローから口を離す。

そして、リーバーの方を見てニコッと笑う。


「どう?」

「凄い凄い!いっばい出てきた!」


 リーバーは子供のように笑う。

俺はソレが嬉しくで、まだストローに液体を付けて空気を入れる。


 そしてまだ、いっばいのシャボン玉が出来た。


 俺は何回もシャボン玉を大量に作った。

リーバーは作るたびに喜んだ。


 そして、シャボン玉は上へと上がっていく。

そして、気付かぬ間に割れる。


 例えそれが一瞬でも、確かに俺たちの記憶に残った。


小さな虹色に光るシャボン玉は遠くの空へ消えた。


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 @良い訳@
ティキリバです。
 ほのぼのにしたかったんです・・。甘くしたかったんです・・。
なのに、微妙に切ない&意味不明なギャグ的なもの(?)が入って・・。後、リーバーさんが言っている理論はテキトーです(←おい!)何となく、私が作りました。なので、本気にしないでください。
     では色々とすいませんですた。失礼します。
    平成19年 7月16日