スパナはモスカが好き。異常に、な。作ってるとき、自分の事を無視する。食事だって、飴を舐めてるからか分らんが、そんなに空かないらしい。凄い、駄目だ!と言う時にしか食べないらしい。睡眠は・・・平気に徹夜する。俺だって近づけない。だからモスカは好きじゃない。

 そんなスパナと俺が出会ったきっかけは、皮肉もモスカだった。


【奇跡の出+会+い】


 その日は暇だった。最初は何時ものように酒を飲みながらビリヤードをしていたが、異様な晴れ具合に気分が落ちた。そして地区を散歩する事にしたのだ。人通りの少ない廊下を歩き続ける。廊下中俺の足音が鳴り響く。

俺は自分の足音を聞きながら、こんな時間、久しぶりだな、と思った。いつも酒にタバコを大量摂取している。あるいは人殺し。騒がしい世界だ。

こんな静かな世界にいると、こんな世界もある、と改めれる。もしも此処にユニ様がいたら、どれだけ幸せか・・・。ユニ様の居る世界は、静かな世界だろう。

少なくでも、今の俺が居る世界ではない。



「――――!!」


 コッ・・・・・


 声がした。微かに。


「――――!!」


 間違いない。俺はその声がする方に歩く。音を立てないように。

 そしてある部屋に辿り着く。錆び付いた両開きの大きな扉。その右側に普通の扉がある。俺はその普通の扉から中に入った。

 扉の中は、真っ暗だった。モスカと言うロボットやら機材やらドラム缶やらがあった。フッと横を見たら、変な床があった。あれは知ってる。畳と言う奴だ。てか、何で此処にあるんだ?


「助けて!!」


 声が聞こえた。それはモスカからだった。俺はモスカに近づく。近づいて気付いた。このモスカは造り途中だ。体の腕部分とかが付いてない。俺は近づこうとした。

 バキッ。何かを踏んだ。そう思い下を見ると、大量の飴を落ちていた。本当に此処は何なんだ?


「助けて!」

「お前は何処に居る?」

「誰か居るの?」

「ああ。」


 どうやら、俺の存在に気付いたらしい。てか、俺が通りかからなかったらどうなっていたんだ?間違い無く死んでいた気がする・・・。俺は冷や汗をかきながら返答を待つ。


「中。モスカの頭の中で閉じ込められた!」

「何をすれば良い?」

「ブレーカーが落ちたんだ。部屋の奥にあるブレーカーを付けて。」

「了解。」


 俺はそう言うと部屋の置くにあるブレーカーのところに行く。ブレーカーは下がっていた。俺はブレーカーを付けると、部屋に電気がつき、明るくなった。そしてすぐに水蒸気が出る音、ブシュー、と鳴る。機械音が鳴り響く。

 そしてモスカ頭の上の扉が開けられた。


「助かった。」


 出てきたのは薄汚れた金髪をした短髪の青年。青年は深緑のつなぎを着ていた。青年はゴーグルを外しながら降りる。そのまま俺に近づく。青年は体中汗まみれだった。相当熱かったのだろう。まだ夏本番ではないが、軽く20度は越えてる。鉄の固まりの中は凄い事になってるだろう・・・考えるだけで汗が出そうだ。

 青年はニコリと笑いながらポケットの中にあった飴1本俺に渡す。


「有難う。これお礼。」

「このモスカ、作ってたのか?」

「いや、メンテナンスだよ。さすがに続けて5台やるのは無理があったらしいけどね。」

「・・・待て。続けて5台ってモスカの事か?休めよ!安易に一日じゃ終らないだろ?」

「あーまぁ、そうだね。てか、今何日の何時?」


 和やかに言う青年。おいおいっ、マジかよ・・・。そりゃぁブレーカーも落ちるな。


「それより、飴どうぞ。」

「・・・貰っておく。所でお前は?」

「名前?スパナ。此処でモスカを創ったりメンテナンスをしている。」


 そう言うと口の端をあげ、笑った。そして密かに、幼いな、とも思った。見た目からは恐らく20代前半。それでも、幼く感じた。


「・・・スパナ、か。俺はγだ。」


 その時、何故俺は声の方に行ったか分らない。何であの時助けたか分らない。何であの時名を名乗ったか分らない。

 他人だから助ける義理などない筈だった。


 これは今だから思う。奇跡の出会いだと。


 まぁ、その奇跡の出会いが良かったかどうかは・・・まだ分らない。


 ただ、久々に舐めたその飴は酷く甘かった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
@良い訳@
 無理矢理終らせた感があるのは無視な方向でーwー(ド殴)そしてやっぱしγが優しい人に・・・。スパナが明るい子に・・・。後の突っ込みは心の中で《ボソッ》(ド殴)
 では色々とスイマセン。失礼します。平成20年7月20日


背景画像提供者:Abundant Shine 裕様